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特集 現代カルチャーと若者のメンタルヘルス—デジタル情報社会における心の理解と支援
現代カルチャーとグレーゾーンの若者たち
Contemporary Culture and Young People with Subthreshould ASD
原田 剛志
1
Tsuhoshi Harada
1
1パークサイドこころの発達クリニック
1Parkside kokoronohattatu Clinic, Fukuoka, Japan
キーワード:
グレーゾーン
,
subthreshould ASD
,
デジタルネイティブ
,
digital native
,
オタク文化
,
Otaku culture
Keyword:
グレーゾーン
,
subthreshould ASD
,
デジタルネイティブ
,
digital native
,
オタク文化
,
Otaku culture
pp.426-431
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670040426
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抄録
DSM-5への改訂により自閉特性をもつことが特徴である児・者につけられる診断が「広汎性発達障害」から「自閉スペクトラム症(ASD)」と狭くなったことで,治療や教育場面でASDの診断基準を満たさない自閉特性をもった児・者の支援に「診断閾下のASD:グレーゾーン」という概念が必要となった。本稿では,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などインターネット基盤の現代カルチャーとグレーゾーンの若者たちとの関わりを「情報が制限なくいつでも・どこでも入手できること」「マジョリティのオタク文化への浸食」の視点で述べた。グレーゾーンにとってデジタル社会の大量の情報入手のしやすさは,「なんでもありすぎて選べない」デメリットとともに,のぞき見できる見通しのつきやすさ,選択肢の拡大というメリットがある。また,マジョリティのオタク文化への流れ込みは,グレーゾーンにとって被侵入感や居場所のなさを感じる反面,マジョリティに紛れ込めるカモフラージュのしやすさにもつながっている。このようにデジタル情報社会は選択肢の拡大と「普通であること」の脱価値化をもたらしたため,「普通でない(定型でない)」グレーゾーンの社会参加を以前より容易にしたのではないかと考えられる。

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