増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
6.網膜血管障害
黄斑浮腫—見落としてはいけない病態の見極め方と対応法
中条 慎一郎
1,2
1University of California, Los Angeles, Doheny Eye Institute
2三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座眼科学
1University of California, Los Angeles, Doheny Eye Institute
キーワード:
黄斑浮腫
,
網膜中心静脈閉塞症
,
血管新生緑内障
Keyword:
黄斑浮腫
,
網膜中心静脈閉塞症
,
血管新生緑内障
pp.205-210
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110205
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はじめに
網膜血管障害に関連する黄斑浮腫の代表的なものとしては,糖尿病網膜症に伴う糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME),および網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)や網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)に伴う黄斑浮腫が挙げられる。これらの疾患においては,適切な検査を実施し,治療の適応時期を見極めて適時に介入することが,長期的な視力予後の維持にきわめて重要である。そのため,臨床医は常に「黄斑浮腫の原因は何か」「最新のエビデンスに基づく最適な治療は何か」といった視点をもって診療にあたる必要がある。
DMEやBRVOに伴う黄斑浮腫の治療,特に抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬の選択や治療レジメン,レーザー治療の併用などの包括的な内容に関しては,すでに多くの教科書や成書,ガイドラインにて詳細に解説されているため1,2),本稿ではその記載を割愛する。本稿では,黄斑浮腫をきたす網膜血管障害のなかでも,初期対応およびマネジメントが視力予後を大きく左右するCRVOと,それによる黄斑浮腫に焦点を絞り,特に若手医師が陥りやすいピットフォールを中心に,実際の症例を交えて解説する。

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