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特集 現代カルチャーと若者のメンタルヘルス—デジタル情報社会における心の理解と支援
ソーシャルメディアより生じる新しい病態—機能性チック様行動を中心に
New Pathologies Arising from Social Media : Focusing on Functional Tic-Like Behaviors
金生 由紀子
1
Yukiko Kano
1
1東京大学大学院医学系研究科こころの発達医学分野
1Department of Child Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
機能性チック様行動
,
functional tic-like behaviors
,
FTLB
,
ティックトック
,
TikTok
,
COVID-19パンデミック
,
COVID-19 pandemic
,
トゥレット症候群
,
Tourette syndrome
,
集団ソーシャルメディア誘発性疾患
,
mass social media-induced illness
,
MSMI
Keyword:
機能性チック様行動
,
functional tic-like behaviors
,
FTLB
,
ティックトック
,
TikTok
,
COVID-19パンデミック
,
COVID-19 pandemic
,
トゥレット症候群
,
Tourette syndrome
,
集団ソーシャルメディア誘発性疾患
,
mass social media-induced illness
,
MSMI
pp.413-419
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670040413
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抄録
突如として激しいチック,とりわけコプロフェノメナ(卑猥または社会的に不適切な言葉や動作)をはじめとする複雑チックが出現する事例が,COVID-19パンデミック後に急増した。典型的なチック症と比較すると,上記の特徴に加えて,女性の割合が高いこと,発症年齢が遅いこと,自傷行為の多いこと,チックの抑制が困難なこと,不安や抑うつを高率に伴うことが指摘されている。ソーシャルメディアで類似した行動に曝露した後に発症することがしばしばあり,機能性チック様行動とされている。ソーシャルメディアのなかでもティックトック(TikTok)の曝露に伴う場合が最も多く,“TikTok tics”と呼ばれたりもした。機能性チック様行動には,本人の脆弱性,パンデミックに伴う心理的負担,ソーシャルメディアが関与していると思われる。集団ソーシャルメディア誘発性疾患,さらにはソーシャルメディア関連異常疾患行動として検討を進めることが望まれる。

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