巻頭言
精神科リハビリテーションのフロンティア—全人的支援としての理学療法への期待
荒川 英樹
1
1宮崎大学医学部附属病院リハビリテーション科
pp.107
発行日 2026年2月10日
Published Date 2026/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540020107
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リハビリテーション医療の目的は,失われた身体機能を単に回復させることにとどまりません.対象者が再び自分らしく生活し,社会の営みに能動的に参加できる力を全人的に支援する,「活動を育む」という理念をその基盤としています.私たちはこれまで運動器,神経,内部障害など広範な領域でこの理念を実践してきましたが,近年,その領域は精神疾患を抱える方々の「こころの健康」と「身体の健康」を統合的に捉える必要性から,「精神科理学療法」という新たな展開を迎えています.
本邦の精神科医療は,約32万床という大規模な精神病床群と,平均在院日数が長期にわたるという構造的な特徴をもちます.地域移行の推進が社会的な課題となるなか,長期入院患者の高齢化と身体合併症の増加は,社会復帰を阻害する重大な要因です.精神疾患そのものに加え,長期の低活動な療養環境や薬物治療の副作用など複合的な要因の結果,患者の身体機能は一般人口と比較して著しく低下する傾向がみられます.
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