Japanese
English
特集 こころの発達の問題に関する“古典”をふりかえる
トゥレット症候群
Tourette Syndrome
金生 由紀子
1
Yukiko Kano
1
1東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻統合脳医学講座こころの発達医学分野
1Department of Child Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
Tics
,
Tourette syndrome
,
Gilles de la Tourette
,
Echolalia
,
Coprolalia
Keyword:
Tics
,
Tourette syndrome
,
Gilles de la Tourette
,
Echolalia
,
Coprolalia
pp.1129-1134
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205698
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はじめに:トゥレット症候群の現在の位置付け
現在,トゥレット症候群は,チックという運動症状で定義される症候群であると同時に,DSM-5では,神経発達症群に含まれており,発達障害という位置付けである1)。診断にあたっては,多彩な運動チックおよび1つ以上の音声チックという症状と1年以上の持続期間が必要とされている。ICD-11の最終案でもほぼ同様な診断基準が提示されているが,運動チックについては複数が必要とはされていない25,26)。また,ICD-11では,その位置付けもDSM-5といくらか異なっている。すなわち,神経疾患の中の運動障害としての診断が優先されつつも,神経発達症群の中の一次性チックまたはチック症群に含まれるし,強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)または関連症群の中にもトゥレット症候群が明記されている23,25)。
このような運動障害でも発達障害でも強迫関連障害でもあるという最新の位置付けを念頭に置きつつ,Gilles de la Touretteの論文11,12)をふりかえって,最近の総説も含めて現在までに得られている知見と照合して論じたい。
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