画像診断 45巻12号 (2025年9月発行)

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特集　IgG4関連疾患とその鑑別 ―IgG4-related or not? That is the question―

序説小山　貴 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1101-1101

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IgG4関連疾患とは，「血中IgG4高値に加え，リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と著明な線維化により，同時性あるいは異時性に全身諸臓器に腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患」と定義されます．

IgG4関連疾患とは何か？ ―臨床的側面から語る疾患の本質吉藤　元 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1102-1108

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● IgG4関連疾患（IgG4-RD）は，リンパ増殖性病変と線維化病変の2本柱を病態の本質とし，臓器横断的に腫瘤性病変を形成する良性疾患である．

● IgG4-RDの病変は，対称性・臓器外周性・非破壊性という特徴的パターンを示し，これらは異所性胚中心や線維化病変の形成メカニズムと密接に関係している．

● 病変局所でナイーブB細胞が形質細胞へと分化し，IgG4を産生する．血清IgG4濃度は，IgG4-RDの診断および疾患活動性のマーカーとして有用である．

● 治療の第一選択は糖質コルチコイドであるが，再燃率は高い．近年はB細胞標的療法への期待が高まっている．

IgG4関連疾患の類似疾患の臨床的特徴像正木　康史 , 三島　啓太 , 山之内　弥矢 , 上田　祐輔 , 山野　高弘 , 柳澤　浩人 , 坂井　知之 , 川野　充弘 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1109-1116

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● IgG4関連疾患（IgG4-RD）という診断は，治療および予後に直結することが，最大のメリットである．

● IgG4-RDの診断では全身の障害臓器病変分布が重要である．

①特異的（典型）臓器：涙腺，唾液腺，膵，後腹膜（大動脈周囲）腫瘤．これらは単独病変でほぼ診断可能である．

②非特異的臓器：中枢神経系，甲状腺，肺，肝，胆管，消化管，腎，乳腺，前立腺，リンパ節，皮膚など．これらの単独病変は非特異的であり，それのみでは診断できない．

● 複数臓器病変として，①特異的（典型）臓器と②非特異的臓器の両方にある場合は，一元的に考えてもよい．

● 全身検索が重要であり，この点では¹⁸F-FDG-PET/CTが優れている．

病理学的視点からみたIgG4関連疾患と鑑別疾患能登原　憲司 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1117-1126

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● IgG4関連疾患（IgG4-RD）では，組織学的に特徴的な所見を示す様々な肥厚性病変が認められる．

● 多数のIgG4陽性形質細胞の出現のみが，IgG4-RDの組織学的特徴ではない．

● 生検組織によるIgG4-RDの病理診断には，解決すべき課題がある．

頭頸部のIgG4関連疾患とその鑑別坂本　直也 , 黒川　遼 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1127-1136

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● 涙腺・唾液腺病変では，涙腺の両側性腫大や顎下腺優位の病変分布が特徴的で，特に顎下腺は耳下腺よりも高頻度に侵される．

● 涙腺腫大（87.7％），眼窩下神経腫大，外眼筋腫大は眼科領域における特徴的所見で，特に眼窩下神経腫大はIgG4関連疾患（IgG4-RD）に特異性が高い．

● 頭頸部の所見を適切に拾い上げ，他臓器病変の検索や血清IgG4値の測定を積極的に推奨することが重要である．

● IgG4-RDは疾患概念の整理とともに治療も進歩しており，適切な診断が今まで以上に患者の予後に寄与しうることを意識したい．

胸部のIgG4関連疾患とその鑑別井上　大 , 小森　隆弘 , 戸島　史仁 , 小林　聡 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1137-1145

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● IgG4関連疾患（IgG4-RD）はリンパ路に沿った病変形成を特徴とし，特に肺病変では肺内リンパ路（気管支血管束，小葉間隔壁）に沿った病変形成を特徴とする．

● 傍椎体病変はこれまであまり知られていなかった病変であるが，部位や画像所見が特徴的であり，IgG4-RDを疑った際には同病変の有無に注意を払って読影を行うことが重要である．

自己免疫性膵炎およびIgG4関連硬化性胆管炎とその鑑別竹腰　大也 , 高橋　正明 , 小林　諒太 , 金田　康資 , 小林　大輝 , 田中　美佳 , 藤永　康成 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1146-1156

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● 自己免疫性膵炎（AIP）やIgG4関連硬化性胆管炎（IgG4-SC）はIgG4関連疾患（IgG4-RD）の膵・胆管病変と考えられている．しばしば両疾患は合併し，ステロイド治療が著効する．

● AIPは膵炎や膵癌，その他の腫瘍性病変との鑑別が重要である．

● IgG4-SCは原発性硬化性胆管炎（PSC）や胆管癌との鑑別が重要である．

腎泌尿器領域のIgG4関連疾患とその鑑別八木　文子 , 秋田　大宇 , 陣崎　雅弘 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1157-1167

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● 腎皮質・辺縁優位に両側性の小さな結節が多発性に認められた場合，IgG4関連疾患（IgG4-RD）の尿細管間質性腎炎の可能性がある．その画像所見は多彩であり，単発性腫瘤の形態を呈した場合には，乏血性腎細胞癌との鑑別が困難である．

● IgG4-RDの上部尿路病変では，尿路上皮癌と比較し，両側性，尿路病変が長い，壁外への進展，境界不明瞭，漸増性の造影効果，大動脈浸潤，大動脈周囲／仙骨前／骨盤壁領域の脂肪織濃度上昇などの尿路外所見を呈する．

