言語聴覚研究 14巻3号 (2017年9月)

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 本研究の目的は,アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)の言語情報処理における抑制機能について語流暢性課題を用いて検討することである.対象はAD患者13名と健常高齢者13名であった.方法は意味カテゴリと語頭音による語流暢性課題を用いた.語流暢性課題では,想起する語の範囲を強く制限する制限想起(例えば動物のうち鳥の名前は言わない)と制限しない単純想起を設けた.制限想起は発話してはいけない語を強く抑制することになる.その結果,健常群では制限想起と単純想起の想起語数に差がなかったが,AD群では制限想起は単純想起より想起語数が有意に少なかった.AD群は意味カテゴリ課題の制限想起において抑制すべき語の発話,音韻課題において先行反応と関連する語の発話が健常群より有意に多かった.また,音韻課題の想起語数とStroop testの成績の間に有意な負の相関を認めた.以上から,ADは言語情報処理における抑制機能が低下すると考えられた.

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 通級指導を受けている言語障害児は年々増加しているが,言語指導の必要な児童が通常学級にはまだ多数いると考えられる.そこで,通常学級における言語指導の必要な児童の実態と言語聴覚士(ST)の役割を明らかにすることにした.小学校2校の通常学級児童を対象にSTの相談会を実施し,学習評価や言語検査を基に言語指導の必要な児童を選別した.相談会後に両校の教員にSTの役割についてのアンケートを実施した.その結果,言語指導の必要な児童の割合は通級教室がない学校では全児童の8.7%,通級教室がある学校では5.0%であった.すでに指導を受けている言語障害児を含めると両校児童の約10%に言語指導が必要であった.教員の80.3%がSTの活用に賛成で,支援の方向性,言語指導,実態把握への示唆をSTの役割として期待していることがわかった.通級教室がない学校では言語指導が受けにくい状況があることが明らかになり,通常学級においてもSTの働きが期待された.

学会記録

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会期:2017年6月23日(金)・24日(土)/会場:くにびきメッセ(島根県立産業交流会館)

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投稿規定

執筆要綱

投稿誓約書

編集後記 藤田 郁代
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 今夏は天候の変動が激しく,global warmingの影響をひしひしと感じることが多かったように思います.

 さて,今号は第18回日本言語聴覚学会の事後抄録と,アルツハイマー病の語想起に関する原著論文および通常学級に在籍する児童の言語指導に関する短報を掲載しています.

基本情報

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言語聴覚研究
14巻3号 (2017年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1349-5828 日本言語聴覚士協会

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