FOCUS
がん光免疫療法の現在と今後の展望
中島 崇仁
1
Takahito NAKAJIMA
1
1筑波大学医学医療系放射線診断・IVR科
pp.732-736
発行日 2025年6月20日
Published Date 2025/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800060732
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はじめに
光免疫療法(near-infrared photoimmunotherapy:NIR-PIT)は,米国国立衛生研究所(NIH)の小林久隆先生のラボで2010年に発見された新しい細胞死のメカニズムである.この技術は,がん細胞の膜を破壊することで,選択的に細胞を壊死させることが可能となっている.筆者は偶然にもこの現象が発見された2010年に,当時の教授である遠藤啓吾先生の紹介で,同じ放射線科医である小林先生のラボに留学する機会を得て,NIR-PITの基礎的領域の確立に関わる仕事をすることができた.帰国後も細胞を用いた基礎実験や大型動物を用いた研究に取り組んでいる.本稿では,日本で頭頸部の進行がんに対してすでに保険適用されている,まだ新しい治療法であるNIR-PITのこれまでの歩みと,今後の展望を紹介する.

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