大型の紅斑を呈した汎発型環状肉芽腫の1例

A case of generalized granuloma annulare presenting large erythema

要約　75歳，女性．手首の環状肉芽腫と脂質異常症の既往あり．6年前に出現した両大腿部の自覚症状のない紅斑が拡大したため受診した．初診時，両大腿後面，右鼠径部および右下腿に爪甲大から小児頭大までの融合傾向のある紅斑もしくは紅褐色斑を認め，両手関節屈側に小指頭大の結節，両肘頭部近傍に中央が陥凹する環状の扁平丘疹がみられた．前医での手関節部の丘疹ならびに当院での右鼠径部の紅斑からの病理組織像で，ムチン沈着を伴う柵状肉芽腫の形成があり，汎発型環状肉芽腫と診断した．自験例は，環状を呈する定型疹だけでなく，結節や紅斑を呈する多彩な非定型疹が同時に存在したことに加え，大型の紅斑を形成したことが特徴的であった．大型の紅斑を呈する環状肉芽腫は，通常の環状肉芽腫とは異なり，高齢者の体幹部やその近傍に好発するのと同時に，多彩な非定型疹を伴う傾向を示すため留意が必要である．