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乳がん薬物療法副作用マネジメント プロのコツ

乳がん薬物療法副作用マネジメント プロのコツ
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筆頭著者 増田 慎三 (編集)

メジカルビュー社

電子版ISBN

電子版発売日 2017年11月13日

ページ数 424

判型 B6変

印刷版ISBN 978-4-7583-1800-6

印刷版発行年月 2017年9月

DOI https://doi.org/10.18885/9784758318006

書籍・雑誌概要

抗がん剤治療の効果を最大限に得るには,治療をできるだけ長く・患者負担なく継続することが必須であり,そのためには副作用に対して適切な支持療法を行い,必要に応じて抗がん剤を減量・休止するといった「副作用マネジメント」が重要な鍵となる。本書では,標準治療レジメン・ホルモン治療ごとの治療の流れに沿って,副作用マネジメントのためのプロのコツを徹底解説した。治療を開始する前に「初回投与から減量を考慮すべきとき」「前投与すべき支持療法薬」「副作用の発現時期」を簡単にチェックできるようにし,有害事象発現時には原因をフローチャートでチェックでき,原因別の対処法がすぐにわかるようにした。抗がん剤別の「減量・中止・増量基準」「併用禁忌・注意薬」「主な副作用・頻度は低いが注意すべき副作用」も一目瞭然である。「臨床ですぐに・本当に使える」この一冊で,副作用マネジメントにはもう悩まない!

目次

第Ⅰ章 乳がん治療体系概説
 ①術前・術後薬物療法 −抗HER2療法、サブタイプ分類の導入により効果的な治療選択が可能になった−  川端英孝
 ②進行再発乳がんに対する薬物療法 −QOLの低下を防ぎつつ、病勢コントロールを目指す−  佐治重衡
 ③放射線治療 −①乳房温存療法における術後照射、②乳房切除後の術後照射、③骨転移・脳転移に対する緩和照射が主な役割−  田中英一
 ④緩和医療 −早期からの緩和ケアとがん疼痛緩和−  里見絵理子

第Ⅱ章 レジメン別プロのコツ
1 薬物療法
 ①Anthracycline 系レジメン −心毒性があるため、ドキソルビシン・エピルビシンの総投与量に注意−  荒木和浩/今村美智子/三好康雄
 ②DTX 単剤・TC(DTX+ CPA)療法 −過敏症・浮腫に注意−  石川 孝/三原由希子/和田伸子
 ③TAC 療法 −骨髄抑制は高頻度。関節痛・浮腫に注意−  中島裕理/高野利実
 ④Docetaxel+ Carboplatin+ Trastuzumab(TCbH)療法 −初回投与時のinfusion reactionに注意−  八十島宏行
 ⑤Paclitaxel 単剤(毎週投与法)/Paclitaxel+Carboplatin(PTX+CBDCA)療法 −過敏性反応、末梢神経障害に注意−  安藤正志
 ⑥nab-Paclitaxel 単剤 −末梢神経障害に対し速やかな減量・休薬−  鈴木育宏
 ⑦Capecitabine(A 法・B法)単剤/XC(Capecitabine+ Cyclophosphamide)療法 −手足症候群に注意−  山口美樹/柿原圭佑
 ⑧S-1 単剤 ・UFT 単剤 −経口薬ではあるが、下痢・肝機能障害などの副作用には留意−   高島 勉
 ⑨Eribulin 単剤・Eribulin+ Capecitabine 療法 −忍容性は高い。好中球減少に注意−  大谷彰一郎
 ⑩CMF 療法 −骨髄抑制に注意−  柳田康弘
 ⑪Vinorelbin 単剤・Vinorelbin+ Gemcitabine 併用療法 −血管外漏出に注意。頻度は低いが、間質性肺炎も−  山村 順
 ⑫Gemcitabine単剤・Gemcitabine+Paclitaxel療法 −忍容性は良好であるが、間質性肺炎に注意−  青儀健二郎
 ⑬CPT-11 単剤・併用療法 −下痢・発熱性好中球減少症に注意−  中山美恵/石黒 洋
 ⑭Mitomycin C(MMC)+ Methotrexate(MTX)療法 −抗がん剤を使い切ってしまったときの次の一手−  福田貴代/伊藤良則
 ⑮Ifosfamide −乳腺悪性葉状腫瘍および軟部肉腫の再発例に対して−  平良眞一郎/伊藤良則

