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Rinsho Hifuka Volume 79, Issue 5 （April 2025）

臨床皮膚科 79巻5号（2025年4月発行）

Japanese English

増刊号特集最近のトピックス2025　Clinical Dermatology 2025

2．皮膚疾患の病態

局所型汗孔角化症の発症機序 Pathogenesis of localized porokeratosis 齋藤苑子 ¹ , 久保亮治 ^1,2 Sonoko SAITO ¹ , Akiharu KUBO ^1,2 ¹慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 ²神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野 ¹Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan ²Division of Dermatology, Department of Internal Related, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe, Japan キーワード：汗孔角化症 , 局所型汗孔角化症 , FDFT1 , エピゲノム異常 , 体細胞モザイク Keyword: 汗孔角化症 , 局所型汗孔角化症 , FDFT1 , エピゲノム異常 , 体細胞モザイク pp.42-48

発行日 2025年4月10日 Published Date 2025/4/10

DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790050042

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汗孔角化症は，円形または環状の皮疹を呈する遺伝性皮膚疾患である．複数の原因遺伝子が報告されているものの，原因遺伝子が不明な患者もおり，その病態は十分に解明されていなかった．われわれは，既知の原因遺伝子に生殖細胞系列バリアントを認めない患者の病変部表皮検体を用いて，網羅的なゲノム・エピゲノム解析を実施し，汗孔角化症の新規原因遺伝子としてFDFT1を同定した．さらにわれわれは，皮膚局所に皮疹が単発もしくは多発する特徴を示す汗孔角化症では，FDFT1プロモーターの異常高メチル化によりFDFT1発現がサイレンシングされた表皮細胞がクローン性に拡大して皮疹を形成していることを発見し，エピゲノム異常の体細胞モザイクという皮膚疾患の新たな病態形成メカニズムを明らかにした．これまで汗孔角化症は顕性遺伝性疾患と考えられてきたが，胎生期に獲得されたエピゲノム異常のモザイクにより発症する非遺伝性の汗孔角化症の存在が明らかになった．