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肝胆膵画像診断の鉄則
筆頭著者 山下 康行 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-65662-7
電子版発売日 2024年11月4日
ページ数 340
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-260-05662-5
印刷版発行年月 2024年10月
書籍・雑誌概要
肝胆膵脾の画像診断においてこれだけは押さえておきたい“鉄則”を1冊に!
肝胆膵脾の画像診断のポイントを“鉄則”形式でズバッと示した1冊。部位・画像所見別の37のシナリオに沿って、主要疾患の症例を提示。各疾患の画像所見の解説に留まらず、所見をみた際にどのようにして鑑別診断を進めるかといった診断のプロセスについても言及する。またモダリティの選択など、画像診断を進めるうえでの留意点についても適宜取り上げる。読影の腕試しができるWeb付録を収載。
目次
序章 肝胆膵画像診断の掟
肝胆膵の画像診断ではダイナミックCTの理解が重要
MRIの出番は?
膵胆道系のMRIはどうか?
Chapter1 肝臓
1 多血性の腫瘤
・ いきなり画像に飛びつくな!
・ 多血性の肝腫瘤をみたら,まず①肝細胞癌,②血管腫,③FNHを考える
・ 最もキーとなる所見を重点的に攻める
・ CTで確信が持てないときはMRIを
・ 多発性の多血性病変では転移を忘れるな
・ FNHと肝腺腫の鑑別にはEOB造影MRIが有用である
2 乏血性(リング状増強効果)の腫瘤
・ 乏血性肝腫瘤で頻度の高い疾患は肝転移,胆管細胞癌,一部の肝細胞癌である.肝膿瘍や悪性リンパ腫も忘れてはならない
・ リング状濃染は悪性腫瘍,膿瘍,血管腫でみられる
・ 悪性リンパ腫などの浸潤性腫瘍では,リング状濃染を欠くことがある
・ 造影CTでは微小な肝転移の診断は難しく,EOB造影MRIを考慮すべき
・ 拡散強調画像において肝膿瘍と転移とでは拡散制限のメカニズムが異なる
3 遷延性濃染を示す腫瘤
・ 遷延性濃染は豊富な線維性間質でみられることが多い
・ 硬化性や混合型肝細胞癌,胆管細胞癌,転移性腫瘍,類上皮性血管内皮腫,硬化型血管腫は,線維性間質が豊富で,遷延性濃染がみられる
・ 線維性の腫瘤は肝表の陥凹を伴うことがある
4 肝の嚢胞性病変
・ 単発の非定型肝嚢胞性病変をみたら,複雑性嚢胞,嚢胞性転移,肝膿瘍,肝粘液性嚢胞腫瘍などを考える
・ 嚢胞壁肥厚,不整な隔壁,充実部がみられる場合は悪性腫瘍を考える
・ 嚢胞性転移は充実性腫瘍が嚢胞変性したものが多く,GISTやNEC,扁平上皮癌でみられる
・ 卵巣癌や膵の嚢胞腺癌などの嚢胞性腫瘤は転移巣も嚢胞性を呈することが多い
・ 肝臓の多房性嚢胞では肝粘液性嚢胞腫瘍,エキノコックス,複雑性(出血性)嚢胞,膿瘍,Caroli病などを考える
・ 嚢胞の内容液の推定にはMRI(T1強調画像,拡散強調画像)が有用だ
5 肝内に多発する嚢胞
・ 肝に嚢胞が多発する場合,多発性肝嚢胞以外に胆管性過誤腫,Caroli病,胆管周囲嚢胞なども考える
・ 多数の嚢胞状小病変が肝全体にみられたら胆管性過誤腫を考える
・ 胆管周囲嚢胞は門脈の両側にみられるが,胆管拡張は一側にしかみられない
