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うつ病ダイバーシティ

うつ病ダイバーシティ
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筆頭著者 小林 聡幸 (著)

金原出版

電子版ISBN 978-4-307-85075-9

電子版発売日 2023年9月27日

ページ数 352

判型 四六変判

印刷版ISBN 978-4-307-15075-0

印刷版発行年月 2023年9月

DOI https://doi.org/10.18888/9784307850759

書籍・雑誌概要

最近、世間ではうつ病は心の風邪、誰でもかかる病気というキャンペーンがはられ、すっかりスティグマは軽減した。抗うつ薬のマーケットは拡大し、副作用の少ない薬が開発されて、極論だが「うつかどうかよくわからないけど、大して害はないから薬でも飲ませとけ」という時代にまで変化している。
うつ病はいったん世間で脚光を浴びたが、いまや関心は斜陽、アカデミアではいつでもちょっと日陰者。それでも、もう一度うつ病についてきちんと考えようという意見を共有する精神科医は少なからずいるが、まだまだ不十分だ。
診断基準やガイドラインだけでは立ち向かえないうつ病の臨床のリアルに、精神病理学の扉が開く。エッセイと学術が行き来する軽妙な筆致で描き出す、新感覚の精神医学書。

目次

プレリュード:うつは世につれ世はうつにつれ

環の章 コロナうつなんか怖くない
 コロナ禍にうつ病はかわったか
 コロナ禍はうつ病発症を押したか
 新型コロナウイルスはうつ病を惹起するか
 うつ病はコロナを取り込むのか

沌の章 泥沼化するうつ病最前線
 古きよき内因性うつ病
 操作的診断と軽症うつ病
 ニッポンのうつ病
 双極性障害とうつ病性障害の分離

刻の章 不安、恐怖、抑うつ ~未来の脅威、現在の危機、過去の呪縛
 抑うつの周辺症状
 不安―この根源的なもの
 恐怖―この動機付けられたもの
 抑うつ―内容のない喪失
 未来・現在・過去

極の章 双極性障害としてのうつ ~二つの極の狭間を飛ぶ、墜落なしに
 二つの極の病気
 頻発性双極症
 「上昇力」と「落下力」
 拮抗面の安定化

混の章 躁とうつの混合 ~天高く心沈み、死ぬほどに歓呼す
 天高く歓呼し、死ぬほどに心沈む
 混合状態の検討と評価
 躁うつ混合の臨床的諸相
 躁うつ病の基本的病像としての混合状態
 宮本の構想の現代的意義

幻の章 夢幻様状態 ~逃げたら、夢で逢いましょう
 うつなきうつ
 「ボケた」母 
 カツ丼の味と夢幻様体験
 うつ性の受け入れの困難
 「無知」としての躁とヒステリー
 精神療法的観点

徴の章 自己臭 ~におってごめんのセミオティクス
 ハラハラ狂詩曲
 うつと自己臭
 ふぬけで忌避される
 自己臭と身体近接性
 自己臭とうつ病性妄想
 自己臭と混合状態
 自己臭の記号論

インテルメッツォ1 登場薬物名鑑

迫の章 強迫 ~とらわれたのは、あなたのせいよ
 とらわれのラーメン屋
 強迫症から生ずるうつ
 うつ病から生ずる強迫
 うつと強迫の内的関連
 うつと強迫の往復運動
 こだわりがとらわれを癒す

妄の章 妄想 ~みだりであるが、みだらではない
 妄想性うつ病は減っているか
 妄想と気分
 一秒が長い
 うつ性の受け入れと妄想
 意識野の解体としての妄想

燥の章 焦燥 ~じりじりと焦げつく時間
 うつ病の「ひみつ」
 混合状態としての焦燥
 焦燥とは何か
 焦げつく時間
 時間は存在しない

響の章 人格特性 ~うつ病患者の同調性と等張性
 抗うつ薬は効かない?
 遷延化する軽うつ状態
 ジントニー
 同調性と等張性

インテルメッツォ2 うつのフォース

治の章 うつ病のレジリアンス ~内なる回復のリズム
 自虐と自負
 生きづらさとポリフォニー
 回帰性と剛性
 音楽なき音楽療法
 ニューロダイバーシティの転調

ポストリュード:こんにちは

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