増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅱ併存症をもつ患者の評価とその術前・術後管理
内分泌・代謝疾患
糖尿病
清川 裕介
1
,
山田 哲也
1
Yusuke KIYOKAWA
1
1東京科学大学病院糖尿病・内分泌・代謝内科
pp.67-69
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110067
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術前評価
外科手術を検討する際,スクリーニングとして確認すべき項目は,血糖(空腹時でも随時でも),HbA1c,尿糖・尿ケトン,糖尿病薬の使用の有無,健診で耐糖能異常や糖尿病の指摘を初めて受けた時期,糖尿病合併症の有無(有の場合はその状態)などである.手術の緊急性にもよるが手術延期が検討されるのは,空腹時血糖200 mg/dL以上,食後血糖300 mg/dL以上,尿ケトン陽性1),HBA1c 8.5%以上2)の場合や合併症のコントロールが不十分な場合などである.
HbA1cに関しては,過去1〜2か月の平均血糖値の指標であり,手術直前の血糖状況をリアルタイムで反映していない点や,慢性腎臓病合併例ではグリコアルブミンでの評価のほうがふさわしい点に注意が必要である.糖尿病治療薬の周術期における対応と術後に注意すべき主な合併症としては,表1の通りである.また術前の糖尿病内科医へのコンサルトが必要なのは,多剤の経口血糖降下薬を内服中,表1内の術前休薬が必要な経口血糖降下薬を使用中,インスリン注射製剤使用例,インスリンポンプ使用中の場合などである.

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