・ Caroli病では肝末梢の門脈域に嚢胞が多発し,嚢胞内に門脈が貫通する(central dot sign)
6 多発性の微小結節
・ 硬変肝に多発性微小結節をみた場合,再生結節以外に多血性の過形成結節,びまん型肝細胞癌の可能性も考える
・ 非硬変肝に粟粒病変を認めた場合,結核やサルコイドーシスなどの肉芽腫,悪性腫瘍(リンパ腫や転移),微小膿瘍を疑う
・ びまん型肝細胞癌では,門脈,肝静脈に注目する
・ 乳癌,肺小細胞癌や胃の低分化腺癌では画像上捉えにくいびまん性肝転移を来すことがある
7 染まる病変は腫瘍とは限らない
・ AP shuntや血流異常による偽病変,胆管炎,血管性病変などの非腫瘍性病変でも多血性を呈する
・ 偽病変には好発部位や特徴的形態あり
・ 偽病変(非腫瘍性病変)であることはEOB造影MRIの取り込みを証明すればよい
8 EOBを取り込む肝腫瘤
・ 肝細胞癌,FNH,肝腺腫はEOBを取り込むことがある
・ 血管内プールや間質の細胞外液成分のためEOBの軽度の取り込みがみられることがある
・ 肝血管腫ではEOB造影によって遷延性濃染が観察されにくい
9 脂肪を含んだ肝腫瘤
・ CTでは脂肪の存在を指摘することが難しいことがある
・ 微量の脂肪の検出にはMRIによるchemical shift imagingが有用だ
・ 肝腫瘤内に脂肪がみられる場合,早期・高分化の肝細胞癌,血管筋脂肪腫,限局性脂肪肝を考える
・ 慢性肝疾患で,脂肪性の腫瘤を認める場合,肝細胞癌を考える
・ 脂肪肝はびまん性,限局性,多発性結節性など,様々な形態を呈する
・ 腫瘤様脂肪肝では,腫瘤内に正常の脈管が確認できることがある
・ 肝表に脂肪がみられた場合は偽脂肪腫を考える
10 血管が貫通している肝腫瘤
・ 腫瘤内の血管貫通は,リンパ腫以外に,胆管細胞癌やびまん性の肝細胞癌,腫瘤型の脂肪肝でもみられることがある
・ 腫瘤内に血管が貫通していたら,軟らかい腫瘍やGlisson鞘周囲に浸潤性に発育する腫瘍を考える
・ spin echo法のMRIでは血流は低信号となる
11 肝細胞癌のいろいろ
・ 分化度や壊死,変性の程度で肝細胞癌の血流は異なる
・ EOBの取り込みは分化度が低くなるほど低下し,多血化に先行する
・ nodule-in-nodule appearanceでは腫瘍の脱分化を疑う
・ びまん型肝細胞癌は乏血性のことが多く,高率に門脈,肝静脈浸潤がみられる
・ 肝細胞癌の患者で急に腹痛や腹水の増加をみた場合,肝細胞癌の破裂を疑う
12 小児の肝腫瘤
・ 小児肝腫瘤では悪性腫瘍が2/3を占め,悪性では肝芽腫,良性では血管腫の頻度が高い
・ 小児では年齢によって好発する腫瘍が異なる
・ 小児肝腫瘤では良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別が困難なことも多い
・ 乳児期には正常でも血中α-フェトプロテインが高いことがある
13 肝臓の石灰化
・ 肝腫瘤の石灰化は大腸癌の転移で多いが,肝細胞癌や血管腫でもみられることがある
・ 肝実質の石灰化は肉芽腫性病変が多いが,血管や胆道系にもみられることがある
・ 日本住血吸虫症では肝実質の網目状の石灰化が特徴的である
14 肝内ガス
・ 門脈内ガスは肝末梢に,胆道内ガスは中枢側に樹枝状にみられることが多い
・ 門脈内ガスは腸管壊死によることがあり,緊急対応が必要
・ 門脈内ガスは腸管壊死以外に,臓器移植,慢性肺疾患,憩室炎など様々な原因で認めることがある