2 分子標的治療
 ①Trastuzumab 単剤・Trastuzumab + Pertuzumab療法、薬物療法との併用療法 −infusion reaction、心毒性に注意−  大谷陽子
 ②T-DM1 療法 −肝機能障害・血小板減少に注意−  柏葉匡寛
 ③Lapatinib + Capecitabin 療法 −手足症候群・ざ瘡様皮疹に注意−  白数洋充/渡邉純一郎
 ④Bevacizumab+ + wPaclitaxel 併用療法 −高血圧・蛋白尿・出血に注意−  森井奈央/山城大泰
 ⑤mTOR阻害薬(Everolimus) −間質性肺炎・口内炎に注意−  中山貴寛
 ⑥CDK4 /6阻害薬(Palbociclib)+ホルモン療法 −骨髄抑制に留意しながら、長期使用を目標に上手に減量を−  増田慎三

3 内分泌療法
 ①TAM、TAM+ LH-RH agonist −更年期症状のサポートをしっかり行い、治療中断を減らす−  神林智寿子
 ②Aromatase inhibitors(ANA、LET、EXE) −骨粗鬆症に注意−  荻谷朗子
 ③Fulvestrant −安全に注射するための体位と注射部位に留意−  水谷麻紀子
 ④Toremifene(TOR)/high dose TOR −脂質代謝異常・更年期症状に注意−  土井原博義
 ⑤Medroxyprogesterone acetate(MPA) −血栓症、肥満に注意−  前田基一
 ⑥Prosexol®(エストロゲン療法) −内分泌関連症状に注意−  山本 豊
 ⑦Raloxifene(化学予防) −血栓症、肝機能障害に注意−  菰池佳史

4 支持療法
 ①制吐療法 −催吐リスクに応じた予防投与を−  村上通康/川口英俊
 ②骨粗鬆症に対するBisphosphonate とDenosumab −顎骨壊死の発症に注意して口腔内衛生に留意−  枝園忠彦
 ③骨転移に対する骨修飾薬(BMA) −歯科医との連携が肝要−  脇田和幸
 ④G-CSF −骨痛に注意−  鶴谷純司

第Ⅲ章 副作用症状別プロのコツ
1 全身
 ①Infusion reaction・アナフィラキシーショック −アナフィラキシーショックに早期対応できるように症状の理解と準備を。infusion reaction 予防は投与速度を工夫する−  大西 舞/山下年成
 ②倦怠感 −頻度が高く、初診時より定期的なスクリーニングが推奨される−  平 成人
 ③筋肉痛・関節痛 −タキサン系・アロマターゼ阻害薬で高頻度に出現。NSAIDsなどでコントロールを−  坂井威彦
 ④ほてり・ホットフラッシュ −ホルモン治療の服薬アドヒアランス維持のために、適切に対処する−  坂東裕子
 ⑤体重増加 −浮腫が原因でなければ、肥満が原因。生活習慣を見直す−  片岡明美/小林 心/深田一平
 ⑥腫瘍崩壊症候群 −抗腫瘍効果の高い治療を開始するときは、治療前後で尿酸値やLDH の確認を行う−  服部正也

2 消化器
 ①口腔粘膜炎 −5 -FU、アンスラサイクリン系、タキサン系抗がん剤、チロシンキナーゼ阻害薬、mTOR阻害薬(エベロリムス)で発生頻度が高い−  阿南節子
 ②食欲不振、悪心・嘔吐 −使用する抗がん剤のリスクに応じた制吐薬の予防投与−  深田一平
 ③下痢・脱水(腸炎を含む) −下痢を起こしやすい抗がん剤への対処が重要。白血球・好中球減少時の感染性腸炎にも注意−  松並展輝
 ④便秘 −腸閉塞をまず除外。下剤で対処−  森本 卓
 ⑤消化管潰瘍・出血・穿孔 −ベバシズマブ治療中に気をつけたい副作用−  長谷川裕子
 ⑥肝機能障害・高ビリルビン血症 −起因薬物の早期中止を−  中水流正一/三田英治
 ⑦B 型肝炎ウイルス再活性化 −化学療法施行前に再活性化リスクを評価し、適切な対応を−  石飛真人

3 腎・泌尿器
 ①蛋白尿 −血管新生阻害薬とビスホスホネート製剤で高頻度−  中村力也/山本尚人
 ②腎機能障害 −原因となる薬剤などの中止が重要。事前の補液や水分補給は予防につながる−  中村力也/山本尚人
 ③出血性膀胱炎 −排尿指導を含めた万全の予防対策が重要−  西村健作

