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市場原理とアメリカ医療
日本の医療改革の未来形 自由競争・医療格差社会を生き抜くアメリカ式医療経営入門
筆頭著者 石川 義弘 (著)
横浜市立大学大学院医学研究科循環制御医学教授/ニュージャージー州立大学医学部教授・同附属病院指導医
医学通信社
電子版ISBN
電子版発売日 2019年6月10日
ページ数 290
判型 46
印刷版ISBN 978-4-87058-365-8
印刷版発行年月 2007年7月
書籍・雑誌概要
本医療が模倣しようとしているアメリカ医療。「日本は本当にそのままアメリカ医療を模倣してしまってよいのですか?」──その問い掛けが本書の最大のコンセプトです。
◆朝日新聞(2007年8月19日)の読書欄、ならびに「週刊/社会保障」(2007年8月6日、No.2443)など、多数の雑誌に書評が掲載されました。ページ見本をご参照下さい。◆
★本書では,アメリカ医療の現実の光と影──熾烈な自由競争と病院の倒産・合併,数千万人もの無保険者と苛烈な医療格差社会,世界一の膨大な医療費,頻発する高額医療訴訟,世界最先端の医療技術,市場原理に基づく合理的医業経営──をありのままに描出し,アメリカの社会全体の有り様,その病弊や構造的問題点を鋭くえぐっています。
★現役の医師として,日本とアメリカを毎月往来し,日本の医療現場,アメリカの医療現場をともに深く知る著者ならではの卓越した視点とリアルな知識。日本とアメリカの医療はどこがどう違うのか,何を学び何を学ぶべきではないのか,もしもアメリカ医療が日本で本格導入された場合,日本の医療者はどう対応すべきか,経営法はどう変わるのか──などにつき,実体験に基づくリアルな筆致で分析・解説しています。
★アメリカ医療の実態を知らずには,日本の医療の未来は見えてきません。医療にかかわる全ての人に向けた必読の書です!
■推 薦■
川渕孝一・東京医科歯科大学大学院教授
現在も医師として毎月アメリカと日本を行き来している著者が,大学病院倒産などの事例を交えてアメリカ医療の光と影を紹介・分析。迷走を続ける日本の医療制度改革のヒントが随所に見られる医療関係者・病医院経営者必読の書と言える。
目次
はじめに「自由競争・医療格差社会──アメリカ医療の光と影」
Ⅰ 市場原理のダイナミズムとアメリカ医療制度
1.アメリカの現実は日本の近未来か
2.アメリカでは大学病院も倒産する
3.患者の権利法案
4.アメリカの医療訴訟―全国紙の紙面をにぎわす訴訟広告
5.医療政策と大統領選挙―キーワードは老人保健改革
6.どうして医療費が高騰したのか
7.アメリカの医者の収入の変化―HMOを意識しながらの治療と検査
8.医療広告と患者
Ⅱ アメリカの大学病院倒産物語
1.アリゲーニ大学医学部の沿革
2.拡大戦略が始まる―病院から医学部への脱皮
3.破産申請―成功の裏にしのびよる影
4.吸収合併とチェーン化現象
5.医学部の統廃合
6.スタンフォード大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の合併
Ⅲ 医療株式会社倒産物語
1.ヘルスサウス社の誕生
2.メドパートナー社の急成長
3.ノウハウ獲得失敗
4.史上最大の合併が藻屑となる
5.HMOの興亡
6.競争原理と医療
Ⅳ 医療経済の考え方
1.医療経済は情報の非対称性の典型
2.病院とマクドナルド―キーワードはマニュアル化
3.日米医療はどこが違うのか―アメリカ式導入には“翻訳”が必要
Ⅴ アメリカ式医療経営法入門
1.医者が身につける“経営者のセンス”とは
2.アメリカ式病院経営術―医学部の枠組みのなかでの開業
3.ドクターズフィーと病院経営
4.診療科の経営術―診療科レベルの収入は個人と異なる
5.経営のための診療科分類
6.働く医師をどうやって育てるか
7.大学医学部の経営術―利害関係の異なる三つの組織の集合体
8.人的資源の活用が運営の鍵に
9.教育・研究・診療のバランスをどうするか
10. 教員の業績評価をどうするか
11. 経営黒字は目標でなく現実とすべし
Ⅵ アメリカの医療教育
1.早期教育の重要性
2.カルテの記載
3.アメリカの医学生はどこまでこなすか―しっかりした教育は自分のために
4.アメリカの医学生はどこまでカルテを書くか
5.アメリカの医学生はどこまで考えるか
6.アメリカの国家試験―すべて臨床に直結する問題
Ⅶ アメリカ流の医師サバイバル術
1.研修医のサバイバル術―こっそりとアルバイト
2.若手医師と開業
3.アメリカ流の診療報酬入門
4.3項目の理解が重要
5.変換定数は変わり得るもの
6.アメリカの病院で働くとはどういうことか
7.医師募集!
8.半端ではない提出書類の数
9.保険会社との交渉術
10.医療経営と医師免許更新
11. 陪審員制度と医師
Ⅷ アメリカ流医療改革入門
1.医療改革はどうして難しいのか
2.エビデンスに基づいた医療と経営
3.薬価差益と医療の歴史
あとがき