増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
12.ロービジョン・遺伝性網膜疾患
眼底先天異常—経過観察すべきか,治療すべきか
松下 五佳
1
1産業医科大学医学部眼科学教室
キーワード:
小児網膜剝離
,
朝顔症候群
,
Stickler症候群
Keyword:
小児網膜剝離
,
朝顔症候群
,
Stickler症候群
pp.338-342
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110338
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
小児では眼底先天異常や遺伝性疾患といった小児特有の背景に伴い,網膜剝離や網膜・硝子体の変性,黄斑の形成異常など,多彩な変化を生じる。原因疾患による特殊な病態に加え,成人と比較して硝子体と網膜の癒着が強固であるという構造上の特徴も要因となり,網膜剝離の手術は困難な場合が多い。また眼底先天異常による網膜剝離の場合,形態的に網膜復位を得られた場合でも視力予後は不良である場合も多く,手術もしくは経過観察のどちらを選択すべきかについては,僚眼の状況など個々の症例に応じて慎重に判断する必要がある。レーザー治療などの予防的治療についても,疾患の病態や治療時の年齢に応じて成人とは異なる対応が必要になる。本稿では,小児の眼底先天異常の症例を紹介し,その対応について解説する。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.