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公衆衛生の緊急事態にまちの医療者が知っておきたいリスクコミュニケーション
筆頭著者 蝦名 玲子 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-65086-1
電子版発売日 2022年11月7日
ページ数 296
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-260-05086-9
印刷版発行年月 2022年10月
書籍・雑誌概要
リスクコミュニケーション=信頼+戦略+マネジメント
コロナの時代。公衆衛生の時代。そしてリスクコミュニケーションの時代。「正しさ」があふれ、何か一言口にすれば非難される恐怖がつきまとう。不安といら立ちが隠せない日々のなか、専門家はどのように振る舞えばよいのか──。リスクコミュニケーションは、そんな悩みに応えるひとつの方法です。迷える「まちの医療者」に向けて、医療リスクコミュニケーションの専門家が語るリスコミの真髄とその理論が1冊にまとまりました。
目次
はじめに
Part1 緊急事態下のリスクコミュニケーションとは
1章 緊急事態下のリスクコミュニケーションの全体像を理解する
1 公衆衛生の緊急事態とは?
2 緊急事態におけるリスクコミュニケーションとは?
3 クライシスコミュニケーションとは?
4 事例からみるクライシスコミュニケーションとリスクコミュニケーションの役割
5 緊急事態下で切り離せないリスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーション
2章 危機管理の流れに応じたコミュニケーションをとる
1 リスクアセスメント時のコミュニケーション
2 危機管理対策の実施時のコミュニケーション
3 評価時のコミュニケーション
3章 初動のコミュニケーションで信頼の土台を築く
1 共感
2 リスクの説明
3 行動の促進
4 対応の説明
Part2 リスクの認知と感情の取り扱い
4章 リスク認知を理解する
1 リスク認知のメカニズム
2 世界観が異なるとき「翻訳」をどうするか?
5章 難しい感情の取り扱いについて考える
1 リスク認知が予防行動につながる人、拒絶や反発をする人、反応の無い人
2 3つの認知のパターンに対するコミュニケーション
3 怒りや不信感への対応
Part3 信頼を構築するための戦略と体制
6章 医療者個人として、危機管理組織として、信頼を獲得する
1 医療者が信頼を獲得するために
2 組織が備えておきたい信頼構築のための条件とは?
3 緊急事態下で効果的なリスクコミュニケーションを実現させる体制づくり
7章 戦略的リスクコミュニケーション計画を策定し、実践する
1 戦略的コミュニケーション計画策定に向けての第一歩
2 情報の受け手について把握・分析しておきたいこと
3 リスクコミュニケーションの目的と目標を設定する
4 キーメッセージを決める
5 伝達方法やモニタリングの方法を決め、メッセージの下案を作成する
6 文書化し戦略的コミュニケーション計画に組み込む
7 リスクコミュニケーションを実施する
8 モニタリングと評価を行う
8章 コミュニティ・エンゲージメントを実践する
1 緊急事態に欠かせないコミュニティ・エンゲージメント
2 関与してもらう目的=情報収集
3 関与してもらう目的=合意形成と意思決定
4 関与してもらう目的=信頼の構築
Part4 リスクを説明する方法と合理的な判断への導き
9章 高度で専門的な情報を説明する
1 リスクが「程度の問題」であることを理解してもらう
2 受け入れやすい「リスク比較」で理解を促す
3 なぜリスクとベネフィットの比較はわずかにしか受け入れられないのか?
4 統計を説明する
5 リスク説明に欠かせない「公平性」
10章 直感に働きかけ、合理的な判断や行動へと方向付ける
1 脳の情報処理プロセスを理解する
2 「分かりやすい」を科学する
3 自由意思に影響を与えずに合理的な判断や行動へと方向付ける「ナッジ」
4 ナッジの設計「EAST」
5 ナッジで気を付けたいこと
Part5 情報の公開場面での考慮点
11章 マスメディアと協力関係を築く
1 記者と対面するシーンの主な種類
2 緊急時の情報提供に日々の記者会見やブリーフィングが欠かせない4つの理由
3 マスメディアを理解する
4 誰がスポークスパーソンになるべきか
5 スポークスパーソンが記者と信頼関係を築くにはどうしたらよいか?
6 取材を受けるときに覚えておきたいこと
12章 スティグマに対応する
1 スティグマとは
2 スティグマを引き起こさない
3 スティグマを拡大させない
4 社会的分断を防ぐ
Part6 対立しがちな場面でのコミュニケーション
13章 虚偽情報の処理をする
1 インフォデミック
2 虚偽情報を信じ込む「インターネットメディア」と「人間」の特性
3 虚偽情報を信じる相手と一対一で向き合う
4 相手の抵抗を最小限にするための情報交換スキル「EPE」
5 「自分で決めた」という思いを強める面談スキル「OARS」
6 マスに向けて虚偽情報の処理をする
7 平時に市民のヘルスリテラシーの教育をしておく
14章 患者や患者家族とリスクについて対話する
1 患者の理解度を確認した上で正確な理解に導く「teach back」
2 重症化リスクの高い患者に何をどこまで話すべきか
3 認知機能が低下している人にリスクについて理解してもらう
4 面会禁止時にお見舞いに来る家族へのリスク説明
おわりに
索引
著者略歴