特集 私のOriginal Surgical TechniqueとInnovation—手外科編
緒言
酒井 昭典
1
Akinori SAKAI
1
1産業医科大学整形外科学講座
pp.99
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600020099
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わが国には,世界に誇れる独創性の高い手術手技,手術材料,医療技術が数多く存在します.数々の創意工夫がなされ,データを積み重ね,公的な審査で承認を受け,整形外科の手術に臨床応用されてきました.本特集号では考案者や推進者である各著者に,手術手技のコツとピットフォールだけでなく,既存の方法に対する優位性やその独創的な着想に至った経緯や臨床応用までの苦労などについても触れていただきました.また,ロボットやAIを用いた新しい医療技術については,現状と展望を述べていただきました.
開発当初は,ほかの方法があるのになぜこのような新しい方法で行うのか?などの疑義があっても,科学的な根拠と信念をもってやり続けることで,次第に幅広い賛同を得るに至ったことが多くの著者により述べられています.考案した方法に(できるだけ低侵襲で整容性であることを求めて)さらに改良を加え続けている点や病態に応じた術式のバリエーションが考案されている点も注目すべきところです.新規の手術材料や医療技術は,AMEDなどの公的資金を獲得し,産学連携を推進し,前臨床試験(動物実験,新鮮凍結屍体を用いた模擬手術など)や医師主導型臨床治験を行って開発研究を行い,科学的データを蓄積したうえで,PMDAの審査を受け,薬事承認と相応な保険償還価格を得て,初めて臨床の現場で活用することができます.越えなければならない多くのハードルがあります.
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