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頭頸部腫瘍学入門

頭頸部腫瘍学入門
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筆頭著者 宮原 裕 (著者)

大阪大学臨床教授

東京医学社

電子版ISBN

電子版発売日 2018年7月16日

ページ数 442

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-88563-146-7

印刷版発行年月 2004年5月

DOI https://doi.org/10.24479/9784885631467

書籍・雑誌概要

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の臨床において,頭頸部悪性腫瘍の占める割合は決して低いものではなく,悪性腫瘍の早期診断が治療成績の向上につながることである。また,従来からの手術的治療,放射線治療に加えて,化学療法,免疫療法,さらに将来的に遺伝子治療も課題となってきたとはいうものの現段階においては,手術と放射線治療が治療法の要である。悪性腫瘍には転移能力があり,強力な制御の策をいまだ持つことがなく,拡大摘出,再建の流れとともに縮小手術,機能温存手術,臓器温存の方向も模索されている。
 本書は,わが国において頭頸部癌についての著書が少ない上,世界的に認められるものとなっておらず,今般臨床疫学を含む基本的な臨床記述的事項はもちろん,第一人者である筆者の経験を中心に診断(画像を含めて),治療法についてまとめたものである。

目次

総論
I.頭頸部悪性腫瘍の実態
 1.頭頸部悪性腫瘍の臓器別・部位分類
 2.日本における頭頸部悪性腫瘍の発生部位別頻度
 3.日本における頭頸部癌罹患の推移
 4.日本における頭頸部癌の5 年生存率
II.頸部リンパ節の解剖と臨床(頸部郭清術)
 1.頸部リンパ節の解剖
 2.頸部郭清術
III.癌のWHO病理分類
IV.癌のUICC によるTNM分類(1997,2002)
V.診断の進め方
 1.問 診
 2.視 診
 3.触 診
 4.X線検査
 5.超音波検査
 6.シンチグラム
 7.組織生検,穿刺吸引細胞診
 8.腫瘍マーカー,血清学的検査
 9.免疫学的検査
 10.癌別診察,必須検査
VI.治療法概説
 1.頭頸部悪性腫瘍の治療にあたっての問題点
 2.治療法
VII.癌患者への接し方
 1.インフォームド・コンセント(I.C.)と癌の告知
<ポイント>
 2.ターミナルケアー末期患者に対してのターミナルケアー
 3.癌性疼痛のコントロール
癌性疼痛緩和治療プログラム例
VIII. 頭頸部悪性腫瘍の発癌要因
 1.頭頸部癌臨床における疫学的事項の価値51
 2.癌の疫学とは
 3.発癌要因の関与に関する指標
 4.臨床疫学的事項が診断に有意義であった例
IX.前癌病変とその取り扱い
X.頭頸部癌における重複癌
 1.重複癌
 2.喉頭内多発癌症例について

