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生涯人間発達論 第3版
人間への深い理解と愛情を育むために
筆頭著者 服部 祥子 (著)
医学書院
電子版ISBN 978-4-260-64133-3
電子版発売日 2020年2月24日
ページ数 224
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-260-04133-1
印刷版発行年月 2020年1月
書籍・雑誌概要
エリクソンの理論をもとに、人間の発達過程をわかりやすく解説した書。生まれてから老いて亡くなるまで人は発達危機に遭遇し、それをうまく乗り越えられないと試練が待ち受けるという。その文面からは、長きにわたって児童相談所や大学などで多くの子供や学生、その家族と関わってきた著者の、人に対するやさしいまなざしを感じられる。看護師や看護学生だけでなく、介護士や保育士、子育て中の人にも是非読んでもらいたい。
目次
序 生涯人間発達論 序説
1 生涯人間発達論とは
2 発達の定義
3 人間発達に関する諸理論
現代以前の発達思想の展開
現代の発達理論
4 生涯人間発達論の基本的視点
人生における10階層
精神社会的課題と発達危機
徳(人格的活力)
5 新たな社会情勢と生涯人間発達論~21世紀初頭10年目の節目に
2001~2010年の総括的考察
暴力(テロ),病気,経済不況,環境問題の連鎖
汎国際化の波と生涯人間発達論
生活および人間関係の変容
情報通信技術(ICT)進化の波と生涯人間発達論
年齢・性別の枠組みの自由化・多様化
高齢社会と男女共同参画社会進展の波と生涯人間発達論
I 乳児期(0~1歳)
1 乳児期の発達危機
出産という試練
乳児の無力さ
人生早期の母子結合
欲求充足と基本的信頼感
3か月微笑と8か月不安
「基本的信頼感対不信感」という乳児期の発達危機の解決
2 乳児期の人格的活力
とり入れること
待つこと
希望という活力
3 乳児期の発達に関する興味深い学説・知見
早期体験の重要性 動物学の知見から
母性的養育の?奪とホスピタリズム
アタッチメント(愛着)
乳児における対象関係論
気質論
4 乳児期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●明子ちゃん,生後9か月,ボーッとしている
●正君,生後7か月,夜泣き
5 乳児期の発達における今日的課題[母性的養育の危うさ]
乳児虐待
育児放棄
II 幼児前期(1~3歳)
1 幼児前期の発達危機
自立の第一歩
受動的愛から能動的愛へ
自律性を培う時
しつけと自律性
「自律性対恥・疑惑」という幼児前期の発達危機の解決
2 幼児前期の人格的活力
保持することと手放すこと
他者意識と自己意識
意志という活力
3 幼児前期の発達に関する興味深い学説・知見
分離・個体化理論
自己感の発達論
4 幼児前期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●賢二君,6歳,遺尿
●恵美ちゃん,3歳,便秘
5 幼児前期の発達における今日的課題[家庭での養育の危うさ]
児童虐待
里親制度
III 幼児後期(3~6歳)
1 幼児後期の発達危機
個の芽ばえと反抗
独立心と依存心の葛藤
遊びと発達
幼児後期の遊びの効用
両親との関係とその葛藤
「自発性対罪悪感」という幼児後期の発達危機の解決
2 幼児後期の人格的活力
思い通りにすることとまねをすること
希望と意志と目的
3 幼児後期の発達に関する興味深い学説・知見
センス・オブ・ワンダー
子育てと父親
4 幼児後期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●剛君,6歳,暴力が多い
●美紀ちゃん,5歳,どもる
5 幼児後期の発達における今日的課題[発達上の気がかり]
子どもの暴力
発達障害
IV 学童期(6~12歳)
1 学童期の発達危機
学校生活開始と自己への気づき
遊びと対人感情
学びと勤勉性
自己意識と劣等感
「勤勉性対劣等感」という学童期の発達危機の解決
2 学童期の人格的活力
ものをつくることと完成すること
目的意識と有能感
3 学童期の発達に関する興味深い学説・知見
前思春期論
発達課題論
4 学童期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●良一君,9歳,不登校
●太郎君,10歳,チック
5 学童期の発達における今日的課題[子どもの日常性の変化]
経験欠乏
子どもの貧困(学童期)
V 思春期(12~18歳)
1 思春期の発達危機
pubertyとadolescenceの分離
二次性徴の発現と身体像の動揺
めざめ感と自己中心性
心理的な親子分離と孤独
思春期の心理的特徴
「自己中心性対孤独感」という思春期の発達危機の解決
2 思春期の人格的活力
