マイオピニオン
イノベーションを目指して
福本 毅
1
Takeshi FUKUMOTO
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学
pp.180-181
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730800030180
- 有料閲覧
- 文献概要
「今後の抱負を書いてください」と依頼を受け,あらためて自分のこれまでの歩みを振り返る機会を得た.医師として過ごしてきた年月を顧みると,その節目にはいつも,新しい視点や考え方に触れる転機があったように思う.それらは決して大げさな出来事ではなく,日々の臨床や研究の現場で感じた違和感や,目の前の課題に向き合う中で芽生えた小さな疑問などに端を発していた.振り返れば,それらは自分なりに新しい道を模索するための試行錯誤であり,小さな挑戦の積み重ねであった.それらにイノベーションという大袈裟な言葉を当てはめるべきかどうかはわからないが,少なくとも現状を少しでも良くしたいという思いが,自分の歩みを支えていたように感じている.
医師になって初めて大きな壁を意識したのは,悪性黒色腫という難治性疾患との出会いであった.診断の遅れや治療選択肢の乏しさ,予後の厳しさなど,臨床の現場で悪性黒色腫の患者さんと向き合うたびに,その当時自分の力の及ばなさを痛感した.この疾患の病態を解明したいという思いが芽生え,大学院で研究を始めるきっかけとなった.なぜ悪性黒色腫はこれほどまでに治療抵抗性なのか,どのような生物学的プロセスが病態の本質や制御の難しさに関与しているのか.そうした疑問を解き明かしたいと考え,研究の道へと進んだ.
Copyright © 2026, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