4 呼吸器
 ①間質性肺疾患・薬剤性肺障害 −すべての薬剤で起こりうるため、常に念頭において診療を−  内藤陽一

5 循環器
 ①心機能低下(心不全) −投与薬剤別の心毒性を考慮し、心不全発症を予想した対応が重要−  向井幹夫
 ②高血圧(特にベバシズマブ治療に伴う) −降圧薬を有効に使用することで安易にベバシズマブ治療を中断しない−  池田雅彦
 ③血栓症・塞栓症 −タモキシフェン・ベバシズマブ使用時の下腿浮腫はまず血栓症を疑う−  佐藤康幸/林 孝子/加藤恭子

6 血液
 ①貧血 −骨髄抑制以外の原因による貧血に注意−  川崎賢祐
 ②血小板減少症 −骨髄抑制以外の原因の検索が重要−  川崎賢祐

7 神経・感覚器
 ①視覚異常 −視覚異常の原因は多岐にわたる。眼科への早めのコンサルトを−  松田 理
 ②流涙・涙道閉塞 −QOL を大きく下げるため、特にS-1服用時は要注意。早期発見、治療がカギ−  松田 理
 ③味覚障害 −頻度の高い有害事象であり、積極的な診断・サポートが重要−  藤山理恵
 ④末梢神経障害 −抗がん剤の減量・休薬も含め、早期からの予防・対応が重要−  二村 学
 ⑤頭痛・めまい・ふらつき −生命にかかわるリスクのある中枢性疾患をスクリーニング、その後に頻度の高い疾患を鑑別する−  重松英朗
 ⑥うつ・不安・アカシジア −身体症状の丁寧な緩和と、気持ちに配慮する姿勢が、がん治療と並行してできる最強の心理的ケアとなる−  和田知未
 ⑦不眠 −詳細な情報収集と非薬物的介入を先行したうえで、睡眠薬は単剤で調整を−  和田知未
 ⑧認知機能低下・認知障害・ケモブレイン −抗がん剤投与中もしくは治療後に記憶力、思考力、集中力の低下をみとめたら、ケモブレインの可能性を考える−  増田紘子/明石定子

8 皮膚
 ①爪囲炎・爪変形・陥入爪 −予防的スキンケアと発症早期からの介入により悪化を防ぎ、化学療法の継続を目指す− 小澤健太郎
 ②皮疹・皮膚乾燥・搔痒感 −緊急対応が必要な徴候、重症薬疹の症状を見逃さない−  小澤健太郎
 ③手足症候群 −痛みが出たら直ちに休薬、これが治療成功の極意−  田口哲也
 ④色素沈着・日光過敏症 −事前の説明と生活指導を中心に継続的なサポートを−  小澤健太郎
 ⑤脱毛 −乳房切除と並ぶ脱毛の苦痛に対して、そのプロセスに応じた支援が大切−  野澤桂子
 ⑥血管外漏出 −リスクを理解したうえでの予防と対処が重要−  藤井千賀
 ⑦静脈炎 −静脈炎は血管外漏出との鑑別が重要−  本田 健/山岡尚世/山岡桂子/江口研二

9 代謝
 ①浮腫 −ドセタキセル投与時は要注意。がんやがん治療が基礎疾患を悪化させて生じることも−  吉留克英
 ②抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(中枢性尿崩症とSIADH)
 −中枢性尿崩症:乳がん脳転移や放射線照射後、頭蓋底骨転移に続発性中枢性尿崩症を起こしうる−
 −SIADH:低Na血症と尿中Na 高値をみたらまず疑おう−
  森川希実
 ③骨量減少・骨粗鬆症 −ホルモン薬投与時には年1 回のリスクチェックと生活指導を−  鍛冶園 誠/枝園忠彦
 ④高コレステロール血症・高トリグリセリド血症 −一部の薬剤でLDL-C 値、TG値が上昇する可能性がある−  佐久間一郎/野々山由香理
 ⑤甲状腺機能異常 −合併症か薬剤が原因なのか鑑別を。特に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬に注意−  井上賢一

10 感染
 ①発熱性好中球減少症(FN) −重症度を評価し、適正な抗菌薬治療を中心とした支持療法を行う−  鶴谷純司
 ②侵襲性カンジダ症・ニューモシスチス肺炎 −陰性化するまで、適切な量・期間で抗菌薬を継続する−  上平朝子
 ③う歯・顎骨壊死(ARONJ) −発症後の治療は困難を極める。予防のための医科歯科連携がなにより重要−  平岡慎一郎

