連載 暮らしと微生物 身の回りのモノから読み解く感染症・6
梅干しと感染症:保存食の知恵をたずねて
伊東 完
1
1筑波大学附属病院 病院総合内科
pp.935-939
発行日 2026年6月10日
Published Date 2026/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990630070935
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筆者の出身校である巣鴨中学校・高等学校には,大菩薩峠を徹夜で踏破する行事があります.距離は30〜50km(学年による).つい数カ月前まで小学生だった学生のほぼ全員が完遂してしまう凄まじいスパルタ式行事です.その目的は「歯を食いしばって努力すれば,無理にみえることも成し遂げられる」という成功体験を体に叩き込むためと筆者は理解しています.そして,この行事に持参するよう当時の校長から勧められていたのが梅干しおにぎりです(山頂で日の出を拝みながら頰張るという通過儀礼があります).クエン酸で疲れがとれるだけでなく,おにぎりが腐りにくくなるというのも理由らしいのですが,それは本当なのかと疑問にも感じていました.そこで,今回は冷蔵庫がなかった時代からの保存の知恵を考察していきます.塩漬け,酢漬け,乾燥,発酵のうち,発酵を除く3つの工夫を取り上げます.

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