特集 若手医師のための呼吸器診療スキルアップ—苦手意識を克服しよう
序文
青島 正大
1,2
1亀田総合病院呼吸器内科
2日本呼吸器学会臨床諸問題学術部会
pp.180-181
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200024
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「呼吸器は難しい」と思っている初期研修医が多いという印象がある.その理由の一つとして学生時代にBSLで呼吸器内科をローテーションしなかったことに起因するケースが少なくない.初期研修においてもローテーションする科を選択制にしている研修施設では,呼吸器内科をローテーションしない場合,「呼吸器は難しそうだ」という先入観と苦手意識を持っている研修医は多い.呼吸器の研修を行っていないため実際を知らないがゆえの苦手意識,すなわち「食わず嫌い」である場合が少なくないのである.
呼吸器疾患は極めて多彩で,その診療は広い領域をカバーしなければならない.同時にその診療は超急性期から慢性期,さらには終末期までをも含んでいる.気管支鏡や胸腔鏡などの内視鏡やドレーン留置などの診断・治療の手技も豊富である.診療に当たっては,数値で示される検査結果ですぐに判断が可能なものは少なく,問診・身体診察,画像読影から呼吸機能検査の解釈,さらには病理組織所見など広範な患者データを統合し考えることを要求される.しかも診療がこの順番に進むことは少なく,例えば画像所見を見て,問診を追加したり採血項目を選択したりするといった場面が少なくない.すなわちこれら診断の各要素を行きつ戻りつし診断にたどり着くことが多い.このことが「呼吸器は難しい」という苦手意識につながり,呼吸器を敬遠する向きもあるように思う.しかし,これは逆に呼吸器診療の醍醐味ともいえる.
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