増大号特集 睡眠の正しい理解を促す70のトリビア
Ⅴ章 治療薬の話題
Q64 お酒と睡眠薬は何時間あけて飲むのがよいのでしょうか?
志村 哲祥
1,2
1東京医科大学精神医学分野
2東京医科大学睡眠学講座
キーワード:
アルコール
,
ethanol
,
アセトアルデヒド
,
acetaldehyde
,
毒性
,
toxicity
,
γ-アミノ酪酸
,
γ-aminobutyric acid
,
GABA
,
半減期
,
half life
Keyword:
アルコール
,
ethanol
,
アセトアルデヒド
,
acetaldehyde
,
毒性
,
toxicity
,
γ-アミノ酪酸
,
γ-aminobutyric acid
,
GABA
,
半減期
,
half life
pp.796-798
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670050796
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A そもそも,睡眠に問題を抱えている人がお酒を摂取することは推奨されません。お酒は,睡眠に強い悪影響を与えます。しかし,何らかの事情で夜間にお酒を摂取してしまい,さらには,その後睡眠薬も服用したいというような場合には,状況によって,あけるべき時間が異なります。
お酒を飲んで強く酩酊してしまった場合には,呼吸抑制のリスクが高まるため,いかなる場合であっても,睡眠薬を服用するべきではありません。一方で,旧来からよく使われている,GABA受容体に作用するタイプの睡眠薬を用いる場合は,もしアルコールの代謝能力が低くない人の場合には,ビール1杯分のアルコール飲用後に少なくとも5〜6時間程度をあければ影響は最小化されえます。しかし,これ以上の量を飲んだ場合,あるいはアルコールに弱い体質の場合はこの限りではなく,アルコール摂取後の睡眠薬の使用は勧められません。

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