各論
I.良性腫瘍
 1.咽頭の良性腫瘍
 2.喉頭の良性腫瘍
 3.口腔の良性腫瘍
 4.鼻・副鼻腔の良性腫瘍
 5.唾液腺の良性腫瘍
 6.甲状腺の良性腫瘍
 7.頸部の良性腫瘍
 8.外耳,中耳,内耳道の良性腫瘍
II.咽頭悪性腫瘍
II-1.上咽頭癌
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療
 9.予 後
<ポイント> 
II-2.中咽頭癌
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.放射線治療
 10.手術療法
 11.予 後
<ポイント>
<論文>
 1.中咽頭癌
 2.中咽頭癌の病態についての研究
II-3.下咽頭・頸部食道癌
 1.概念・病因・疫学
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断のポイント
 8.治療方針
 9.放射線治療
 10.化学療法
 11.手術療法
 12.予 後
<追 補>
 1.下咽頭癌切除後の再建術の一変法 
   大胸筋皮弁によるパッチ法
 2.頸部食道癌
III.喉頭癌
 1.概念・疫学・病因
 2.病型・分類・好発部位
 3.頻度・好発年齢
 4.TNM分類の要約
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治 療
  A.放射線治療
  B.喉頭部分切除術
  C.喉頭亜全摘術
  D.喉頭全摘出術
 9.予 後
<ポイント>
  1)Multicentric な喉頭内発癌
  2)喉頭全摘出術の際の注意点
  3)頸部リンパ節郭清術
<特別講義(基礎的研究と臨床)>
〔喉頭の区画(compartment)と癌の発生母地〕
〔腫瘍の進展形式〕
 1.声門部癌の進展形式
 2.声門上部癌の進展形式
 3.Transglottic cancer (混合型) の進展形式
 4.声門下部癌の進展形式
〔声門部癌T1 に対する放射線治療による
局所制御率〕
〔喉頭声門上部癌の病態と治療〕
〔喉頭水平部分切除術,垂直部分切除術〕
 1.喉頭水平部分切除術の適応
 2.喉頭水平部分切除術の実際
 3.垂直部分切除術
〔頸部リンパ節転移,遠隔転移〕
〔喉頭癌の頸部郭清術の適応・術式・成績〕
 1.喉頭癌における頸部リンパ節転移の頻度
 2.頸部郭清術の適応
 3.頸部郭清術の術式
 4.頸部郭清術の成績
〔喉頭のtransglottic cancer について〕.
IV.口腔癌
 1.概念・病因
 2.病型・分類・頻度
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
<講 義> 
〔舌癌(cancer of the tongue)の診断と治療〕
 1.頻度・好発年齢
 2.概念・病因
 3.好発部位
 4.症状の診かた
 5.診断・鑑別診断
 6.治療方針
 7.予 後
〔舌癌以外の口腔癌の治療〕
〔前癌病変とその取り扱い〕
 1.白斑症(leukoplakia)
 2.紅斑症(erythroplakia, erythroplasia)
 3.扁平苔癬(lichen planus)
 4.白斑症への対処.
〔再建術と術後機能〕
〔口腔内多発癌〕
V.上顎洞癌(鼻・副鼻腔悪性腫瘍)
 1.概念・病因
 2.病型・分類・頻度
 3.頻度・好発年齢
 4.症状の診かた
 5.検査法と所見の読みかた
 6.診断・鑑別診断
 7.治療方針
 8.予 後
<論文>
 9.その他の鼻・副鼻腔癌の特徴
VI.唾液腺悪性腫瘍
 1.概念・病因
 2.病型・病理分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位.
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読み方
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
<ポイント>
<論 文>
 1.唾液腺腫瘍の臨床統計
 2.唾液腺腫瘍の臨床
 3.顎下腺腫瘍の臨床
<症例提示>
 補 表
VII.外耳(外耳道)・中耳癌
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
VIII.甲状腺癌
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.病 期
  5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
<特別講義>
 1.甲状腺癌の臨床的特徴
 2.甲状腺腫瘍統計と癌治療成績
 3.甲状腺未分化癌と甲状腺悪性リンパ腫
IX.悪性リンパ腫
 1.概念・病因
 2.病型・病理組織分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
   初発部位と症状
