Japanese
English
特集 味と匂いの脳科学
Ⅲ.末梢臓器における化学受容と脳機能の調節
消化管におけるセンシング機構
Sensing mechanisms in the gut
市木 貴子
1
Ichiki Takako
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腔生化学分野
キーワード:
消化管
,
脳-腸軸
,
浸透圧感知
,
迷走神経
,
脊髄神経
,
腸内分泌細胞
Keyword:
消化管
,
脳-腸軸
,
浸透圧感知
,
迷走神経
,
脊髄神経
,
腸内分泌細胞
pp.369-374
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760040369
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消化管は単に食物が通過するだけではなく,管内環境の情報を常に感知し,伝達している。消化管には約5億個もの腸神経細胞が存在し,神経系,内分泌系,免疫系が高度に集積した特殊な器官である。この消化管と中枢神経系を結ぶ経路は“脳-腸軸”(brain-gut axis)と呼ばれ,食欲や消化機能の調節のみならず,感情や認知機能にまで影響を及ぼすことが明らかになりつつある。
本稿では,消化管が感知する刺激の種類と栄養素・浸透圧などの受容メカニズム,腸内分泌細胞(EEC)の役割,迷走神経および脊髄神経を介した情報伝達経路,ならびにセンシング機構の異常と疾患について概説する。

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