バイオバンク活動の実際とJIS Q 20387の適用・2
バイオバンクは社会の重要なインフラストラクチャ
石田 典子
1,2
,
山本 雅之
1
1東北大学東北メディカル・メガバンク機構
2宮城県立がんセンター研究所
pp.1412-1418
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690121412
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はじめに
バイオバンクとは,研究目的で収集された生物学的試料(バイオリソース)と関連する情報を保管し,提供することで有効な利活用を促進するために発達した組織であり,植物の種子やマウスを対象とするものなど,世界中にさまざまな目的のバイオバンクが存在する.バイオリソースセンターと称されることもある.ヒトを対象としたバイオバンクが生命科学・医学研究に活用される事例が増加するに伴い,単にバイオバンクというと,ヒトを対象とした生命医学研究を目的とするバイオバンクのことを指すことも多くなっている.
ヒトを対象としたバイオバンクでは,提供者からの信頼の下,幅広い同意(包括的同意)を取得して,試料や情報を収集する.また,将来の研究利用に備えて,それらをしっかりとした品質管理を実施しながら,保管・管理する.そして,それらを公平な運営の基に,アカデミアや企業の研究・開発のために提供する.収集する試料・情報の規模や種類はバイオバンクによって大きく異なるが,研究者・研究機関に貴重なリソースを提供することにより,特に,疾患,個別化医療・個別化予防,再生医療などの先端的な医学研究や,ゲノム創薬などの最先端創薬を支える,現代社会に不可欠な研究基盤となっている.

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