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精神医療の専門性

「治す」とは異なるいくつかの試み

精神医療の専門性
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筆頭著者 近田 真美子 (著)

医学書院

電子版ISBN 978-4-260-65589-7

電子版発売日 2024年4月15日

ページ数 176

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-260-05589-5

印刷版発行年月 2024年3月

DOI https://doi.org/10.11477/9784260655897

書籍・雑誌概要

その不思議な実践の正体は!? 治癒を目指さない精神医療の専門性について考える。

神社のお札(フダ)を利用して精神症状を落ち着かせる。庭にシイタケの原木を持ち込んで関係性を深める。ACT(包括型地域生活支援プログラム)で行われていた、一見、医療とは相容れないような実践たち。そこに潜む、ブリコラージュ的な専門性を、現象学を用いて炙り出す! 日本の精神医療の現状に切り込み、風穴を開ける。精神看護の第一線で活躍する著者による、他に類を見ない試みの1冊。

目次

はじめに

序章 日本の精神医療の現状
 1.政策の推移
 2.病院と地域という場における支援観の相違
 3.精神科病院という空間における患者と医療専門職の非対称性
 4.多様な価値観が内包された地域という空間
 5.地域という場における専門性とは何か

第1章 支配から信頼へ──精神症状をその人の本質として捉える
 1.固有の語りから専門性を炙り出す
 2.患者の見え方の違い──精神科病院と自宅
 3.生活を支配する支援への疑問
 4.「その人が考える」ことを目指す
 5.利用者の主体化を図る基盤としての安心と信頼
 6.地域では見れないという感覚の消失
 7.精神症状を人間らしさの本質として捉える

第2章 薬より、お札やったんや!──専門職としてではなく、人として関係性をつくる
 1.さまざまな実験を行う実践
 2.「この世界」への応答
 3.人としてあたりまえの感覚
 4.「孤独」から「一緒」に
 5.ウルトラ問題児から普通の姉さんへ
 6.精神医学以外の方法による接近

第3章 「治す」ではなく「暮らす」を目指して──精神疾患を病ではなく、その人の苦悩の一形態と捉える
 1.実践は暴力的な意味を帯びていた
 2.症状ではなく、困りごととして取り上げる
 3.関係性の反転をはらむ「ごめんなさいとありがとう」
 4.「薬が必要」から「薬が自然」へ
 5.精神疾患をどう位置づけるかで実践は劇的に変化する

第4章 意味のある支援──主体化を目指し、利用者に責任を返しながら伴走する
 1.表面的には捉えにくい事象への関心
 2.ホールディングを保証する
 3.手当ができる距離まで近づく
 4.背後にあるものを読み取る
 5.意味のある支援を展開する
 6.利用者に責任を返しながら主体化を目指す

第5章 医療から社会生活へのシフトチェンジ──保護的な支援から、いつか到来する「自己実現」に向けた支援へ
 1.利用者のリカバリーに関する問題
 2.ACTの限界を起点として
 3.振り回されるという意図を込めた関係づくり
 4.支援の限界点──良質な抱え込みから悪質な抱え込みへ
 5.利用者の新たな顔を見出す──人と場の拡大
 6.医療から生活支援へ
 7.支援者中心から本人中心の支援への視点の転換
 8.自分本位から自己実現に向けて
 9.保護的な支援からの脱却

第6章 精神医療の専門性をつくり変える
 1.維持・管理から離れて発揮される専門性
 2.支援の出発点としてのホールディングと苦楽を共にするという経験
 3.地域生活の維持という状態からリカバリーへの転換
 4.専門性の方向を見定める

補章 ACTとは何か
 1.ACT-Kとの出会い
 2.ACTの概要

注一覧
初出一覧
引用文献
あとがき
索引

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