自分のことを第一に思うこと
夢という活力
3 思春期の発達に関する興味深い学説・知見
思春期モーニング
4 思春期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●孝君,17歳,学校をやめたい
●愛子さん,15歳,自殺企図
5 思春期における今日的課題[人間関係の機能不全]
いじめ
ゲーム障害
VI 青年期(18~25歳)
1 青年期の発達危機
思春期を通って青年期へ
性の欲動とフラストレーション
親子間の葛藤と感情の両価性
仲間体験とユースカルチャー
「同一性対役割の混乱」という青年期の発達危機の解決
2 青年期の人格的活力
自分自身であること,活動を共有すること
自我同一性と忠誠心
3 青年期の発達に関する興味深い学説・知見
青年期境界例
アイデンティティ拡散症候群
ユングの学説にみる青年期の自立
4 青年期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●裕子さん,19歳,減食とやせ
●知子さん,20歳,不安が強い
5 青年期の発達における今日的課題[同一性確立の困難さ]
LGBT(性的マイノリティ)
在留外国人の増加
VII 成人前期(20~30代)
1 成人前期の発達危機
成熟への入り口
青年期の延長とモラトリアム
親密性と山アラシのジレンマ
「親密性対孤立性」という成人前期の発達危機の解決
2 成人前期の人格的活力
愛の発達
他者の中に自分を発見することと自分を失うこと
親密性と愛
3 成人前期の発達に関する興味深い学説・知見
アパシー・シンドローム
ピーター・パン・シンドロームとシンデレラ・コンプレックス
4 成人前期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●公二さん,25歳,無気力
●礼子さん,24歳,自殺企図
5 成人前期の発達における今日的課題[終わらない青年期]
社会的ひきこもり
遠ざかる結婚
VIII 成人中期(30~50代)
1 成人中期の発達危機
中壮年期を成人中期と成熟期に区分
成人中期の生殖性
家庭における生殖性
社会生活における生殖性
家庭や社会における停滞感
「生殖性対停滞性」という成人中期の発達危機の解決
2 成人中期の人格的活力
存在をつくることと世話すること
相互の働きかけとしての世話
生殖性と世話
3 成人中期の発達に関する興味深い学説・知見
レヴィンソンの発達論
グールドの発達論
4 成人中期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●明子さん,35歳,アルコール依存
●武司さん,35歳,胃の痛み
5 成人中期の発達における今日的課題[少子化とそれの及ぼす影響]
少子化の家庭にもたらす影響
女性の社会進出
中高年のひきこもり
IX 成熟期(50~70代)
1 成熟期の発達危機
身体的変化とさまざまな動揺
エンプティ・ネスト・シンドロームと定年
新しい自己の発見と挑戦
惑いとためらい
「同一性再確立対消極性」という成熟期の発達危機の解決
2 成熟期の人格的活力
存在を見直す
「自信」という人格的活力
3 成熟期の発達に関する興味深い学説・知見
ビューラーの発達論
ヴェイラントの発達論
4 成熟期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●哲夫さん,55歳,自殺未遂
●美子さん,53歳,夫への嫉妬
5 成熟期の発達における今日的課題[たそがれどきの迷いと不安]
親子共依存
熟年の離婚
熟年の自殺
X 成人後期(70代以後)
1 成人後期の発達危機
しめくくりの時,人生の究極
生理的・心理的老化
成熟の極としての統合性
絶望と疑似統合
「統合性(自我の統合)対絶望感」という成人後期の発達危機の解決
2 成人後期の人格的活力
あるがままを生きることと死に直面すること
高齢者の知恵
自我の統合と知恵
3 成人後期の発達に関する興味深い学説・知見
キューブラー・ロスの「死の受容過程」
4 成人後期の発達的な問題とケア[事例を通して]
●美佐さん,72歳,不安発作
●道雄さん,82歳,暴力
5 成人後期の発達における今日的課題[シニア世代の孤独と絶望]
独居高齢者と孤独死
高齢者の犯罪
終章 人生100年時代の生涯人間発達論 ~21世紀20年目の節目に
1 「人生100年時代」を迎えて
2 人生前半期の発達の強調点~乳幼児期の重要性
人生周期I(乳児期)の「基本的信頼感」と「希望」
人生周期II(幼児前期)の「自律性」と「意志」
人生周期III(幼児後期)の「自発性」と「目的」
人格の根本は長い人生を最後まで支える
3 人生後半期の発達の強調点~成熟期の重要性
成熟期は「同一性再確立」の時
成熟期には新たな学びの道がある
成熟期における新しい人間関係の構築
成熟期の実りが成人後期を円熟に導く
おわりに
参考文献
索引