Japanese
English
特集 現代カルチャーと若者のメンタルヘルス—デジタル情報社会における心の理解と支援
子どもや若者の居場所としてのインターネットの世界
The World of the Internet as a Place for Children and Young People
関 正樹
1
Masaki Seki
1
1大湫病院
1Okute Hospital, Gihu, Japan
キーワード:
居場所
,
place of belonging
,
オンラインゲーム
,
online game
,
SNS
,
social networking services
,
オンラインスペース
,
online space
Keyword:
居場所
,
place of belonging
,
オンラインゲーム
,
online game
,
SNS
,
social networking services
,
オンラインスペース
,
online space
pp.433-438
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670040433
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要旨
子どもは大人になっていく過程で,大人の目の行き届きにくい居場所を必要とするが,現代においてそのような物理的な空間は少なくなっており,オンラインの空間がそのような子どもたちの居場所としての機能を有している。たとえば,オンラインゲームにおいては友人関係やコミュニティ形成が進みやすく,新たな友人との居場所が形成されやすい。最近の子どもたちは忙しく,オンラインゲームのロビーが学校などの友人と親密性を確かめ合う居場所になっている。SNSもチャムシップを確かめ合う居場所になっており,リアルのキャラに縛られない自己表現の場となっている。しかし,これらの空間にはいじめや不適切なつながりといったリスクも内包しており,その背景には子どもたちの生きづらさや周囲への相談のしにくさがある。
オンラインの世界は子どもたちの居場所になっているが,そこに何を求め,何を得ているのかはさまざまである。相談を受ける際に,その子どもがそこに何を求め,何を得ているのかを見ないで,SNSのよしあしを語ったり,リスク・ベネフィットについて語ったりすることは,その子にとって無意味な相談となるだろう。

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