・ 胆道内ガスは腹部手術後,乳頭筋の機能不全や胆道系と腸管との交通によってみられる
・ 膿瘍内,胆道と交通をもつ腫瘍,腫瘍の治療後,外傷後の血腫内にガスを認めることがある
15 びまん性の肝腫大(肝臓の吸収値はほぼ正常)
・ びまん性の肝腫大では,急性肝炎以外にアミロイドーシスなどの沈着症,うっ血肝などの循環障害,悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の浸潤を考える
・ 急性肝炎では門脈周囲の低吸収(periportal collar sign),胆嚢の浮腫性肥厚に注目
・ 右心不全の徴候があり,肝腫大,下大静脈・肝静脈の怒張があれば,うっ血肝を考える
・ 悪性リンパ腫や白血病では肝臓に明瞭な腫瘤を認めなくとも腫瘍浸潤がみられることがある
・ アミロイドやグリコーゲンの沈着で,肝腫大がみられることがある
16 肝実質の著明な高吸収
・ 肝実質のびまん性高吸収をみた場合は鉄やヨードなどの金属の沈着を考える
・ 鉄沈着の検出にはT2*強調画像が鋭敏である
・ 糖原病やWilson 病では合併する脂肪沈着により肝実質は様々な吸収値を呈する
17 肝実質のびまん性(広範囲)低吸収
・ 肝実質の広範囲な低吸収は脂肪肝以外にリンパ腫,びまん性の腫瘍浸潤や糖原病,アミロイドーシスなどの沈着症も忘れない
・ 肝実質の領域性の低吸収はまだら脂肪肝が多いが,悪性腫瘍の浸潤,肝梗塞,放射線障害などでもみられる
・ 脂肪肝はびまん性以外にまだら状や領域性,腫瘤性など様々な形態を呈する
・ びまん性の低吸収域は浸潤性の悪性腫瘍でもみられることがある
18 門脈周囲の低吸収域
・ periportal collar signは移植後拒絶以外に急性肝炎や胆道系炎症,うっ血などの循環障害,腫瘍浸潤など様々な疾患でみられる
・ 肝門部Glisson鞘においてperiportal collar signは門脈周囲に,胆管拡張は片側性にみられる
・ periportal collar signは特定の疾患に特異的なサインではない
19 肝表,肝周囲の病変
・ 肝表の病変は被膜外および被膜下病変に大別されるが,明瞭に区別できないことも多い
・ 腹膜を欠く無漿膜野に病変がみられた場合は肝被膜下病変である
・ 被膜外病変では肝周囲膿瘍,腹膜播種,偽脂肪腫,被膜下病変では肝転移,Fitz Hugh-Curtis症候群,
・ 被膜下血腫などがみられる
・ 肝表から被膜下に腫瘤をみた場合,腹膜播種や腹膜偽粘液腫を考える
Chapter2 胆嚢
1 胆嚢の隆起性病変
・ 胆嚢ポリープではコレステロールポリープの頻度が高く,多発することが多い
・ 10mmを超えるものや広基性の胆嚢ポリープは癌を疑う
・ 胆嚢病変において,T2強調画像で壁内嚢胞(RAS)がみられれば胆嚢腺筋腫症を考える
・ 胆石や慢性胆嚢炎,膵胆管合流異常を認める場合は胆嚢癌のリスクが高い
2 胆嚢の壁肥厚
・ 全身の炎症所見,胆嚢腫大,胆石を認める場合は急性胆嚢炎を疑う
・ 急性胆嚢炎では,胆嚢壁の肥厚や周囲脂肪織の毛羽立ちがみられるが,CTでは胆石が描出されないことも少なくない
・ 症状の乏しい胆嚢壁の肥厚は,慢性胆嚢炎や胆嚢癌,胆嚢腺筋腫症などでみられ,鑑別が困難
・ 胆嚢壁に結石をみた場合,胆嚢腺筋腫症のRAS内の結石を考える
・ 胆嚢癌は早期に肝臓に浸潤,転移する
