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運動器の傷害と機能障害
その病態とメカニズム
筆頭著者 沖田 実 (編集) 坂本 淳哉 (編集)
三輪書店
電子版ISBN
電子版発売日 2021年3月29日
ページ数 264
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-89590-720-0
印刷版発行年月 2021年3月
書籍・雑誌概要
リハビリテーション医療における適切な介入戦略を選択・実践するうえで不可欠な“傷害の治癒”と“機能障害の発生”にかかわるメカニズムを整理
本書は、15章の構成としている。1章(総論)では、リハビリテーション医療の対象となる運動器の傷害ならびに機能障害の発生状況の実態を紹介し、傷害と機能障害の因果関係について解説している。続いて2章(炎症)と3・4章(疼痛)では、どのような組織が傷害を受けても共通して発生する症候をまとめており、これらの章は以後の10章までの内容を理解するうえでの基礎となる部分でもある。ただし、疼痛に関しては症候として発生するのみならず(急性痛)、それ自体が機能障害あるいは疾病に発展する(慢性疼痛)ことも解説しており、運動器の機能障害としての位置付けにもなっている。そして、5章~10章(創傷、靱帯損傷、腱損傷、骨損傷、末梢神経損傷、筋損傷)では、組織区分に基づき傷害の病態とメカニズムを解説している。なお、創傷は運動器の傷害には含まれないものの、熱傷と褥瘡といった創傷はリハビリテーション医療の対象であり、しかもその治癒過程のメカニズムは靱帯や腱、骨など、結合組織で構成される組織にも汎用・応用できることから、本書では取り扱っている。続いて11・12章(筋力低下)、13・14章(関節可動域制限)では、典型的な運動器の機能障害を取り上げ、その病態とメカニズムを解説している。そして、最後の15章(フレイル)では、高齢社会の到来によってリハビリテーション医療の対象患者の多くが高齢者であることを踏まえ、高齢者の健康問題の基盤にあるフレイルを取り上げ、これが運動器の傷害ならびに機能障害の発生に深く関与していることを解説している。加えて、学生の自己学修にも活用できるよう多くの章に共通する基礎的事項やメカニズムに関する最新知見などはコラムとしてまとめている。
本書は、未だに臨床で目にする旧態依然の対症療法的な介入戦略からの脱却を図り,“メカニズムを基盤としたリハビリテーション医療(Mechanism-Based Rehabilitation)”の実現に必要な知識を集約した一冊である。
目次
1 総 論・・・沖田 実
● 運動器の傷害と機能障害
運動器とは
運動器の傷害とは
運動器の機能障害とは
運動器の傷害と機能障害の関連性
● 運動器の傷害の実態
スポーツ傷害
高齢者の外傷
その他の傷害
褥瘡の実態
● 運動器の機能障害の実態
疼 痛
筋力低下
関節可動域制限
2 炎 症・・・本田祐一郎
● 炎症とは
定 義
特 徴
原 因
分 類
● 炎症を理解するための基礎医学的知識
炎症細胞
炎症に関与する化学伝達物質
不要となった細胞を排出する機能
● 炎症のメカニズム
血管内径の変化と血流量の変化
血管の透過性亢進と血漿成分の漏出
白血球の血管外への流出
白血球による貪食
炎症の終息
● 炎症の実例
関節炎の原因
関節リウマチにおける滑膜炎の発生メカニズム
3 疼 痛 Part 1・・・坂本淳哉
● 痛みとは
定 義
痛みの多面性
急性痛と慢性疼痛
概 念
分 類
● 痛みを理解するための基礎医学的知識
痛みの神経伝達経路
痛みの中枢伝達経路
痛みに関与する脳領域
痛みを抑制するシステム
4 疼 痛 Part 2・・・坂本淳哉
● 侵害受容性(炎症性)疼痛
侵害受容性(炎症性)疼痛とは
侵害受容性(炎症性)疼痛のメカニズム
● 神経障害性疼痛
神経障害性疼痛とは
神経障害性疼痛のメカニズム
● 不活動性疼痛
不活動性疼痛とは
不活動性疼痛のメカニズム
