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1891年Königによる初の臼蓋形成術以来,股関節領域の骨切り術は多様な進化を遂げてきました.特に日本では,西洋の技術を基盤に独自の術式を発展させた歴史が特筆されます.これは「換骨奪胎」という言葉に象徴される歩みです.しかし,さまざまな施設での工夫の積み重ねにより,術式と呼称に混乱が生じているのも事実です.中でもperiacetabular osteotomy(PAO)の分野では,術式の違いが呼称から判別しにくい状況があります.本特集では,骨盤側と大腿骨側の骨切り術に分け,第一線で活躍する先生方が行っている術式の詳細を歴史的背景とともにご執筆いただきました.
巻頭では,中島康晴先生に各種骨切り術の概観をまとめていただきました.PAOは,quadrilateral surface(QLS)切骨の有無とアプローチ(AP)の違いで分類.QLS切骨/外側APの寛骨臼移動術を中島康晴先生,QLS切骨/前方APのcurved PAO(CPO)を木下浩一・福島健介両先生,QLS非切骨/外側APの寛骨臼移動術・寛骨臼回転骨切り術を藤井政徳先生,QLS非切骨/前方APのspherical PAO(SPO)を髙橋詠二・西脇 徹両先生にご執筆いただきました.臼蓋形成術は䯨 賢一先生に他施設の歴史も含めて詳細に,Chiari骨盤骨切り術は高平尚伸先生に原法と現在の手技の相違をまとめていただきました.大腿骨側では,渥美 敬先生に大腿骨頭回転骨切り術原法からの改良点,外反骨切り術は現在の手技に至る歴史を内山勝文先生に,弯曲内反骨切り術の工夫を園田和彦先生にご執筆いただきました.さらに,最新技術の応用と課題・展望を池 裕之先生にまとめていただきました.小児分野では,西須 孝・和田晃房両先生に発育性股関節形成不全に対するre-direction術とre-shaping術の適応・術式を解説いただきました.

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