書評
自己決定を超えて「生」を支える対話へ
明智 龍男
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
pp.476-477
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580050476
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ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という言葉が,日本の医療現場でも否応なく広がっている。しかしその導入は,単に欧米の医療実践にとどまらず,日本文化や人間関係の深層にまで及ぶ営みであることを,われわれはどこまで自覚できているだろうか。
本書は,31名の臨床家・研究者が執筆し,ACPの理論的基盤,現場での工夫,課題や展望を多面的に描いている。編者の竹之内沙弥香氏と森雅紀氏の思いが込められたタイトルの通り,本書はACPを単なる輸入型の医療実践としてではなく,「生を支える対話の営み」として捉え直そうとする真摯な姿勢に貫かれている。

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