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かかりつけ医・非専門医のための
認知症診療メソッド
筆頭著者 川畑 信也 (著)
八千代病院 神経内科部長
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98045-0
電子版発売日 2016年6月6日
ページ数 187
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-525-20691-8
印刷版発行年月 2012年7月
書籍・雑誌概要
超高齢化社会を迎えた現在,認知症は専門医だけが診るべき疾患ではなく,かかりつけ医など非専門医も診療していかなくてはならなくなった.本書では,非専門医が認知症診療に無理なく取り組むためのコツをわかりやすい文章で解説した.どこまで診ればいいのかという非専門医の守備範囲についても触れている.認知症診療になくてはならない一冊!
目次
診断編
Ⅰ認知症診療ファーストステップ
①アルツハイマー型認知症とは?
知っておくべきアルツハイマー型認知症の特徴
②アルツハイマー型認知症の早期症状は?
早期症状は4つある!
行動の変化にも注意する!
③認知症診断の手順
患者さんと家族から病歴を別々に聴取する
正確な病歴聴取と患者さんの診察で認知症の有無は判断できる
診察室での患者さんの様子を家族に見てもらうことが重要
診断できないときには無理に判断しない
④認知症専門医に紹介すべき事例は?
すべての認知症疾患をかかりつけ医の先生が診る必要はない!
認知症専門医療機関に紹介したほうがよい事例は?
Ⅱ病歴・診察・問診
①病歴から診断する
病歴聴取では適切な家族を選ぶ
病歴についてなにを家族に尋ねるか?
発症時期から判断する
どのような症状がみられるのか?
症状が進行しているのか否かを尋ねる
生活に支障をきたしているのか否かが判断に重要
患者さんに病識があるか否か?
②問診票(川畑式)から診断する
問診票を上手に利用する
③患者さんの様子から診断する
診察室に入室する際の歩行を観察する
患者さんが椅子に座る様子を観察する
診察全体から受ける患者さんの印象も大切
④患者さんの問診から診断する
判断の目安
物忘れの有無を患者さんに尋ね,その反応を観察する
問診で記憶障害を把握するテクニック
⑤身体症状から診断する
アルツハイマー型認知症では首から下の症状はない
血管性認知症は幅広歩行
レビー小体型認知症は転倒しやすい
⑥病歴と患者さんへの問診・診察の組み合わせから診断を考える
Ⅲその他の検査
●テスト式認知機能検査
①改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を考える
テスト式認知機能検査は必要か?
HDS-R総得点の解釈のしかた
テスト式認知機能検査よりも臨床像を把握することが重要!
HDS-R施行の実際
②時計描画テストの有効性
時計描画テストとは?
時計描画テストの実際
●臨床検査
③診断に役立つ臨床検査
血中ホモシステインの測定
血清銅の測定
●画像検査
④脳形態画像検査の意義
脳形態画像検査で認知症の診断はできるのか?
CTとMRIではどちらを施行したほうがよいか?
アルツハイマー型認知症診断支援ツールVSRADの利用とその意義
知っておくべきVSRADの基本
VSRAD結果の解釈について
⑤脳機能画像検査の意義
各認知症疾患でみられる血流異常
認知症診療で脳機能画像検査を行う意義
診断困難事例の診断に役立つことが多い
アルツハイマー型認知症と他疾患との鑑別に有効
血管性認知症でもアルツハイマー型認知症を合併することが少なくない
Ⅳ鑑別診断を考える
①年齢に伴う心配いらない物忘れとの鑑別は?
記憶障害の進行
日常生活
自覚
判断できないとき
②治療可能な認知症を見逃さない!
日常臨床で遭遇する治療可能な認知症は?
認知症とうつとの鑑別は実際には難しい
認知症を伴わない幻覚・妄想
治療可能な認知症を見逃さないための検査
③軽度認知障害とはいかなる病態か?
軽度認知障害の定義
日常臨床の現場で軽度認知障害は診断可能か?
軽度認知障害の段階で抗認知症薬を開始すべきか?
④レビー小体型認知症との鑑別
レビー小体型認知症の特徴
問診からみた鑑別のポイント
診察からみた鑑別のポイント
3症状の組み合わせから診断を考える
⑤血管性認知症との鑑別
血管性認知症は臨床症候群
血管性認知症と安易に診断しない!
日常臨床では“脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症”が多い
⑥前頭側頭型認知症との鑑別
かかりつけ医の先生方が前頭側頭型認知症を診療する機会は少ない
前頭側頭葉変性症と前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症の特徴
Ⅴ再来患者さんから認知症をすくい上げる
①再来患者さんから認知症を発見するコツ
認知症患者さんを診療する2つのパターン
再来患者さんで認知症を考える場合とは?
