増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
7章 Q&A,トラブルシューティング,困ったときの…
外注検査に提出する際の注意点に“伸展温度”の条件がありますが,なぜですか? 条件を満たさない場合はどうなりますか?
柳田 絵美衣
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1群馬パース大学医療技術学部検査技術学科
キーワード:
伸展温度
,
薄切
,
未染標本
Keyword:
伸展温度
,
薄切
,
未染標本
pp.1218
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101218
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わが国の臨床現場でもがんゲノム医療が始まり,それに伴ってがんゲノムプロファイリング検査が導入された.がんゲノムプロファイリング検査は海外(米国)で開発されたものが多かったため,標本作製の条件が他国の標本作製条件となっていると考えられる.
わが国では硬パラフィン(57〜60℃)で包埋し,薄切した切片は水槽にいったん浮かべてスライドガラスに切片を載せ,そのスライドガラスを伸展器(50〜55℃)の上に置いて切片を伸展させる.伸展させた後は,スライドガラスをふ卵器(60℃前後)に入れて乾燥させる.一方,米国では,薄切した切片を40℃前後の温水に直接浮かべて切片を伸展させ,スライドガラスに載せて乾燥させる(図1).パラフィンは軟パラフィン(54〜57℃)を使用する.つまり,開発者はその条件での試料を対象にして開発や検討をしてきたことになり,それ以外の条件で作製された試料については“データがない”“検査データの保証ができない”ということになり,注意書きとして記載されている.
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