特集 健康生成の考え方とサルトグラフィ
〈column〉
サルトグラフィは相互作用,共同創造である—ピアサポートの立場から
稲垣 麻里子
1,2
1北海道ピアサポート協会
2PEER+design
pp.1492-1493
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670111492
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サルトグラフィという言葉を知る
日本病跡学会に初参加した。第72回のテーマは,「天才たちの心を象るサルトグラフィ」。パトグラフィからサルトグラフィへのパラダイムシフトである。
従来の病跡学であるパトグラフィは,過去の天才や著名人の生きてきた歴史や背景,家族関係などをふまえて,精神疾患があったのだろうという視点から分析する学問だと聞く。今回は健康生成=サルトグラフィという,私にとって全く新しい視点からであった。まず感じたのは,分析すべき対象者への深い洞察である。どの人間も一人ひとりは,一面的でなく多面的であり,病的な部分は一部で,健康的な部分が沢山あるのだ。また一見すると,病や孤独などのマイナスであると思える要素が芸術を創造する力になるだけでなく,人生にプラスに働く場合があるということだ。
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