● 中高年女性で均一な全周性の尿道病変をみた際には，鑑別にIgG4-RDを考慮する．

● IgG4-RDの既往がある，あるいは疑われる症例において，下部尿路症状や逆V字型FDG集積を来した場合には，IgG4-RDによる前立腺病変の可能性も考慮する．

● IgG4-RDの陰嚢内病変は，精巣上体炎や線維性偽腫瘍として発症する場合がある．

心大血管・後腹膜腔のIgG4関連疾患とその鑑別宇都宮　大輔 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1168-1175

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● IgG4関連疾患（IgG4-RD）はステロイド治療が著効するが，再発・再燃も多い疾患である．画像診断により適切な評価を行うことが治療を考える上で重要である．

● IgG4-RDの心・大血管病変は動脈周囲炎という形で軟部濃度腫瘤を形成する．

● IgG4-RD後腹膜線維症は尿管を巻き込んで水腎症を来す．

すとらびすむす

小説にはまる早川　克己 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1097-1097

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学生時代に小説が好きになった．高校生の頃には，英語の授業で教科書として「サマセット・モーム」の『人間の絆』の原書を読まされて，南海の島で気ままに医師の仕事をするのもいいか？と考えて，工学部志望から医学部受験に変えたのを覚えている．

画像のなりたちに迫る ―Unveiling the Origins of Images―

成熟嚢胞性奇形腫に脂肪は存在しない！？小山　貴 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1098-1099

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成熟奇形腫はMRIでは液面形成を伴う嚢胞性腫瘤として描出され，前方部分はT1強調像，T2強調像いずれにおいても皮下や内臓の脂肪組織と同等の信号を呈し，脂肪抑制T1強調像では信号抑制を呈することが特徴とされる．

ここが知りたい！

画像診断2025年5月号特集「脳神経内科疾患での画像の役立て方：脳神経内科医との対話」杉山　淳比古 , 曽根　大地 , 斎藤　良彦 , 西野　一三 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1176-1179

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Q1 hot cross bun signと症状の重症度の関係について教えてください．“縦線だけの場合は軽症……”のような関係はあるのでしょうか？　また，hot crossbun sign が陽性だが小脳症状がないということはあるでしょうか？

Q2 てんかん焦点の検索にイオマゼニルSPECTの依頼を受けることがありますが，はっきりしたことをいえた経験がありません．どのように活用されているのでしょうか？

Q3 STIR像で筋炎を判断する際，どこまで淡い信号を陽性と取ってよいのか悩みます．ウインドウを絞り，少しでも他の筋より高信号の場合は，「異常」としてレポートに記載してよいでしょうか？　基準がはっきりせず，微妙な所見で困ることが多いです．

Picked-up Knowledge from Foreign Journals

ちょっと気が早いですが…… ─前立腺癌のfocal therapyについて知っておきたいこと髙橋　哲 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1180-1182

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● PI-FABって何？

● 局所療法による違い：凍結療法とマイクロ波組織凝固療法

● とはいえ，まずは手術後，放射線治療後の変化をしっかり知っておこう

Case of the Month

Case of October 増本　智彦 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1183-1183

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20歳台後半，男性．主訴：左眼窩痛．

THE KEY TO Case of August 舌野　富貴 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1184-1187

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50歳台，女性．

続General Radiology診断演習

あなたのホルモン，どこから？櫻田　紘基 , 子安　翔 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1188-1190

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30歳台，女性．甲状腺ホルモン異常

読影レポートLesson

血管編「下肢閉塞性動脈疾患」縄田　晋太郎 , 小川　普久 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1191-1195

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末梢動脈疾患（peripheral artery disease；PAD）は冠動脈以外の末梢動脈が障害される疾患の総称であり，その大部分が下肢閉塞性動脈疾患（lower extremity arterial disease；LEAD）である．

らじふぃーる

決断を迷うとき井上　明星 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1196-1196

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人は，1日に着る服，食べるもの，通勤ルート，言葉の選択なども含めると，最大35000回の決断をしているらしい．

Refresher Course

市中肺炎の画像診断 ─起炎菌を推定せよ！─ 佐藤　晴佳 , 浅山　良樹 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1197-1206

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肺炎は日常診療において最も高頻度に遭遇する疾患であり，迅速な診断と起炎菌に対する適切な抗菌薬の投与が必要不可欠である．従来の培養検査では時間を要し，起炎菌の同定率も低い．そのため，近年ではCT 所見を活用した起炎菌の推定が注目されている．細菌性肺炎は，肺胞性肺炎と気管支肺炎に分類される．肺胞性肺炎では病変は非区域性の分布を呈し，気管支肺炎では病変は区域性の分布および気管支壁肥厚および小葉中心性分岐状粒状影が高頻度に認められる．起炎菌を推定するためには，それぞれの起炎菌による画像所見の特徴および患者背景について理解しておくことが重要である．

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目次 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1094-1095

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英文目次 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1096-1096

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編集顧問・編集委員 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1100-1100

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BOOK REVIEW 鍵本　美奈子 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1207-1207

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写真一覧 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1208-1209

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Back Numbers 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1210-1210

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投稿規定 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1211-1211

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奥付 45巻12号 , 2025年9月 , pp.1212-1212

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基本情報

画像診断
45巻12号
(2025年9月発行)

電子版ISSN：2432-1281 印刷版ISSN：0285-0524 Gakken

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