書籍・雑誌概要

大それた言い方のようですが、糖尿病は遺伝病といってもよい病気です。
そもそも、同じ食生活をしていても、糖尿病になる人と、ならない人がいるのはなぜでしょうか？
「糖尿病の自分よりも、もっと非健康的な生活をしているあの人は、なぜ糖尿病にならないんだろう...？」
答えは「遺伝子」です。言い換えれば、体質です。
たとえば2型糖尿病の場合は、もともと、「遺伝的に糖尿病になりやすい方」が、加齢、生活習慣が崩れたり肥満、運動不足、ストレス、たばこなどの環境因子を原因として発症します。1型糖尿病も、HLAなど20種類弱の遺伝子が発症に関与していると考えられています。
そのため、どんなに気をつけても糖尿病を発症することもあれば、糖尿病になりやすい体質でも、環境によっては発症しないことがあります。
ぼくは10歳の時に2型糖尿病と診断され、のちに遺伝子診断で実はMODY3(家族性若年糖尿病)であったことがわかった糖尿病患者であり、糖尿病の方を診療する糖尿病専門医でもあります。
日々診療の中、医師・患者目線から糖尿病のことについてお話します。書くことができればと、患者さんは勿論のこと、糖尿病の診療に関係する医療者にもお伝えできそうなことも書いてみました。よければこの本をご覧いただけますと嬉しいです。

目次

はじめに
第１章　ぼくとMODY
1　ぼくがMODYと診断された話①
2　ぼくがMODYと診断された話②
3　ぼくがMODYと診断された話③
4　ぼくがMODYと診断された話④
5　ぼくがMODYと診断された話⑤
6　MODY（家族性若年糖尿病）とは？①
7　MODY（家族性若年糖尿病）とは？②
　MODYについて　依藤　亨　先生より
コラム糖尿病と遺伝子の話
第２章　まず、はかる
8　まず、はかる
9　FreeStyleリブレを使ってみよう
コラムFreeStyleリブレのテープかぶれ対策
10　痛くない血糖測定の方法は？
コラム果物を食べた手で血糖測定してみた
11　自分のHbA1cが上がってたら
第３章　おくすり
12　インスリン注射時の消毒、空打ちは必要？
13　インスリン針の使いまわしは、しないほうが無難
コラムインスリンの針って
コラムインスリンはカートリッジタイプにしたらお得？
14　夏のインスリン
15　GLP-1受容体作動薬が美容痩身に効くってホント？
16　1型糖尿病とSGLT2阻害薬
17　低血糖を繰り返すと、どうなるの？
18　それって、もしかして夜間低血糖？奥深い低血糖症状
第４章　食事療法
19　果物は食べたほうがいい
20　基礎カーボカウント法のススメ
21　炭水化物オンリー菓子を食べる時は？
22　糖尿病の人が糖質制限をするとどうなる？
23　1型糖尿病のハネムーン期間、本当は拒食期間？
第５章　シックデイ、日常生活
24　シックデイのハードルを下げよう～あれもこれもプチシックデイ～
25　インスリン使用中の旅行～注意すべき11のポイント～
26　災害時にも役立つ日頃からの備え
27　フットケアをはじめよう～健康は足元から～
コラム紹介状を発行された際は、どうしたらいいの？
おわりに～大切なおはなし～
28　「スティグマ」という言葉をご存知ですか？
29　「スティグマ」についてもう少し
30　糖尿病のカミングアウトとアウティングについて思うこと