11 生殖器
 ①月経異常・不正出血 −子宮体がんを見逃さないこと−  巽 啓司
 ②帯下異常・外陰部炎・膣炎・粘膜異常 −化学療法・ホルモン療法の抗エストロゲン作用による外陰部・膣への影響−  頼 裕佳子
 ③男性性機能障害(ホルモン療法に伴う) −男性ホルモンを抑制すると性機能障害のみならず、さまざまな症状が現れる−  末富崇弘

第Ⅳ章 がん関連症状や宿主状態別対応〜プロのコツ
 ①呼吸困難 −原因除去とともに、呼吸困難を緩和する薬剤を適切に使用する−  森田 道/前田茂人
 ②胸膜癒着術 −発熱、胸痛は起こるものとして、事前に準備を−  石田敦子/宮澤輝臣/峯下昌道
 ③腹部膨満 −病態により対処が異なるので適切な病態把握が肝要−  長谷川善枝
 ④心嚢液貯留・心タンポナーデ −心嚢液貯留に頻脈、低血圧を伴う場合は心嚢穿刺を−  小出雅雄
 ⑤骨転移に伴う骨痛(がん性疼痛) −骨転移の診断から集学的治療まで−  佐藤 雄/天羽健太郎/林 直輝
 ⑥脊髄圧迫症状 −特徴的な症状の把握と早急な治療を−  久田原郁夫
 ⑦頭蓋内圧亢進症状 −速やかに症状の緩和を図るとともに、原因である脳転移に対する処置を行う−  丸山隆志
 ⑧局所進行がんにおける皮膚滲出液 −患者が安心した日常生活を送れるよう支援する−  西川敦世
 ⑨悪性腫瘍に伴う高Ca 血症(hypercalcemia of malignancy;MCH) −低アルブミン血症を伴うことが多いため、補正Ca 値で正確に評価を−  中根 実
 ⑩播種性血管内凝固症候群(DIC) −原疾患の治療が最重要。DIC治療の適応・継続・中止をこまめに評価し、判断する−  田中希世
 ⑪高齢者フレイル(Frailty)における薬物療法の工夫 −余命・がん治療の意義・意思決定能力・治療リスク評価を患者ごとに検討する−  澤木正孝
 ⑫肝機能障害を伴う患者における薬物療法の留意点と工夫 −原因検索および治療の利益と不利益を検討し、薬剤を減量するなどの対処を−  関根克敏/清水千佳子
 ⑬腎障害・慢性透析患者における薬物療法の留意点と工夫 −正確な腎機能評価と腎排泄型薬剤の適切な減量が大切−  原 文堅
 ⑭骨髄機能低下(汎血球減少症)を認める際の治療の工夫 −抗がん剤を投与中は発熱性好中球減少症のリスクを見積もって治療計画を立てる−  小宮山哲史/大熊ひとみ/田村研二
 ⑮抗凝固剤使用中の薬物療法における留意点と工夫 −併存症と併用薬の2 つの要素に注目−  吉波哲大
 ⑯妊娠期乳がんの薬物療法における留意点と工夫 −母体に最適ながん治療を行い、かつ胎児への不利益を最小限に−  北野敦子/山内英子

第Ⅴ章 乳がん薬物療法との上手なお付き合い〜プロのコツ
 ①感染予防(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど) −化学療法開始前にワクチン接種を−  高井 健/永井成勲
 ②(化学療法に伴う)早期閉経に関する諸問題 −更年期症状、骨粗鬆症、脂質異常症などを伴う。適宜対応を−  松本久宣
 ③妊孕性低下(挙児希望に備えて) −患者ごとに適切な妊孕性温存療法の選択を−  筒井建紀
 ④薬物療法中の心のケア/ 日常生活の工夫 −患者のQOL を低下させない早期からの関わりが重要−  四方文子
 ⑤薬物療法中の就労 −長期的な目線で、患者とともに考えることが信頼関係を深める−  平岡 晃/高橋 都
 ⑥薬物療法中の性生活 −薬物療法開始前に適切な情報提供を−  阿部恭子
 ⑦乳がん患者における意思決定支援 −患者・家族の認識、希望を理解し、情報提供・支援を行う−  青野奈々
 ⑧抗がん剤暴露時の対応 −予防が基本。手洗い、うがいの習慣化を−  庄野裕志/服部雄司
 ⑨外来化学療法室とその運営のコツ −多職種と連携を図り、患者に応じた医療が提供できるよう体制を整える−  馬塲奈央