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前頭側頭葉変性症の臨床
ピック病とその仲間たち
筆頭著者 宮永 和夫 (著)
南魚沼市病院事業管理者〔ゆきぐに大和病院・南魚沼市民病院〕
新興医学出版社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年4月13日
ページ数 158
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-88002-761-6
印刷版発行年月 2016年5月
書籍・雑誌概要
平成27年、指定難病として認定され、今注目を集める前頭側頭葉変性症についてまとめた著者入魂の1冊。本書ではピック病を含む前頭側頭葉変性症とその関連疾患について、多くの臨床類型別の事例を取り上げるととともに鑑別診断、治療までを解説。診断・治療からケアまで日常的な生活支援に役立ててほしい。
目次
目次
はじめに
1 ピック病をめぐるはなし
Ⅰ ピック病の歴史
1.アーノルド・ピックの報告
2.アーノルド・ピック以降の報告
3.ピック病の命名とその後の変遷
4.前頭側頭葉変性症(FTLD)の成立
●文献1-Ⅰ ピック病の歴史
Ⅱ 神経病理学的所見による前頭側頭葉変性症の分類
1.タウが関連する疾患
2.ユビキチン陽性,TDP-43陽性の疾患
3.ユビキチン陽性,TDP-43陰性の疾患
4.ユビキチン陰性,TDP-43陰性の疾患
●文献1-Ⅱ 神経病理学的所見による前頭側頭葉変性症の分類
Ⅲ 前頭側頭葉変性症の疾患分類など
1.FTLDの頻度
2.FTLDの年齢別頻度
3.行動異常型前頭側頭型認知症(bvFTD)
4.行動異常型前頭側頭型認知症(bvFTD)の臨床類型
5.前頭葉の部位の名称
6.巣症状
7.原発性進行性失語(PPA)の診断基準
●文献1-Ⅲ 前頭側頭葉変性症の疾患分類など
Ⅳ 行動異常型前頭側頭型認知症(bvFTD)に類似する疾患
1.概論
2.神経症状による前頭側頭葉変性症および関連疾患の分類
3.FTLDの臨床上の表現型と遺伝子変異のタイプや脳萎縮部位の関係
4.大脳皮質基底核変性症(corticobasal syndrome:CBS/CBD)
5.進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)
6.嗜銀顆粒性認知症(argyrophlic grain disease:AGD)
7.神経原線維変化型老年期認知症(senile dementia of the neurofibrillary
tangle type:SD-NFT)または神経原線維変化優位型認知症(neurofibrillary tangle predominant dementia:NFTD)
8.前頭葉変性症(dementia lacking distinctive histology:DLDH)
9.FTDP-17(frontotemporal dementia and parkinsonism linked to chromosome 17)
10.湯浅−三山病(運動ニューロン疾患を伴うFTD/ユビキチン陽性封入体を持つFTLD:MNDID)
11.C9ORF72変異遺伝子を伴うFTLD
12.その他の関連疾患
1)ニューロフィラメント封入体病/神経細胞性中間径フィラメント封入体病
(neuronal intermediate filament inclusion disease:NIFID)
2)好塩基性封入体病(basophilic inclusion body disease:BIBD)
3)非定型FTLD-U(atypical FTLD with ubiquitin-only immunoreactive changes:aFTLD-U)
4)進行性皮質下グリオーシス(progressive subcortical gliosis)
5)骨Paget病と前頭側頭型認知症を伴う遺伝性封入体筋炎(inclusion body myopathy associated with Paget disease of bone and frontotemporal dementia:IBMPFD)
6)chromosome 3 linked frontotemporal dementia(FTDP-3)
7)石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化症(小坂-芝山病)
8)Presenilin-1 linked frontotemporal dementia
9)dystrophia myotonica / myotonic dystrophy type 3(DM3):non-DM1, non-DM2 multisystem myotonic disorder with frontotemporal dementia
