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傷・創・小外科対応の術&Tips
ちがい,例外,想定外をひもとく
筆頭著者 岡崎 睦 (著者)
メジカルビュー社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年8月31日
ページ数 188
判型 A4変
印刷版ISBN 978-4-7583-1885-3
印刷版発行年月 2020年7月
書籍・雑誌概要
臨床の場ではすべてが教科書通りに進むわけではなく,違いを見抜き例外を知り,それぞれに異なる適切な対応が求められる。時には「想定外」の経過をたどることもあるが,想定外を想定内に変えれば,事前に回避することが可能になる。
また患者さんへの説明・対応に関しても,医療従事者と一般人での医療に関する「常識」の違いを認識しておくことが大切である。あえて患者さん目線による解説を入れ,より充実した医療を実践するための実践書。
目次
Ⅰ章 傷・創・膿・炎症
1 上皮化と収縮:創治癒の2 つの機序
2 大きな皮膚欠損創の保存的治療の成否は収縮可能かが分岐点 ショートカット可能な部位は治りやすいが,拘縮が必発
3 保存的治療では治りにくい特殊な創
4 はずしたガーゼに多くの情報
5 間口が狭くて皮下に腔が広がる慢性創,急がば回れの切開・開放を考慮する
6 化膿性炎症を生じる特別な局所疾患
7 よくなる傾向のない潰瘍は悪性腫瘍を疑う 特に瘢痕がんは忘れずに
8 殿部毛巣洞,病巣本体は別にあり
9 創感染が生じるとしたらいつか?
10 排膿目的の切開の延長はメスではなくて,ハサミで腔を確認しながら
11 腹部正中創離開時の対応 ときとして大胆に
12 いったん治った外傷創からの排膿や刺すような圧痛は
13 創し開してくるにはわけがある 非関節・非荷重部,血流豊富な部位なのに
14 ~パラドックス~血流のある皮弁より,血流のないメッシュ植皮での再建が感染に強い
Ⅱ章 体表外傷への対応
15 爪部の外傷・化膿性炎症への対応の基本は,低侵襲・原状復元
16 手足の動物咬傷,小さい創から加圧洗浄しない 受傷後数日は慎重に経過観察し,必要に応じて切開延長
17 擦過創の洗浄,局所麻酔を効かせて異物除去は確実に
18 スポーク外傷,洗浄・縫合・術後安静,3 つそろって経過良好
19 伸筋腱縫合,安易に行うと
20 多発で複雑な挫創,小さいバイト&少ない針数で縫合 テープ併用で生着重視
21 血液透析を行っている患者の内シャント造設上肢への対応
22 壊死性軟部組織感染症,本当に怖いのは健常者や若年者に生じたとき
23 深筋膜上を走行する太めの皮神経,別途局所麻酔が必要
24 皮下異物の傾向と対策
25 低温熱傷は軽症に見えても重症のことが多い 「数カ月保存的治療で治らず」では不信感をまねく
26 顔の小さめの皮膚欠損創,とりあえず軟膏で保存的治療もアリ
27 眼瞼の外傷処置は,連続ではなく結節縫合で
28 眼瞼の全層外傷,瞼結膜側は糸を外に出さず埋没縫合のみで まず瞼縁を合わせるときれいに合いやすい
29 テープ固定は重ねて貼らない 長めはいいが,可動部に注意
30 耳介血腫,穿刺・吸引のみでは再発しやすい 切開排出・圧迫が最も確実
31 頭皮ステイプラー縫合,毛髪を分けてステイプル内側に入らないように
32 CT を撮らなくても顔面骨折アリとわかる臨床症状
33 顔面骨折は,陳旧性の可能性を頭に入れて対応
34 創のない顔面打撲もあなどるべからず 適切な説明と対応を
35 DV を疑うべき特徴 DV 被害者は成人も小児も嘘をつく
36 間引き診察と有事受診の説明はセットで行う
37 小処置や経過観察だけの場合でも,有害事象は前もって説明しよう
38 テープは,裂創に平行な方向に両手で引いて剥がす 抜糸は,裂創を寄せる方向に糸を引く
39 抜糸した日が一番創し開しやすいのに