● 慢性疼痛への発展
急性痛を発端とした慢性疼痛
急性痛から慢性疼痛に発展するメカニズム
不活動が及ぼす影響
5 創 傷・・・後藤 響
● 創傷とは
定 義
リハビリテーション医療の対象になることの多い創傷
● 創傷を理解するための基礎医学的知識
皮膚の構造
皮膚の機能
● 創傷の治癒過程のメカニズム
創傷の治癒過程
治癒過程に影響を及ぼす要因
6 靱帯損傷・・・坂本淳哉
● 靱帯損傷とは
定 義
症 状
● 靱帯損傷を理解するための基礎医学的知識
靱帯の構造
靱帯の機能
● 靱帯損傷の治癒過程のメカニズム
靱帯損傷の治癒過程
治癒過程に影響を及ぼす要因
再建靱帯の治癒過程
7 腱損傷・・・佐々木遼
● 腱損傷とは
定 義
症 状
● 腱損傷を理解するための基礎医学的知識
腱の構造
腱の機能
● 腱損傷の治癒過程のメカニズム
腱損傷の治癒過程
治癒過程に影響を及ぼす要因
8 骨損傷・・・近藤康隆
● 骨損傷とは
定 義
分 類
症 状
● 骨損傷を理解するための基礎医学的知識
骨の構造
骨の発生と成長,リモデリング
骨組織の基質と荷重負荷
骨の機能
● 骨損傷の治癒過程のメカニズム
骨折の治癒過程
治癒過程に影響を及ぼす要因
9 末梢神経損傷・・・大賀智史
● 末梢神経損傷とは
定 義
原 因
症 状
● 末梢神経損傷を理解するための基礎医学的知識
末梢神経の構造
ニューロンの構造
機 能
● 末梢神経損傷の治癒過程のメカニズム
末梢神経損傷の病態分類
治癒過程のメカニズム
治癒過程に影響を及ぼす要因
10 筋損傷・・・本田祐一郎
● 筋損傷とは
定 義
分 類
● 筋損傷を理解するための基礎医学的知識
骨格筋の構造
骨格筋の機能
● 筋損傷のメカニズム
筋損傷の病態
筋損傷の発生メカニズム
● 筋損傷後の再生過程
筋線維の再生過程
筋損傷の指標と臨床症状
● 筋損傷後の変化
超回復現象
繰り返し効果
過用性筋力低下
11 筋力低下 Part 1・・・片岡英樹
● 筋力低下とは
定 義
筋力低下と筋萎縮
原 因
● 筋力低下を理解するための基礎医学的知識
筋線維の種類
運動単位
筋核と筋核ドメイン
筋構成タンパク質の代謝
● 廃用性筋萎縮のメカニズム
定 義
特 徴
発生メカニズム
12 筋力低下 Part 2・・・片岡英樹
● サルコペニアのメカニズム
定 義
診 断
分 類
特 徴
発生メカニズム
● その他の筋力低下のメカニズム
ICU獲得性筋力低下
悪液質に伴う筋力低下
13 関節可動域制限 Part 1・・・沖田 実
● 関節可動域制限とは
定 義
分 類
拘縮とは
強直とは
筋収縮に由来した関節可動域制限
関節可動域制限の臨床病態
● 関節可動域制限を理解するための基礎医学的知識
関節とは
関節周囲軟部組織の構造と機能
関節構成体の構造と機能
● 関節可動域制限の責任病巣
関節可動域制限の発生・進行に影響する要因
不動に伴う関節可動域制限とその責任病巣の推移
14 関節可動域制限 Part 2・・・沖田 実
● 皮膚性拘縮のメカニズム
皮膚性拘縮とは
皮膚病変と皮膚性拘縮
不動と皮膚性拘縮
● 筋性拘縮のメカニズム
筋性拘縮とは
不動と筋性拘縮
● 関節性拘縮のメカニズム
関節性拘縮とは
不動と関節性拘縮
関節内病変と関節性拘縮
● その他の関節周囲組織の変化
靱帯の変化
関節軟骨の変化
滑液の変化
15 フレイル・・・平瀬達哉
● フレイルとは
定 義
分 類
判定方法
● フレイルを理解するための基礎医学的知識
加齢に伴う心身機能,内分泌系の変化
フレイル発生の危険因子
● フレイルのメカニズム
フレイルの発生メカニズム
フレイルサイクル
Column
結合組織の構造と機能・・・本田祐一郎
軟部組織損傷に対するリハビリテーションの考え方・・・坂本淳哉
筋力,筋萎縮,筋量の評価・・・片岡英樹
廃用性筋萎縮の発生メカニズムにかかわる分子機構・・・片岡英樹
筋肥大のメカニズムにかかわる分子機構・・・本田祐一郎
筋性拘縮の発生・進行のメカニズムにかかわる分子機構・・・沖田 実
索 引