増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅱ併存症をもつ患者の評価とその術前・術後管理
内分泌・代謝疾患
甲状腺疾患
松津 賢一
1
,
杉野 公則
1
,
伊藤 公一
1
Kenichi MATSUZU
1
1伊藤病院外科
pp.70-72
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110070
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術前評価(専門医にコンサルトすべき病態・検査値)
甲状腺ホルモン(以下,ホルモン)は代謝の亢進や交感神経刺激など全身に作用する1)ため,ホルモン異常をきたすとさまざまな障害が起こる.そのため過剰なホルモンは下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)によるネガティブフィードバックを受けて正常化される.このとき甲状腺ホルモン値のわずかな変化に対してTSHは指数関数的に変動するため,TSHは最も鋭敏な甲状腺機能の指標となる.よって甲状腺機能検査としては遊離サイロキシン(FT4),遊離トリヨードサイロニン(FT3)に加えてTSHを測定することで,より正確に甲状腺機能が評価できる.FT4値とTSH値の組み合わせによる甲状腺機能異常の見方を図1に示した.

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