書籍を検索します。雑誌文献を検索する際には「雑誌文献検索」を選択してください。
感染の有無をみる! 菌を推定する! 抗菌薬の感受性がわかる!
治療に役立つ グラム染色
筆頭著者 高橋幹夫 櫻井滋 (著)
メジカルビュー社
電子版ISBN
電子版発売日 2017年11月20日
ページ数 180
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-7583-1772-6
印刷版発行年月 2017年5月
書籍・雑誌概要
菌を同定せずに広域スペクラトル抗菌薬を投与し続けるエンピリック治療は耐性菌を作り、将来的な治療薬の選択肢を狭めるだけである。本書では、簡便に行え、コストパフォーマンスもいいグラム染色検査(グラ染)を有効活用することが,抗菌薬の適正使用にどんなに役立つか解説されている。
すでに抗菌薬を投与している時に、グラ染を利用していかにデスカレーションしていくのか、複数の菌に感染している患者をどうやってみつけるのか、治療はどうするのか。一筋縄ではいかない感染症の病態把握に対してグラム染色の使い方と、データに基づいた抗菌薬の選択の仕方がよくわかるようになっている。
高齢化社会を迎え、増加する感染症患者に適切な治療を施すためにすべての医療者必携の一冊。
目次
■グラム染色所見を読み解くためには
概論 臨床検体のグラム染色を行うにあたって
検体のサンプリングと肉眼的観察/塗抹標本の作成/染色の手順
グラム染色はク- ル- ア- サ(来る朝?)
【コラム】代表的な形態と表現
グラム陽性菌群 Gram Positives
グラム陽性菌の鑑別はグラ染の基礎
グラム陰性菌群 Gram Negatives
グラム陰性菌はCOPD 急性増悪の起炎菌
グラム陰性腸内細菌は感染すると強毒に
【コラム】細菌検査室の教育的役割
基本的な検鏡手順を理解するための標準標本
基礎編 唾液のグラム染色所見(健常者)
【コラム】グラム染色所見のみかたのコツ
■呼吸器感染症
概論 同一菌種の異なる特徴について
検体:喀痰/スムース(S)型とラフ(R)型を見極める
症例1 74 歳,女性 広範な浸潤影と低酸素
上級者編 侵襲性肺炎球菌感染症
上級者編 血液寒天培地における発育阻止所見
【コラム】薬剤感受性検査結果の解釈
概論 神経筋疾患におけるグラム染色の用い方
検体:喀痰/慢性心不全患者のキノロン系に不応の発熱?
症例2 79 歳,男性 嚥下障害患者の発熱
概論 慢性呼吸器疾患の急性増悪とグラム染色
検体:喀痰/COPD では常にグラム陰性菌を狙うべきか?
症例3 73 歳,男性 慢性肺疾患の急性増悪
概論 気道親和性の病原体について
検体:喀痰/気道親和性の起炎菌は肺炎像を見せにくい
症例4 83 歳,女性 発熱のない両側肺炎?
上級者編 H.flu の重症例を評価する
上級者編 喀痰検体における炎症強度と病期判定
概論 薬剤抵抗性と多剤耐性菌について
検体:喀痰/シブトイ菌の正体はグラ染でつかめ!
症例5 72 歳,女性 抗菌薬無効の緑膿菌?
概論 結核・抗酸菌感染症とグラム染色の役割
検体:喀痰/慢性心不全患者のキノロン系に不応の発熱?
症例6 83 歳,女性 緩徐に進む呼吸器症状
上級者編 抗酸菌の深読みテクニック
概論 不明熱のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:喀痰/未診断感染症と不明熱とは本質的に異なる
症例7 78 歳,女性 病巣不詳の感染症?
上級者編 Candida 属のグラム染色所見
概論 日和見感染とグラム染色の用い方
検体:喀痰/混入菌を装う起炎菌を見逃すな!
症例8 84 歳,男性 感染で心不全悪化?
■尿路感染症および泌尿生殖器系感染症
概論 尿路感染症のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:尿/グラ染で治療効果をリアルタイムに追う
症例9 62 歳,男性 脊髄損傷患者の発熱
上級者編 大腸菌による尿路感染
上級者編 血液培養検体における肺炎桿菌
上級者編 医療・介護関連肺炎と肺炎桿菌
概論 複雑性尿路感染症のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:尿/「抗菌薬は効いているか」を菌の変形から推定
症例10 71 歳,男性 回腸導管と尿路感染
概論 性行為関連尿路感染症とグラム染色の用い方
検体:分泌物/死菌も想定し,PCR検査を常に追加する
症例11 28 歳,男性 排尿痛と膿性分泌物
■皮膚・創傷感染症
概論 皮膚感染症のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:水疱内容/皮膚バリアの下は本来,無菌のはず…
症例12 64 歳,男性 皮膚の水疱は感染性?
上級者編 無菌組織内に常在菌はあり得ない
概論 手術部位感染症のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:分泌物/抗菌薬の変更時期はグラ染で読み解け!
症例13 55 歳,女性 抗菌薬投与中の創感染
概論 創傷に伴う感染症の考え方とグラム染色の用い方
検体:分泌物/トキソイド投与後23 日目の破傷風発症?
症例14 55 歳,男性 電動ノコで右指を切断
概論 骨盤内感染症のとらえ方とグラム染色の用い方
検体:膿汁/骨盤内の感染症では嫌気性菌をマークせよ!
症例15 55 歳,女性 ドレナージ後も発熱持続
概論 動物由来感染症とグラム染色の用い方
検体:膿/動物由来の感染症とグラム染色所見
症例16 77 歳,男性 ネコ咬傷後の手背腫脹
■腸管感染症
概論 腹部手術後の下痢症とグラム染色の用い方
検体:排泄物/小腸切除後に腸炎? 予防的抗菌薬との関連は…
症例17 82 歳,女性 ヘルニア術後の下痢症
概論 抗菌薬関連下痢症とグラム染色の用い方
検体:排泄物/抗菌薬投与後の便検体,グラ染で単一菌は非常事態
症例18 76 歳,女性 敗血症回復後の下痢
概論 市中腸管感染症の考え方とグラム染色の用い方
検体:排泄物/症状の軽い下痢症はただの風邪?
症例19 30 歳,女性 発熱嘔吐のない下痢症
上級者編 細菌性腸炎の起炎菌を推定せずに抗菌薬を投与した場合に生じうる問題とは
概論 大酒飲みと肺炎
検体:血液/慢性心不全患者のキノロン系に不応の発熱?
症例20 70 歳,男性 大酒家の熱とタール便
上級者編 HK 半流動培地におけるListeria