乾癬様皮疹を呈した川崎病の1例

A case of Kawasaki disease presenting with a psoriasis-like rash

要約　10か月，男児．発熱，体幹の皮疹，BCG接種痕の発赤が出現し，川崎病の診断で前医入院した．免疫グロブリン大量静注療法（intravenous immunoglobulin：IVIg），アスピリン内服で体幹の発疹は消退したが解熱しなかった．病日6日目に新たに頰部，下肢に皮疹が出現し，IVIg，プレドニゾロンを投与されたが改善せず当院小児科に転院した．皮膚科初診時，頰部には鱗屑をつける紅斑，下肢には浸潤を触れる暗赤色局面を認めた．病理組織では，過角化と錯角化を認め，表皮肥厚，一部に液状変性とリンパ球の浸潤があり，個細胞壊死も散見された．過去の文献を参考に川崎病に伴う乾癬様皮疹と診断した．シクロスポリン内服が開始され，皮疹にはステロイド外用を開始した．解熱したが皮疹は消退せず，退院時にJanus kinase（JAK）阻害薬外用に変更し，病日72日目に皮疹の消退を確認した．本邦での乾癬様皮疹14例について検討し，顔面，四肢に好発すること，不定形発疹消退後に出現する傾向があること，平均68病日で消退すること，特定の治療により消退時期が短縮する傾向はないことがわかった．