40 縫合創を洗ってもらう抜糸への効果 血餅なしで,医者は楽だし患者は痛くない
41 抜糸くらいの軽い医療行為でも,見ている同伴者にも注意する
42 1周巻きは,腫れや血腫の危険性を考慮して
43 テープ類は切ってから貼る 体近くでハサミを使わない
44 テープ類・創傷被覆材,ショートカットにならないように貼る
45 創傷被覆材・テープの類は自分で剥がすと痛くない
46 丸針 vs. 角針,吸収糸 vs. 非吸収糸,モノフィラメント糸 vs. ブレイド糸
47 患者血液の曝露 (救急)外来の小さな創処理があぶない
Ⅲ章 小外科対応
48 指神経ブロックは手部で行い,指神経をねらい撃ちしない
49 粉瘤と局所麻酔注射
50 膜を破る前に局所麻酔の追加をする
51 瘢痕形成部を手術する際の局所麻酔薬注射は,瘢痕より外側で皮下と筋膜上に
52 抗血小板薬より抗凝固薬に,より注意
53 禿髪部,切除して無理に縫合しても再び禿 何回かに分けて切除しても効果なし
54 フェノール法,必ず駆血して焼灼は長めに
55 リンパ節生検,皮下浅層に触れているようでも
56 耳後部の助手なし独り小手術,シール付き穴あき覆布の貼り方
57 真皮縫合を下床にもかける場合
58 アンカリング縫合は,下床の条件と動きに注意
59 角の縫合,高さが合っていないと段差が残る
60 ドッグイヤー修正,大きさと皮膚の厚さ・硬さで,やり方を変える
61 頭皮以外の有毛部の縫合は?
62 再手術は,前回手術の瘢痕部を切開するのが吉
63 再手術で前回手術の瘢痕を切開するときは
64 瘢痕形成部位の再手術や外傷部の手術は,少し離れた正常部位からアプローチ
65 皮膚に緊張がある閉創 アンダーマインはほどほどにして穿通枝は温存し,両端から攻める
66 局所麻酔下手術の執刀前確認,「はい or いいえ」ではなく各論で
67 切開・切離中に助手は手を動かさない 気を利かせたつもりが
68 手術にはメリハリ 注意すべきTPO vs. はやくやっていいTPO
Ⅳ章 ぜひ知っておきたい皮膚・皮下腫瘍
69 ほぼ脂肪腫で間違いない病変でも術前評価が必要なわけ
70 知っておくべき脂肪腫/ 粉瘤様の膨らみ
71 ただの禿ではない脂腺母斑,対応と切除術の説明は慎重に
72 イボとタコ,軟性線維腫
73 ケロイドに似ていることもある悪性腫瘍 DFSP(隆起性皮膚線維肉腫)
Coffee Break 30
1 植皮された皮膚の性状はドナー部位のプロパティーを維持する
2 内頸静脈損傷患者の経験
3 表面に傷がなくても外傷性えくぼ
4 外見から皮膚・皮下出血が多いと予想される人
5 剥離できないにはわけがある—組織にも気持ちがある
6 血液を飲み込むと
7 下肢を浮かせるときは,下から支える
8 せっかく指を再接着したのに,除去してくれと
9 手術は一直線にしない
10 器具も組織もゆるく持とう
11 組織のなかを目的地まで進んでいく話
12 手術用ルーペよりも
13 希釈を表す「〜%」vs.「〜倍希釈」
14 時間の無駄は小刻みにしないで,まとめて無駄にする
15 メス・ハサミ・電気メスの使い分け
16 手術がうまいとは?
17 細かい字でびっしり書いたメモを持って受診する人
18 受け持ち患者さんとしてやっかいな人々
19 顔にできた粉瘤を自分で摘出。何が難しい?
20 高齢者に対する複視の検査
21 外科医は体力勝負か?手術は手先の器用さか?
22 手術中,単純作業のときは,頭と体を分けて動かそう
23 楽しく仕事を行う
24 「私なんか,もう歳だから」
25 指導医の信頼を失くす,ありがちなこと
26 少額の投資で時間の小刻みな無駄を減らす一法
27 あまのじゃく
28 スマホ検索 vs. つり& 液晶広告
29 EBM(evidence-based medicine)のガイドラインは最強か?
30 頑固はNG,信念をもってやるのもほどほどに