Japanese
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症例報告
ミノサイクリンの囊腫内注入による硬化療法が有効であったベーカー囊腫の1例
A case of Baker's cyst responded to sclerotherapy with intracystic injection of minocycline
山本 惇
1
,
芳賀 貴裕
1
Jun YAMAMOTO
1
,
Takahiro HAGA
1
1気仙沼市立病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kesennuma City Hospital, Kesennuma, Japan
キーワード:
ベーカー囊腫
,
ミノサイクリン
,
囊腫内注入
,
硬化療法
Keyword:
ベーカー囊腫
,
ミノサイクリン
,
囊腫内注入
,
硬化療法
pp.649-653
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790090649
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要約 75歳,男性.数年前から右膝窩部の腫脹が持続し,圧迫感を自覚したため,当科を受診した.初診時,右膝窩部に手拳大で,弾性軟の皮下腫瘤を認めた.超音波検査で,膝関節腔と交通する囊腫構造を呈する,低エコー腫瘤を認めた.穿刺すると淡黄色調を呈する液体が排出されたため,ベーカー囊腫と診断した.超音波ガイド下で,ミノサイクリン(MINO)の囊腫内注入による硬化療法を開始した.19回の囊腫内注入により外見上腫脹は改善し,超音波検査でも囊腫の縮小を認めた.ベーカー囊腫の治療選択肢として,外科的手術や関節鏡視下手術があるが,解剖学的に膝窩動静脈や脛骨神経,総腓骨神経が近接しており,術後合併症のリスクになりうる.MINOによる硬化療法の適切な用法,用量,治療期間に関して確立したものはない.しかし,合併症のリスクは少なく,有効な治療選択肢の1つになりうると考えられた.

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