・ 胆嚢壁がびまん性かつ浮腫性に肥厚している場合は良性の浮腫性胆嚢壁肥厚を考える
・ 胆嚢床から胆嚢が偏位し,胆嚢壁の肥厚,造影不良がみられた場合は胆嚢捻転を疑う
3 胆管壁肥厚,狭窄
・ 肝外胆管癌は腫瘤を形成せずに壁肥厚や結節浸潤型を呈し,胆管炎との鑑別が難しいことが多い
・ PSCは若年者と高齢者に発症するが,IgG4関連胆管炎は高齢者に多い
・ PSCは肝門優位の限局性狭窄,IgG4関連胆管炎は下部胆管優位の長い狭窄がみられる
・ 胆嚢管や頸部の結石が総肝管を圧迫して閉塞性黄疸を来すことがある(Mirizzi症候群)
4 総胆管の管腔内病変・陰影欠損
・ 総胆管結石の診断能はT2強調画像が高い
・ MRCPでは総胆管結石が不明瞭なことがあるので必ず断層像で確認する
・ 総胆管の管腔内に隆起性腫瘤を形成する腫瘍は乳頭状胆管癌(IPNB2型)が多い
・ MRCPでは肝動脈や門脈側副路,リンパ節腫大などでも陰影欠損を認めることがある
・ 胆道内のairは肝臓の中枢側にみられ,肝表には達さない
5 総胆管拡張
・ 乳頭部には乳頭部腺腫,乳頭部癌(下部胆管癌),膵癌,NEC,平滑筋腫などがみられる
・ 総胆管結石には胆管内に生じたもの(色素結石)と胆石(コレステロール結石)が総胆管に落下したものがある
・ 膵内胆管から発生した胆管癌と膵癌の鑑別は難しい
・ 成人型の総胆管嚢腫は腹痛で発症することが多い
・ 総胆管嚢腫は膵胆管合流異常を伴うことが多い
・ 傍乳頭部十二指腸憩室が,胆汁うっ滞の原因となり閉塞性黄疸や膵炎を発症することがある(Lemmel症候群)
6 肝内胆管拡張
・ 浸潤性の胆管癌は薄いスライスのダイナミックCTで描出可能である
・ 膵のIPMNと類似する粘液産生性の胆管内腫瘍をみたらIPNBを考える
Chapter3 膵臓
1 単房性の膵嚢胞性腫瘤
・ 単房性の膵嚢胞には様々な種類があるが,画像上の鑑別は困難
・ 単房性の膵嚢胞では仮性嚢胞の頻度が最も高い.増大することもある
・ 単房性の膵嚢胞では壊死性の腫瘍のことがあり要注意
・ 膵尾部の単房性嚢胞性病変では副脾に発生する類表皮嚢胞も考える
2 多房性の膵嚢胞性腫瘤
・ 膵臓の多房性嚢胞ではMCN,IPMN,SCN,仮性嚢胞を鑑別する
・ 典型的なSCNは蜂巣状の嚢胞である
・ SCNの画像所見は多彩で,microcystic type,macrocystic type,solid type に分けられ,他疾患との鑑別が問題となる
・ IPMNとMCNは悪性化の可能性あり
・ IPMNでは閉塞性黄疸の出現,5mm以上の壁在結節,主膵管の10mm以上の拡張があれば悪性を強く疑う
3 膵の乏血性腫瘤(壊死性の乏血を含む)
・ 膵癌以外の乏血性腫瘤として腫瘤形成性膵炎,乏血性のNET,転移,限局性脂肪浸潤がみられる
・ 膵癌と腫瘤形成性膵炎の鑑別はPETやMRIでも難しい
・ 膵癌の診断では切除可能かどうかを見極める
・ 乏血性や石灰化を伴うNETは悪性の場合が多い
・ 若年女性の充実性膵腫瘤をみた場合,SPNを疑う
4 膵の多血性腫瘤
・ 膵の多血性腫瘍ではNET,腎癌転移,膵内副脾,SCNのsolid variant,膵動静脈奇形などを考える
・ NETは多血性のことが多いが,壊死のため乏血性のこともある
・ NETが多発する場合,MEN type1,von Hippel-Lindau病,結節性硬化症,神経線維腫症1型などを疑う