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・病期
 8.治療方針
<講 義>
 9.予 後
 10.看 護
 11.好中球減少症に対するG-CSF 剤
<ポイント>
 付表1 CHOP化学療法プロトコール(入院用)
 付表2 CHOP化学療法プロトコール(外来用)
 付表3 MACOP-P化学療法プロトコール
 付表4 MEPP化学療法プロトコール
X.頭頸部小児癌の特徴
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.診断・鑑別診断
 7.治療方針
 8.予 後
<メ モ>
XI.非上皮性悪性腫瘍
 1.概念・病因
 2.病型・分類
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
XII.原発不明頸部癌
 1.概念・分類
 2.症状の診かた
 3.検査法<br> 4.診断・鑑別診断<br> 5.治療方針
 6.予 後
 7.症例提示
XIII.Wegener 肉芽腫症と類縁疾患
 1.概 念
 2.病型・分類・病因
 3.頻度・好発年齢
 4.好発部位
 5.症状の診かた
 6.検査法と所見の読みかた
 7.診断・鑑別診断
 8.治療方針
 9.予 後
<ポイント>
XIV.頭頸部悪性黒色腫
 1.概 念
 2.好発部位
 3.症状の診かた
 4.検査法と所見の読みかた
 5.診断・鑑別診断
 6.治療方針
 7.予 後
XV.機能温存手術,縮小手術と
   再建外科の進歩
XVI.放射線治療の基礎と臨床
 1.種類と治療法
 2.放射線治療による病理的変化
 3.放射線治療による副作用への対策
 4.放射線治療での看護
粒子線治療
付表 パラプラチンと放射線同時併用療法
プロトコール
XVII.癌化学療法の基礎と臨床
 1.頭頸部癌における化学療法
 2.抗癌剤(化学療法剤)の種類と効果
 3.化学療法の効果判定基準
 4.化学療法の集学的治療における役割,
   理論,薬剤選択
 5.Cisplatin, Peplolmycin を主体とする
   多剤併用療法の効果(自験例)
 6.副作用対策の進歩
【奈良県立医科大学例】
 7.化学療法の今後の展望
 付表1 CDDP化学療法マニュアル
 付表2 CDDP, 5FU, PEP 化学療法プロト
    コール
 付表3 CDDP, MTX, PEP 化学療法プロト
    コール
 付表4 Decetaxel, CDDP, 5FU(TPF)化学
    療法プロトコール
 付表5 日本人の体表面積算出表
癌の疫学,診断,治療における
トピックス解説 
I.頭頸部癌の発癌要因
 1.生活環境と頭頸部癌
  A.環境,外因とヒト癌に関する
    疫学的研究の歴史
  B.喉頭癌
  C.口腔・咽頭癌
  D.上咽頭癌
  E.鼻・副鼻腔癌
  F.その他の癌
  G.放射線誘発癌
 2.喫煙・飲酒と頭頸部癌発癌のリスク
  A.わが国における喫煙の動向
  B.喫煙の免疫への影響
  C.直接喫煙と受動喫煙(間接喫煙)
  D.喫煙関連癌
  E.喫煙と頭頸部癌
  F.喫煙と喉頭癌.
  G.喫煙とその他の頭頸部癌
 3.発癌機序と遺伝子の関与
  A.頭頸部癌における分子生物学の役割
  B.癌遺伝子
  C.癌抑制遺伝子
  D.遺伝性腫瘍
  E.転移浸潤関連因子
  F.遺伝子診断
II.癌を見逃さないために
 1.喉頭癌<br> 2.上咽頭癌
 3.下咽頭癌
 4.上顎洞癌
III. 病理診断の有用性
IV.他領域からの転移癌
V.頭頸部領域の放射線誘発癌
VI.頭頸部癌の予後因子
 1.DNA ploidy pattern と予後分析
 2.免疫組織染色による細胞増殖活性の評価と予後
 3.癌遺伝子,癌抑制遺伝子の関与ー
  分子生物学的アプローチ
VII.21 世紀癌の診断と治療の進歩
 1.癌治療の進歩
 2.癌治療のガイドライン
 3.癌の遺伝子治療
VIII.高齢者頭頸部癌の特徴と治療
 1.頭頸部癌患者の高齢化
 2.喉頭癌,下咽頭癌における高齢化
 3.疫学的特徴
 4.高齢者頭頸部癌患者の背景因子
 5.高齢者に対する治療
頭頸部外科症状からみた診断アプローチ法
I.頸部腫瘤をみたらどう考える.
 1.診断上の注意<br> 2.頸部リンパ節疾患:頸部リンパ節の
   腫脹をどう攻めるか
 3.甲状腺疾患:甲状腺の腫れをみたら
   どうするか
 4.唾液腺疾患
 5.先天性嚢胞疾患
 6.その他の皮膚・皮下疾患など
 7.小児にみられる顔面・頸部良性腫瘍
 8.治療方針
II.のどの異常感を訴える患者は
  どう診察するか
III.嗄声を訴える患者はどう診察するか.
IV.仮声帯が腫れている, どうするか
V.喉頭麻痺(反回神経麻痺)の所見を
みたらどうするか
VI.披裂部の腫れをみたらどうするか.
VII.舌縁がただれている,どうするか
VIII.扁平苔癬はどうするか
IX.上咽頭癌の診断のコツ
X.鼻腔メラノーマを見逃すな
XI.どういうときに生検をするか
索引