Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
沢木耕太郎の『流星ひとつ』—藤圭子の被虐待体験
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.1062
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530101062
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昭和44〜45(1969〜1970)年の歌謡界に彗星のごとく現れたのが,藤圭子(1951〜2013年)である.藤圭子はデビュー曲の『新宿の女』をはじめ,『女のブルース』や『圭子の夢は夜ひらく』など,次々にヒットを飛ばし,17歳(実は18歳)の少女とは思えぬ抜群の歌唱力と一種虚無的な雰囲気で,一世を風靡したのである.
その後,彼女は28歳で芸能界を引退するのだが,引退直前,長時間のインタヴューを試みたのが,ジャーナリストの沢木耕太郎である.沢木はこの時のインタヴューを2013年に『流星ひとつ』(新潮社)として発表しているが,そこでは藤圭子が父親からの壮絶な暴力に脅える被虐待児だった様子が語られている.
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