・ 臨床的には膵の転移性腫瘍では腎細胞癌の転移が多い
・ 膵の多血性腫瘍の鑑別において動静脈奇形ではflow void,膵内副脾ではSPIOの取り込みをMRIで認めた場合,診断的価値がある
5 膵のびまん性腫大
・ びまん性の膵腫大は膵炎の場合が多いが,悪性腫瘍(リンパ腫や膵癌など)のこともある
・ AIPでは膵臓のびまん性腫大,周囲被膜様変化,膵管狭小化が特徴的である
・ AIPでは全身の様々な領域に炎症性腫瘤を認める
・ 膵の悪性リンパ腫は単発性腫瘤のことが多いが,多発型やびまん型もみられる
6 主膵管拡張
・ 膵管の拡張は慢性膵炎,膵癌や主膵管型のIPMN,総胆管結石などでみられる
・ 限局性の膵管拡張をみたら,膵癌やNETなどによる閉塞を考える
・ 腫瘤性病変が検出されない場合でも微小膵癌の可能性あり
・ 主膵管型のIPMNでは主膵管が全長にわたって拡張する
・ 膵管の拡張は総胆管結石や総胆管癌などの胆道系疾患で認めることがある
7 膵の石灰化
・ 膵の石灰化はアルコール性慢性膵炎で多いが,腫瘍に石灰化を伴うことがある
・ 膵の充実性腫瘤の石灰化はSPNに多く,嚢胞性腫瘤ではSCNで中心部にみられる
・ 膵内の石灰化(膵石)は慢性膵炎の確診所見である
・ アルコール性膵炎ではびまん性膵石,特発性膵炎では大膵石が多い
・ 慢性膵炎の合併症には仮性嚢胞,仮性動脈瘤,肝や脾の梗塞,膵癌などがある
シナリオ8 急性膵炎を疑ったら
・ 急性膵炎はアルコールと胆石によるものが多いが,特発性もみられる
・ 急性膵炎ではCTによって炎症の進展度と膵実質の増強効果を評価する
・ 急性膵炎後の液体貯留は発症からの時間,膵実質の壊死の有無で分類される
・ 急性膵炎の後期合併症として膵炎後液体貯留,血管障害(仮性動脈瘤,門脈血栓症),感染,腹部コンパートメント症候群などが問題となる
Chapter4 脾臓
1 脾腫
・ 脾腫は非常に様々な疾患でみられるが,肝硬変,血液疾患,悪性リンパ腫,感染症,うっ血の頻度が高い
・ 巨大脾腫を来す疾患は限られ,骨髄線維症,慢性骨髄性白血病,リンパ腫,国際感染症でみられる
・ Gaucher病,Niemann-Pick病などの蓄積症でも脾腫がみられる
・ 血液疾患に伴う脾腫では循環障害を合併し,脾梗塞を来すこともある
2 脾臓の腫瘤性病変
・ 脾臓の充実性腫瘍では過誤腫,転移,悪性リンパ腫が多い
・ SANTは稀な脾腫瘍であるが,T2強調画像で低信号,放射状の増強効果が特徴的
・ 脾臓の悪性腫瘍では転移の頻度が最も高い
・ 脾臓に不均一な増強効果,不均一な信号強度の腫瘤をみたら,血管肉腫も考える
・ 様々な基礎疾患を有する患者にくさび状の造影不良域をみた場合には脾梗塞を疑う
3 脾臓の嚢胞性病変
・ 脾臓の嚢胞性病変は仮性嚢胞の頻度が高く,その他,リンパ管腫,血管腫,類表皮嚢胞などもみられる
・ 多房性の脾嚢胞は,脾リンパ管腫,エキノコックス症,仮性嚢胞などでみられることが多い
・ 脾臓の多血性嚢胞性腫瘍では血管腫の頻度が高い
・ 脾膿瘍は心内膜炎,敗血症などによる血行性感染が多いが,免疫不全に伴う膿瘍も増加している
4 脾臓の多発性病変
・ 脾内に多発性の小結節性病変をみた場合,様々な疾患の可能性があり,背景因子の把握が重要である
・ サルコイドーシスや結核では多発性の乏血性腫瘤がみられるが,肝脾腫しか認識できないこともある
・ 悪性リンパ腫の脾病変は様々な形でみられる