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子どもをみる医師のための子育て漢方
筆頭著者 鈴村 水鳥(著) 山口 英明 (監修)
名鉄病院 小児科・小児漢方内科,クリニックかけはし 小児科,かけはし糖尿病・甲状腺クリニック 漢方内科/日本小児東洋医学会代表理事,Kこどもクリニック 漢方外来,公立陶生病院 漢方外来
中外医学社
電子版ISBN
電子版発売日 2025年1月31日
ページ数 360
判型 A5判
印刷版ISBN 978-4-498-14592-4
印刷版発行年月 2025年1月
書籍・雑誌概要
必要なのは子どもだけではなく家族全体を診る視点.漢方を使いこなすための新バイブル.
子どもを診ていて,西洋薬だけでは対応できない,次の一手が欲しい,効果的な漢方処方をしたい…などと思ったことは無いでしょうか?本書では,漢方を使ってそれらを解決に導く「新しい視点」を紹介します.漢方の診断では,表層だけではなく,病気の根っこを診ていきます.その時のポイントが,「子どもだけではなく家族全体を診る」ということ.具体的なケースを示しながら,どこを診て,何を考え,どんな漢方を処方するのか…著者のノウハウ余すところなく書き記しました.次の一手に自信がもてる,あなたの味方となる1冊です.
目次
目次
口絵
この本の使い方
第1章 子育て漢方とは~家族のみかた~
1.家族をチームとして見る
1.子育て漢方とは
(1) 親子で一緒に漢方を飲むー母子同服
(2) 子育て漢方
(3) 漢方薬×家族療法
【症例】糖尿病,食欲が抑えられない:祖母66歳・不眠:母42歳・不登校:長女11歳・場面緘黙:次女6歳
2.漢方薬でこころと体を整える
1.心身一如とは
(1) こころと体は互いに影響し合う
(2) 漢方薬がこころと体を整える理由
3.子育てに漢方を
1 乳児期×新米母
1.乳児期
(1) 夜泣き→甘麦大棗湯
【症例】夜泣き:11カ月 男児
(2) ミルクの吐き戻し→六君子湯
【症例】ミルクの吐き戻し:6カ月 女児
(3) 乳児排便困難・便秘→小建中湯
【症例】排便時に大泣きする:11カ月 男児
(4) 肛門周囲膿瘍→排膿散及湯,十全大補湯
【症例】肛門の周りのできもの:9カ月 男児
(5) 乳児脂漏性湿疹→黄耆建中湯,治頭瘡一方
【症例】湿疹:3カ月 男児
(6) 疳の虫→抑肝散加陳皮半夏
【症例】疳の虫:10カ月 女児
2.新米母
(1) 不眠→酸棗仁湯
【症例】眠れない,疲れ:30歳 女性
(2) 子育てのイライラ→抑肝散加陳皮半夏
【症例】子育てのイライラ:34歳 女性
(3) 疲れ→十全大補湯
【症例】疲れ:33歳 女性
乳児期のエッセンス:安全基地の大切さ
【症例】癇癪,爪噛み:3歳 女児
育児不安(子育てのイライラ),月経前症候群:36歳 女性
【症例】学校へ行きたくないと泣く,便秘:7歳 男児/頭痛,子育てのイライラ:37歳 女性
2 幼児期×職場復帰母
1.幼児期
(1) 便秘→小建中湯,大建中湯,桂枝加芍薬大黄湯
【症例】便秘:2歳 男児
(2) 下痢→六君子湯,人参湯
【症例】下痢:3歳 男児
(3) アトピー性皮膚炎→抑肝散加陳皮半夏
【症例】アトピー性皮膚炎の悪化:2歳 女児
(4) 気管支喘息→柴朴湯,麻杏甘石湯
【症例】気管支喘息:5歳 女児
(5) 風邪をよくひく(虚弱体質)→黄耆建中湯,柴胡桂枝湯
【症例】よく熱を出す:1歳 男児
(6) 反復性中耳炎→十全大補湯,柴苓湯
【症例】中耳炎を繰り返す:2歳 女児
(7) 慢性鼻炎→辛夷清肺湯,葛根湯加川芎辛夷
【症例】鼻汁が治らない:2歳 男児
(8) 神経発達症の疑い(癇癪,多動,落ち着きのなさなど)→甘麦大棗湯+大柴胡湯去大黄
【症例】癇癪:5歳 男児
(9) チック→抑肝散加陳皮半夏
【症例】目をパチパチさせる:4歳 男児
2.職場復帰母
(1) 倦怠感・疲労→補中益気湯,十全大補湯
【症例】体がだるい:31歳 女性
(2) ストレス→甘麦大棗湯,香蘇散
【症例】ストレスでイライラしたり落ち込む:35歳 女性
(3) 月経困難症→当帰芍薬散・桂枝茯苓丸
【症例】月経痛:35歳 女性
(4) 月経前症候群→加味逍遙散,加味帰脾湯,四物湯
【症例】月経前にイライラする,腹痛と下痢を繰り返す:29歳 女性
(5) 機能性ディスペプシア→六君子湯
