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精神療法の実践

治療がうまくいかない要因と対処法

精神療法の実践
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筆頭著者 堀越 勝 (他著)

その他の著者等 野村 俊明

医学書院

電子版ISBN 978-4-260-63942-2

電子版発売日 2020年11月9日

ページ数 306

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-260-03942-0

印刷版発行年月 2020年10月

DOI https://doi.org/10.11477/9784260639422

書籍・雑誌概要

患者さんが突然来なくなる、話が逸れていってしまう、症状がよくならない…、精神科外来で起こりうるさまざまなつまづきとそれらへの対応についてまとめた1冊。発達障害やパーソナリティ障害などへのアプローチ、行動医学への応用など、近年のトピックテーマについても議論。前作『精神療法の基本―支持から認知行動療法まで』に続き、今日の外来から実践できる精神療法のコツを徹底紹介!

目次

第1編 対談精神療法の臨床応用
 第1章 イントロダクション
   1.新たに見えてきた精神療法の課題
    実際はそんなにうまく進まない
   2.精神療法のTPOを考える
    関西弁のCBTマニュアルが必要?/日本の医療で精神療法を行うということ
 第2章 よくあるつまずきとその対応
   1.つまずき①:中断・完全に来なくなる
    お金の問題から疾病利得まで,理由はさまざま/
    なんとか会えるように誘いかけてみる/中断がすべて悪いわけではない
   2.つまずき②:キャンセル・ちゃんと来られない
    実は葛藤しているケースも多い/遅れてきても面接時間は延ばさない
   3.つまずき③:アジェンダ設定がうまくいかない
    着地点を考えたアジェンダ設定/症例の概念化ができているか/
    どの問題に焦点を当てるかを患者に説明する/マニュアルに縛られすぎない
   4.つまずき④:アジェンダが逸れてしまう
    質問には方向性があることを自覚する/
    質問の2つの役割─不明点の明確化と話のコントロール
   5.つまずき⑤:症例の概念化がうまくできない
   6.つまずき⑥:カラムなどのシートをうまく使えない
    何のためにツールを使うのか/「課題ができませんでした」でもいい!/
    状況・感情・思考をどう同定するか/写真のように焦点を絞っていく
   7.つまずき⑦:ホームワークをやってこない
    やってこなかった意味を考えてみる/治療者側のスキルの問題も
   8.つまずき⑧:行動活性化がうまくいかない
    患者さんの生活を具体的にイメージする/
    週間活動表を書いてきてもらうためのコツ/
    患者さんの実際の生活にも関心を持つ
   9.つまずき⑨:話が深まらない
    質問の仕方を工夫する/回数を重ねることで話をしてくれるケースも
   10.つまずき⑩:マニュアルに沿って進められない
    暗記するくらい読み込まないとダメ/マニュアルもさほどズレなしと考える
   11.つまずき⑪:症状が改善しない
    患者さんへのフィードバックが重要
   12.つまずき⑫:その他
    精神科医のトレーニングのあるべき姿/日本の医療で精神療法をするには/
    10分間CBTができるようになるためには/
    依存的な患者,即効性を求める患者にどう対応するか/
    リストカットや過量服薬が止められない患者への対応/
    治療者が身の危険を感じるときへの対応/
    悪くなっているように見えるときの対応/緩解と再発を繰り返す患者への対応
 第3章 精神療法の応用
  1 発達障害
   1.診断と見立て
    発達障害患者の増加/治療者側の諦め感,警戒感も問題
   2.診療のスキル(ASD)
    成人のASD患者─スキルを身に付けるリハビリを/ASDとADHDの治療的違い/
    ASD的傾向の認知による問題/スキルの問題に落とす/
    周りを巻き込んで情報をとる/取りつく“島”を探す/
    診断名を無理に共有することなく社会認知スキルをビルドする/
    メタ認知/感情の調整,認知,同定/感覚過敏・知覚過敏にどう対応するか/
    告知の難しさ/環境調整だけでは立ち行かない
   3.診療のスキル(ADHD)
    ADHDの特徴/To Doリストなどは診療場面でやる/うっかりミスへの対処法/
    注意訓練/行動先行型治療でまずはスキルアップを
   4.現場における問題点
    「診断」の問題/対症療法として薬物療法も/
    注意力の欠如,多動性,衝動性の線引き/過剰介入,早期診断への疑問
  2 パーソナリティ障害
   1.現場におけるパーソナリティ障害
    パーソナリティ障害はなくなったのか?/アクティングアウトをどう考えるか/
    アクティングアウトにどう向き合うか/精神分析とアクティングアウト
   2.新たな治療のかたち
    マインドフルネスと3カラム/丁寧に話を聞くことが時短に/
    治療者側のスタンスと感情のコントロール/
    弁証法的行動療法,スキーマ療法の日本での発展性
 第4章 薬物療法のあり方と精神療法
   1.現在の精神科薬物療法の問題点
    カクテルのような処方?/なぜ多剤大量処方の問題が起きるのか?/
    薬物療法と精神分析は似ている?/薬物療法によってこじれるケースも/
    たくさん銃を持っているガンマンは強い?/薬を減らすことに対する恐怖心
   2.薬物療法と精神療法の二律背反性
    こんな薬物療法は困る!─精神療法の立場から/
    大切なのは治療者が同じ方向を向くこと/
    アドヒアランスを高めるにはどうすればよいか?/
    薬を減らす代わりにできること/理想は10分間医療面接を応用していく
 第5章 行動医学と認知行動療法
   1.行動医学の守備範囲
    行動医学発展のワケ/
    広がる行動医学の対象─「苦痛」ではなく「苦悩」にも介入/
    病院へ行くべきかどうか,患者が判断する仕組み/
    生活習慣からダイエットプログラムまで,どう介入するか/
    多職種による介入のメリット
   2.個別の疾患への具体的介入
    過敏性腸症候群─パニック障害に似ている?/
    慢性疼痛─幅広い「痛み」への対処/トラウマを取り巻く状況/
    CPTによるトラウマ治療/フラッシュバックへの対応/解離と回避/
    トラウマに対するCPTの応用/転換性障害/
    ジストニア,パーキンソン病など/
    モデルは違えど,あらゆる病気に行動医学的アプローチが可能
 第6章 認知行動療法のこれから
   1.精神療法を効果的に行うために
    精神療法の修練/心理職が医療分野で活躍するために
   2.スーパービジョンの重要性
    自分の治療を客観的に見ることが大切/精神療法の4つのスキル
   3.CBTは今後どうなっていくか
    CBTのこれから/不安型のCBTとうつ型のCBT/
    注目される「マインドフルネス」/マインドフルネスが台頭してきた理由/
    CBTの新しい流れ/ポジティブに目を向ける未来志向型の発想/
    訓練こそがCBTの今後のキーに/大切なのは「臨床でどう役立てるか」

第2編 精神科医による精神療法
  1 はじめに
  2 精神療法の副作用とインフォームド・コンセント
  3 ロジャーズ派の精神療法とインフォームド・コンセント
  4 問題焦点型精神療法
  5 精神療法の基底プロセス
  6 精神療法の二重構造

あとがき
索引

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