増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
序文
西口 康二
1
1名古屋大学
pp.5
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110005
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近年の医学の進歩は目覚ましく,新しい検査や治療法,それに関連した重要な研究結果が次々に出ています。それに伴って,必要な知識の更新スピードも加速しており,もはや教科書を読むだけでは追いつきません。インターネットや学会発表,さらにはAIまでが情報源に加わり,知識の海は広がる一方です。とはいえ,日々の外来・手術・書類業務に追われる私たち臨床医が,そのすべてをチェックするのは至難の業。最近はインターネット検索で理論武装した患者から,専門医顔負けの質問が飛んでくることもあり,診察室で「えっ,そこまでご存じですか……」と冷や汗をかく場面も珍しくありません。
このような状況で頼りになるのは,特定分野に精通した専門医への紹介です。医療が複雑になるほど,その重要性は増すでしょう。しかし,紹介した結果,「あれ? 意外と単純な病態だった……」「高度治療どころか経過観察で十分だった……」ということもあります。もちろんそれは避けられないことですが,なかには“ちょっと知っておけば回避できた見落とし”も存在します。

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