【症例】胃もたれ,食欲がない:33歳 女性
幼児期のエッセンス:楽しく遊ぶことで発達をサポートしよう
3 学童期×働き盛り母
1.学童期
(1) 過敏性腸症候群→桂枝加芍薬湯,桂枝加芍薬大黄湯
【症例】便秘と下痢を繰り返す:10歳 女児
(2) 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)・通年性アレルギー性鼻炎→小青竜湯,越婢加朮湯
【症例】アレルギー性鼻炎:11歳 男児
(3) 車酔い→五苓散
【症例】車に酔う:11歳 男児
(4) 受験生の漢方→柴胡桂枝湯,抑肝散加陳皮半夏
【症例】受験期のイライラ:12歳 男児
2.働き盛り母
(1) 肩こり→桂枝茯苓丸
【症例】肩こり:35歳 女性
(2) むくみ→防已黄耆湯,芎帰調血飲
【症例】むくみ,膝関節痛:41歳 女性
(3) 冷え症→人参湯
【症例】冷え症,胃腸虚弱:38歳 女性
(4) 片頭痛→呉茱萸湯,桂枝茯苓丸
【症例】片頭痛:37歳 女性
学童期のエッセンス:子どもの養生
4 思春期×更年期母
1.思春期
(1) 月経困難症→桂枝茯苓丸
【症例】月経痛:13歳 女児
(2) 頭痛→五苓散,呉茱萸湯
【症例】頭痛:15歳 女児
(3) ニキビ→荊芥連翹湯
【症例】ニキビを治したい:15歳 女児
(4) 起立性調節障害→半夏白朮天麻湯
【症例】めまい,立ちくらみ,夏場(6月)に体調が悪い:14歳 女児
2.更年期母
(1) 精神症状(不安感,抑うつ)→半夏厚朴湯,加味帰脾湯
【症例】気持ちが落ち込む:50歳 女性
(2) 不眠→清心蓮子飲
【症例】不眠,めまい,動悸:49歳 女性
(3) ホットフラッシュ,のぼせ→加味逍遙散,温経湯,滋陰降火湯
【症例】動悸,めまい,ホットフラッシュ:49歳 女性
(4) 多汗→防已黄耆湯
【症例】多汗,手汗:48歳 女性
(5) 動悸,めまい→四物湯+苓桂朮甘湯(連珠飲)
【症例】めまい,動悸:49歳 女性
(6) 夜間尿→八味地黄丸,清心蓮子飲
【症例】夜間尿:55歳 女性
思春期のエッセンス:思春期診療のコツ(母子を分けて話を聞く)
5 妊娠期~産後
1.妊娠期
(1) 妊娠中の風邪→香蘇散
【症例】妊娠中の風邪:38歳 女性
(2) つわり→小半夏加茯苓湯
【症例】妊娠悪阻:32歳 女性
(3) 切迫早産→当帰芍薬散
【症例】切迫早産の予防:32歳 女性
(4) 鉄欠乏性貧血→人参養栄湯,当帰芍薬散
【症例】妊娠中の鉄欠乏性貧血:34歳 女性
(5) 便秘症→桂枝加芍薬湯
【症例】便秘:32歳 女性
2.産後
(1) 産褥熱・子宮復古不全・貧血・産後精神障害・乳汁分泌不全など→芎帰調血飲
【症例】産後のイライラ:34歳 女性
(2) 産後の疲労→十全大補湯
【症例】疲れが取れない:33歳 女性
(3) 乳腺炎→葛根湯
【症例】乳腺炎を繰り返す:33歳 女性
(4) 脱毛→四物湯
【症例】産後の脱毛:33歳 女性
第2章 子どもの診察と頻用処方~病気の診方~
1.病気の本質を診るための用語説明
1.漢方処方の3つのものさし
(1) 急性発熱性疾患と慢性疾患の違い
(2) 3つのものさし
2.共通のものさし~虚実・寒熱~
(1) 虚実とは
(2) 寒熱とは
3.急性発熱性疾患~六病位~
(1) 六病位について
(2) 治療法
【症例】発熱:5歳 女児
4.慢性疾患~気血水・五臓~
(1) 気血水
(2) 五臓
【症例】風邪をひきやすい,湿疹ができやすい:11カ月 男児
2.病気の根っこを捉える診察
1.漢方外来の流れと診察方法
(1) 診療の全体像
(2) 初診
(3) 再診
2.問診
(1) 問診の特徴
(2) 問診票
3.漢方的診察
(1) トレーニング方法
(2) 年齢別のポイント
(3) 望診
(4) 聞診
(5) 腹診・舌診・脈診
3.病気の根っこを動かす処方
1.グループで捉える漢方薬
(1) 柴胡が含まれる方剤
(2) 麻黄が含まれる方剤
(3) 桂枝(桂皮)が含まれる方剤
(4) 黄連・黄芩が含まれる方剤
(5) 人参が含まれる方剤
2. 処方と服薬指導のコツ
(1) 処方量
(2) 剤形
(3) 量
(4) 服薬指導
(5) 保管方法
(6) 食前内服
(7) 院外薬局との連携
(8) 病名,レセプト
3.子どもの副作用
(1) 漢方薬の副作用
(2) 生薬による副作用
