増大号 超音波検査のパニック所見—いま知りたい、チェックポイントと緊急性
6章 腹部エコー領域:緊急所見
腹腔内出血
斧研 洋幸
1
1聖マリアンナ医科大学病院臨床検査技術部
キーワード:
腹腔内出血
,
FAST
,
パニック所見
Keyword:
腹腔内出血
,
FAST
,
パニック所見
pp.416-421
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200700040416
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はじめに
2023年に,日本超音波医学会用語・診断基準委員会から『超音波検査の「パニック所見:緊急に対応すべき異常所見」』総論1)および各論2)が公示された.パニック所見とは,検体検査で使用されるパニック値に相当する超音波検査所見であると理解できる.パニック値は“生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値で,直ちに治療を開始すれば救命しうるが,その診断は臨床的な診察だけでは困難で,検査によってのみ可能である”と定義されている.一方,超音波検査時の緊急に対応すべき異常所見の候補を,各超音波検査領域で明示したものがパニック所見であり,伝達方法も提案されている.各施設における体制の確立によって得られる診療変容を通じて施設間格差を減らし,結果として広く臨床に役立つことを目的としている.
腹腔内出血の場合,出血量が多ければ血液検査でパニック値(Hb<5g/dL)を呈する.一方,超音波検査では血性腹水のエコー像は出血量(濃度)によって異なりはするが,腹水内部に赤血球による微細エコーの浮遊が認められ,この所見をパニック所見と呼ぶ.腹腔内出血の原因は多岐にわたるが,本稿では,超音波検査でどのような手順で腹腔内出血を検出し診断するか,緊急性の高い超音波所見はどのような所見かを概説する.

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