特集 抗菌薬の選び方・変え方・やめ方
特集にあたって
中村 造
1,2
1東京医科大学病院 感染制御部
2東京医科大学病院 感染症科
pp.758-759
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620060758
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感染症治療における患者の予後に大きく影響を与える「抗菌薬」は,最初にどのような根拠で選ぶのか,何を選択し治療開始するのがよいのかが大切である.近年の本邦で求められている抗菌薬適正使用の考え方は,広域抗菌薬や効果のない抗菌薬を根拠なく選択しないこと,抗菌薬治療を検査結果や治療経過に基づいて日々適正化することである.一方で,実臨床では初診時に微生物検査結果や培養検査結果が即座には得られないことがほとんどで,間接的な血液検査結果や放射線診断結果をもとに治療方針を考えなければならず,そもそもどの抗菌薬で治療を開始すればよいのか迷うことも少なくない.結果として明確な根拠がないまま抗菌薬の安易な広域化が行われてしまう.そして,開始時よりも難しい臨床局面がその後に待ち構えていることは指摘されることが少ない.

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