(3) 小児の副作用の報告例
(4) 副作用の確認方法
4.頻用処方の使い方
(1) 小建中湯
(2) 甘麦大棗湯
(3) 五苓散
(4) 黄耆建中湯
(5) 柴胡桂枝湯
(6) 柴胡加竜骨牡蛎湯
(7) 抑肝散,抑肝散加陳皮半夏
(8) 大柴胡湯去大黄
(9) 桂枝加芍薬湯
(10) 小青竜湯
(11) 麻黄湯
(12) 小柴胡湯
第3章 よくある訴え~子どもの診方~
1.東洋医学的な観点から見る子どもの特徴
1.眠る力,食べる力,排泄する力
(1) 眠る力
(2) 食べる力,排泄する力
2.うまくいかない場合に立ち返る治療の順番
(1) 子どもの病理的特徴
(2) 気血水を治す順番
3.次の一手の考え方
(1) 4つのポイントで次の一手を考える
2.よくある訴え
1.夜泣き
【症例】夜泣きの例:1歳0カ月
【症例】夜泣き:10カ月 女児
【症例】夜泣き:2歳 男児
【症例】夜泣き:1歳 男児
2.虚弱体質
【症例】よく風邪をひく,軟便が続く:11カ月 男児
【症例】子どもから風邪をもらい長引く:32歳 女性
3.鼻汁
【症例】鼻汁が続く:1歳 男児
【症例】発熱,鼻汁,手足の発疹:1歳 女児
【症例】滲出性中耳炎:5歳 男児
4.咳嗽
【症例】風邪をひくとゼイゼイする:1歳 男児
【症例】RSウイルスにかかった後に咳が続く:3歳 女児
【症例】咳払い(チック):6歳 女児
5.夜尿症
【症例】夜尿症:9歳 女児
【症例】夜尿症:5歳 男児
6.便秘
【症例】便秘:1歳 男児
【症例】便秘:8歳 女児
7.腹痛・下痢
【症例】運動会の練習が始まり,お腹が痛くなる:4歳 男児
【症例】月経前から月経中の腹痛:15歳 女児
【症例】学校に行く前になるとお腹が痛い:13歳 女児
8.頭痛
【症例】頭痛:6歳 男児
【症例】倦怠感,頭痛,めまい,冷え:32歳 女性
【症例】頭痛,疲れやすい:11歳 女児
9.アトピー性皮膚炎
【症例】口周りの湿疹:0歳 男児
【症例】皮膚が痒い:10歳 男児
【症例】体中が痒い:48歳 女性
10.神経発達症
【症例】多動,衝動性が強い,集団生活でのトラブル:5歳 男児
【症例】話さない:3歳 男児
11.睡眠障害(夜泣き以外)
【症例】夜驚症:5歳 男児
【症例】2時,3時まで寝ない:5歳 男児
【症例】夜眠れない,不登校:14歳 女児
【症例】何度も目が覚める:38歳 女性
12.起立性調節障害
【症例】めまい,頭痛,朝起きられない:13歳 女児
13.こころの不調
【症例】衝動性が強い,癇癪,不眠:13歳 男児
【症例】不登校:11歳 女児
14.不登校
【症例】お腹の調子が悪い,嘔気,頭痛,学校に行けない:13歳 女児
15.月経困難症
【症例】月経痛:17歳 女性
第4章 日常診療でのQ&A~医療者の味方・家族の味方~
Q1 西洋医学との併用はどのようにしたらいいですか?
Q2 西洋医学の検査はどのタイミングで行っていますか?
Q3 効果判定はいつすればいいですか?
Q4 効果がなかったときはどうすればいいですか?
【症例】夜泣き:1歳 男児
【症例】月経痛,冷え,肩こり:32歳 女性
Q5 どのように終了すればいいですか?
Q6 漢方のエビデンスはどこで確認できますか?
Q7 家族にはどう説明しますか?
Q8 なぜ漢方薬を取り入れるのか,スタッフにはどうやって説明しますか?
Q9 小児漢方をどこで学べますか? 小児漢方を実践している仲間とどこで会えますか?
付録:症候別頻用漢方薬
索引
〖コラム〗
多面的・包括的にみる
家族は育むものである
東洋医学の「診方」「見方」を理解して,漢方薬を「味方」につけよう!
『医心方』とは
薬を飲みたくない
鼻出血に対する鍼治療
月経関連の不調の重要性
9歳の大切さ
思春期の子どもとの関わり
子育ての正解とは
お灸指導について
妊娠中の経過
1つの処方をさまざまな病態に使う理由
中医学と日本漢方,用語の定義
1日のスケジュールの確認について
東洋医学的なインフォームドコンセント
名前が似ている漢方薬
小麦アレルギーと甘麦大棗湯(自験例)
風邪に対する社会の理解
ステロイドを避けたい場合の対応
子どもと大人の処方の違い
診察のときに注目していること
東洋医学での精神の扱いについて
大人が気持ちを吐き出せる場所
西洋医学も東洋医学もゴールは一緒.違いはルート
日本の恵まれた漢方診療
漢方薬の医療経済効果