血管性認知症を疑うコツは?
「認知症ではないか?」との視点で診療を行う
Ⅵ困った事例への対処法
①診断を確定できないときの対応策
診断を確定できない事例も多い!
診断できないときの方針
家族への説明の実際
単独受診の患者さんで判断が困難な場合の対応策
②病歴とテスト式認知機能検査の結果に乖離がみられるとき
なぜ乖離が生じるのか? 家族にどう説明するのか?
方針を考える
臨床症状編
Ⅶ中核症状と周辺症状
①中核症状
②周辺症状
しばしばみられる周辺症状は?
周辺症状はなぜ出現するのか?
周辺症状は認知症の重症度と関連しないことが多い
周辺症状への対応の原則
薬物療法はどの周辺症状に有効か?
Ⅷ周辺症状各論
①物盗られ妄想
「なぜ物盗られ妄想がみられるか?」と尋ねられたとき
物盗られ妄想の実態
対応の指導
有効な薬物療法は?
②幻 視
幻視だけでは家族は困らないことが多い
幻視に対する上手な対応を指導する
有効な薬物療法は少ない
③暴力行為
暴力行為は在宅生活の阻害要因
抗精神病薬あるいは抗てんかん薬を使用する
介護施設から暴力行為がみられ困っていると相談を受けたときの指導の実際
④性的逸脱行為
介護家族が困惑することが多い
有効な対策は少ない
⑤徘 徊
徘徊の相談を受けることは多い
有効な対策は少ない
不測の事態発生の可能性を伝えておくことが必要
⑥夜間せん妄
せん妄を家族にわかりやすく説明する
有効な薬物療法は?
⑦不安症状
認知症の背景に不安症状が存在することが多い
患者さんが安心できる対応や環境作りを考える
有効な薬物療法は?
⑧アパシー(無関心・無為・無感動)
アルツハイマー型認知症で最も多い周辺症状
アパシーと抑うつ状態の見分けかた
有効な薬物療法は?
積極的な働きかけが大切
薬物療法編
Ⅸ薬物療法を開始する際の原則
①薬物療法開始時の注意点
②周辺症状に対する薬物療法の原則
Ⅹドネペジル
①ドネペジル開始時における説明の実際
ドネペジルの特徴をわかりやすく説明する
家族からの質問にはこう答える
②ドネペジルによる副作用出現時の対策
③ドネペジル処方の実際
剤形によって使い分けを行う
ドネペジル増量のしかた
④ドネペジルの効果の判定
⑤「ドネペジルは怖い薬」との誤った風聞を正す!!
ⅩⅠその他の薬剤
①抗精神病薬使用の実際
抗精神病薬の使用に慣れよう
リスペリドン使用の実際
クエチアピンフマル酸塩使用の実際
チアプリド使用の実際
②抗うつ薬使用の実際
どの抗うつ薬を用いるか?
パロキセチン使用の実際
セルトラリン使用の実際
ミルタザピン使用の実際
③抗不安薬使用の実際
安易に抗不安薬を使用しない!
ロラゼパム使用の実際
④抗てんかん薬使用の実際
感情の安定を目的に抗てんかん薬を使用する
バルプロ酸ナトリウム使用の実際
カルバマゼピン使用の実際
⑤漢方薬使用の問題点
抑肝散について
抑肝散使用の実際
漢方薬にも副作用はみられる
ⅩⅡアルツハイマー型以外の認知症の薬物療法
①血管性認知症の薬物療法
抗認知症薬の効果
薬物療法の実際
②レビー小体型認知症の薬物療法
コリンエステラーゼ阻害薬の使用意義
ドネペジル使用の実際
抗パーキンソン病薬使用の実際
抗精神病薬はどれを使用するか?
介護指導編
ⅩⅢ家族への説明
①介護の原則を説明する
認知症は脳の病気であることを理解してもらう
患者さんの世界と家族の世界にはギャップがある
患者さんができることと,すでにできなくなったことを見極める
介護に完璧さを求めないことを強調する
②アルツハイマー型認知症の説明
病気に関する説明の実際
「治りますか?」と尋ねられたとき
「現在の重症度はどのくらいですか?」と尋ねられたとき
「どのような経過を辿りますか?」と聞かれたら
上手な介護のためにアルツハイマー型認知症の特徴を家族に解説する
病識がないことを介護家族に指導する
取り繕い反応を家族に説明する
在宅生活の継続か施設入所かの判断を尋ねられたとき
③レビー小体型認知症の説明
病気の特徴をわかりやすく説明する
④血管性認知症の説明
⑤解決策を見出せない問題を相談されたとき
介護家族への指導を考える
介護スタッフへの指導をどうするか?
附録:介護保険主治医意見書の書き方
索引