NURSING EYE
看護の問題の根源をたずねて
仲島 愛子
1
1浦和市医師会看護専門学校
pp.1116-1120
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901025
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問題提起
1992年の「看護」6月号に,杉谷氏の「日本の看護は崩壊する」という記事が載っていたが1),そのショッキングな題名に誰もが驚かされたであろう.2か月後の8月号に早速その反響が掲載された.意見は肯定と否定に二分していた2).私自身は以前から杉谷氏と近い問題意識を持っていたので,この記事を読んで改めて背筋が寒くなる思いであった.確かに看護大学の相次ぐ設立,訪問看護制度の開始,専門看護制度の発足の見通しなど明るいニュースが続いているし,診療報酬での看護料の見直し,給与表の改定なども行なわれ,未曾有の高齢化社会を前にして看護が社会に認められつつあり,さらに期待されていることも確かであろう.しかしこのような明るいニュースがあるにもかかわらず,いやそれだからこそなお,鮮明に浮き上がってくるこの大きな不安は何なのであろうか.この看護にとってのまたとない好機にさえ変化のチャンスを結局は掴めないのではないかとの焦燥感を覚える.
表面上の様々な変化の陰で,看護の問題の根底にあるものは少しも変化せず,変化の兆しさえない.杉谷氏が指摘しておられるような看護の問題は看護職1人ひとりが確かに問題意識として持ってはいるだろう.しかしその解決の方策は皆無に等しく,問題の根源についてもほとんど理解されていないのが現状ではなかろうか.
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