FOCUS
遺伝性大腸癌診療ガイドライン2024年版 改訂のポイント
田中屋 宏爾
1,2
,
山口 達郎
2,3
,
平田 敬冶
2,4
,
山田 真善
2,5
,
味岡 洋一
2,6
Kohji TANAKAYA
1,2
1国立病院機構岩国医療センター外科
2大腸癌研究会遺伝性大腸癌診療ガイドライン作成委員会
3がん・感染症センター都立駒込病院遺伝子診療科
4産業医科大学第1外科
5国立がん研究センター中央病院内視鏡科
6新潟大学医学部臨床病理分野
pp.737-741
発行日 2025年6月20日
Published Date 2025/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800060737
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はじめに
近年,わが国でも個別化医療が進み,コンパニオン診断や包括的がんプロファイリング検査が日常臨床で広く行われるようになった.そして,これらの検査結果から,遺伝性の大腸癌が疑われたり,診断されたりする機会が増えている.また,家族性大腸腺腫症に対しては,新しい内視鏡による治療法としてintensive downstaging polypectomyが保険収載された.このような新しい診断や治療の流れをしっかりと理解して的確に対応することで,遺伝性大腸癌の多くは予後の大幅な改善が期待できる.
4年ぶりに改訂された「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2024年版」1)は,海外の最新情報とともに,本邦からの研究成果を数多く取り入れ,より実用性を高める形となった(表1).本稿では,このガイドラインの改訂の経緯や要点を解説する.

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