10)グリア細胞球状封入体を伴う白質タウオパチー(WMT-GGI)
11)認知症を伴う多系統タウオパチー(MSTD)
12)TARDBP変異遺伝子を伴うFTLD
13.posterior cortical atrophy(PCA)
●文献1-Ⅳ 行動異常型前頭側頭型認知症(bvFTD)に類似する疾患
2 前頭側頭葉変性症の臨床類型別事例集
Ⅰ 意欲低下を中心とした事例
1.うつ病と診断され,4年間薬物治療を受けていた症例
2.意欲低下から躁転化した症例
Ⅱ 常同症を中心とした事例
1.徘徊が問題となった症例
2.過食・偏食が問題となった症例
3.アルコール依存症と診断された症例
4.弄火が問題となった症例
Ⅲ 脱抑制を中心とした事例
1.いわゆる「万引き」行為で発見された症例
2.交通違反を繰り返す症例
3.職場での適応障害により気づかれた症例
Ⅳ 言語障害を中心とした事例
1.言葉の意味の理解しづらさから始まった症例
2.言語障害が長期間持続しているが,人格が保たれている症例
Ⅴ 記憶障害を中心とした事例
1.記憶障害より行動障害に変化した症例
2.記憶障害が中心で,性格変化の目立たなかった症例
Ⅵ その他の障害を呈した事例
1.幻覚・妄想を呈する症例
2.自己主張ができずに暴力となってしまった症例
●文献2-Ⅰ〜Ⅳ 前頭側頭葉変性症の臨床類型別事例集
3 鑑別診断
Ⅰ アルツハイマー型認知症と前頭側頭葉変性症の鑑別は可能か
1.記憶障害より発症するFTLD
2.非定型の病理学的所見を有するFTLD
3.発症年齢と合併の可能性について
Ⅱ ピック病と「ピック球を有しないピック病」の鑑別は可能か
1.ピック病とFTLD-TDPの相違点
Ⅲ 分子病理学と臨床医学の今後
●文献3-Ⅰ〜Ⅲ 鑑別診断
4 治療
Ⅰ 原則
Ⅱ 薬物治療
1.認知症の薬物療法のアルゴリズム
2.FTLDに対する薬物治療
3.その他の薬剤(現在使用されている薬剤)
1)神経細胞増殖作用ないし新生作用を有する薬剤
2)神経細胞保護作用を有する薬剤
3)症候改善作用薬(symptomatic agents)
4)抗酸化作用を有する薬剤,薬物ないし食物
5)補完代替物質
6)今後の薬剤-疾患修飾作用薬や根本治療薬(disease modifying agents)の可能性
Ⅲ 非薬物療法とケア(生活支援)
1.環境調整(improvement of living environment)
2.ケア(生活支援):life support
3.非薬物療法(non-drug therapy)
1)認知に焦点を当てたアプローチ
2)感情に焦点を当てたアプローチ
3)刺激に焦点を当てたアプローチ
4)行動に焦点を当てたアプローチ(行動療法的アプローチ)
5)その他のアプローチ
Ⅳ 認知症研究において歴史的に重要と思われる文献
●文献4-Ⅰ〜Ⅳ 治療
5 ピック病とその仲間たち─臨床の風景
Ⅰ ピック病の臨床と病理の報告(1918年~1935年)
Ⅱ 前頭前野の障害でみられる症状群
1.前頭葉と関連する回路
2.背外側部の障害
3.眼窩部の障害
4.内側部と前部帯状回の障害
Ⅲ 記憶障害
1.作動記憶
2.記憶に関連する神経回路
Ⅳ 注意障害
1.注意の容量の減少(持続・維持性の低下)
2.選択的注意の障害(集中・選択性)
3.分割・分配性注意の障害
4.弁別的注意の障害
Ⅴ 情動障害
1.アパシーとうつ状態の鑑別
2.疾患による相違
Ⅵ 幻覚・妄想
1.幻覚・妄想の内容と頻度
2.障害の部位
Ⅶ クリューバービューシー症候群(Klüver-Bucy症候群)
Ⅷ 病識の欠如(loss of insight)
1.自意識ないし自己の認知
2.ミラー細胞と他者細胞について
3.疾病の意識(気づき,自覚,関知:awareness)の障害
4.病態失認(unawareness)の分類
5.多幸
6.紡錘形神経細胞
Ⅸ 部位による分類
1.前皮質性認知症(前方型認知症)
2.その他の認知症
Ⅹ ピック病の病期分類/症状分類
1.Schneider CによるPick病の病期分類(1929年)
2.Von Braunmuhl A & Leonhard Kによるピック病の分類(1934年)
3.Armando Ferranoによるピック病の分類(1959年)
4.Cummings & Bensonによるピック病の分類(1986年)
5.黒田重利によるピック病の分類(1997年)
6.ニアリー DらのFTDの診断的特徴
7.McKhann GMらによる前頭側頭型認知症(FTD)の臨床診断基準
8.ピック病のスクリーニングテスト(宮永私案:2006年)
9.PSPの診断基準
●文献5-Ⅰ〜Ⅹ ピック病とその仲間たち─臨床の風景
おわりに