日本糖尿病教育・看護学会誌 6巻2号 (2002年9月発行)

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【原著】

糖尿病患者のQOLに影響を及ぼす要因に関する研究―食事療法に対するストレス認知と対処能力との関連安田　加代子 , 松岡　緑 , 藤田　君支 6巻2号 , 2002年9月 , pp.95-103

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　本研究は，糖尿病患者のquality of life（QOL）に影響を及ぼす要因を明らかにし，食事療法に対するストレス認知と対処能力との関連を検討することを目的に，40歳以上の糖尿病患者（分析対象124名）を対象に質問紙調査を行った．分析枠組みは，QOL「主観的幸福感」を従属変数とし，①個人特性，②ストレス対処能力である“sense of coherence”（SOC），③ストレス認知のうち「肯定的認知」（自己効力感），「否定的認知」（負担感）を独立変数に設定し，重回帰分析およびパス解析を行った．その結果，QOLには負担感の影響が最も強く，自己効力感は負担感を介して間接的な影響要因となった．SOCはストレス認知とQOLへの影響要因となった．糖尿病患者のQOLには，負担感を軽減させる必要があり，その方法として患者の自己効力感を高める看護介入の必要性が示唆された．

思春期の糖尿病患児と親の療養生活に対する認識の相違が血糖コントロールに及ぼす影響二宮　啓子 6巻2号 , 2002年9月 , pp.104-112

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　本研究は，思春期の糖尿病患児とその親の療養生活に対する認識の特徴を明らかにすること，糖尿病患児の疾患管理行動に対する認識とその行動との関係を明らかにすること，親子の療養生活に対する認識の相違，患児の独立意識，親の養育態度が及ぼす血糖コントロールへの影響を明らかにすることを目的とした．12～18歳の糖尿病患児とその親30組を対象に，療養生活に関する認識を測定する二次元イメージ拡散法，患児の独立意識と親の養育態度に関する質問紙を用いた調査，および療養生活に関する面接調査を行った．データの分析には，相関係数の検定，対応のあるt検定，一元配置分散分析，重回帰分析を使用した．その結果，1）自分の疾患管理行動を厳しく評価する傾向がある患児は，過大評価する傾向がある患児に比べ，有意に血糖コントロールが良好であった．2）患児の独立性の意識が高いこと，親子の疾患管理行動の大切さ・実施の認識の相違と親の受容的子ども中心的かかわりが少ないことがよい血糖コントロールと関連があり，これらの4変数でHbA1c値の分散の45％を説明していた．

糖尿病で外来通院中の患者の健康行動に対する自己効力感とその影響要因布佐　真理子 , 千田　睦美 , 野崎　智恵子 , 吉田　千鶴子 , 箱石　恵子 6巻2号 , 2002年9月 , pp.113-122

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　健康行動の自己効力感と属性，糖尿病の状態およびソーシャルサポートとの関連を明らかにすることを目的に調査研究を行った．延べ333名の外来通院患者を対象に，健康行動の自己効力感尺度（SE-HB）および慢性疾患患者用ソーシャルサポート尺度を用い，質問紙調査を実施した．健康行動の自己効力感は年齢が高いほど得点が高く，HbA1c値とは負の相関を認めた．また自覚症状のある群は，ない群に比較し，有意に得点が低かった．SE-HBの下位尺度である疾患に関する対処行動の積極性因子において，主婦が有職者よりも有意に高い値を示した．糖尿病性腎症により外来血液透析を行っている群とそれ以外の外来患者群では，透析群のSE-HBが有意に低かった．SE-HBとソーシャルサポートとの間に正の有意な相関を認め，重回帰分析では疾患に対する行動的サポート因子と強く関連しており（β= 0.688），ソーシャルサポートはSE-HBに対して23.9％の説明力をもっていた．したがって健康行動の自己効力感を高める優先度が高い傾向にあるのは，青・壮年期にあること，有職者，あるいは血液透析導入中であることが明らかになった．また具体的な疾患の管理に対するソーシャルサポートの強化や，自覚症状の軽減が，効力感を高める可能性があるとの示唆を得た．

【研究報告】

食事管理の自己効力感を維持している糖尿病患者の自己管理体験藤田　君支 , 松岡　緑 6巻2号 , 2002年9月 , pp.123-130

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　本研究の目的は，食事管理の自己効力感を維持している糖尿病患者の自己管理体験を分析し，自己管理やその気持ち，背景となる要因を明らかにすることである．研究方法は，質問紙調査において自己効力感得点が高かった研究参加者6名に，同意を得て面接調査を行った．面接内容は質的帰納的方法で分析した．その結果，自己効力感を維持している糖尿病患者は，「積極的に厳しい自己管理をする」，「折り合いをつけた自己管理をする」の2つの自己管理の様式を用いていた．自己管理を続ける気持ちは，「病気を前向きにとらえる」，「自己管理能力への満足感」，「糖尿病が生活のすべてではない」，「社会性維持への満足感」，「自己管理の成功達成感」，「負担感の少なさ」，「合併症に対する脅威」の7カテゴリーがあり，それを支えている背景として友人や家族による「周囲からの支援」と「療養法を実行しやすい生活環境」の2カテゴリーが見出された．本研究の結果から，自己効力感を高める看護への示唆として，患者が重視するQOL領域での満足感や成功達成感を保てるような援助が重要だと思われた．

【実践報告】

加曽利病院糖尿病センターにおける外来看護の実際瀬戸　奈津子 , 森田　弥江 , 平野　美雪 , 山本　信子 , 三枝　初代 6巻2号 , 2002年9月 , pp.131-140

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　加曽利病院糖尿病センターにおいて外来看護システムを立ち上げた経験と看護の実際を報告する．外来看護において大事にしてきたことには，外来を糖尿病患者が行きたいと思える場，緊張・苦痛が増えない場をつくる外来看護師の役割がある．立ち上げた外来看護システムには，外来診療の流れのなかでスムーズに診療と看護を受けられるシステムとして，診療時の看護サービス（看護師による診療前面接・診療場面の看護援助・役立つ情報の提供）がある．また，糖尿病看護の専門外来（看護外来システム）として，生活指導外来とフットケア教室がある．生活指導外来では，看護師が個別的に糖尿病の自己管理方法について生活指導・相談を行い，フットケア教室では，看護師が個別的に足の感覚・知覚の評価に基づき，足の清潔ケアについて教育を行っている．さらに，糖尿病友の会“加曽利あゆみの会”の発足や，加曽利病院糖尿病センターの医療を担っている他職種を紹介し，そのなかでの看護師の役割について述べる．最後に今後の課題として，通院中断者への対応や病棟および地域との連携についてふれる．

1型糖尿病の年少児・発症後間もない児と家族を対象としたファミリーキャンプの活動と看護師の役割中村　伸枝 , 兼松　百合子 , 出野　慶子 , 徳田　友 , 内田　雅代 , 今野　美紀 , 谷　洋江 , 宮本　茂樹 6巻2号 , 2002年9月 , pp.141-146

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はじめに

　乳幼児期発症の1型糖尿病患児の家族は，退院したその日から，まだ治療の意味が理解できない患児にインスリン注射や血糖測定を行い，食べむらのある患児にカロリー計算をして食事療法を行い，低血糖症状を自覚・表現できない患児の低血糖症状を読みとり対処するなど，数多くの責任を負う．患児は年少であるほど感染の機会も多く体調を崩しやすいため，糖尿病のコントロールにも影響を与える．また，患児の年齢とともに疾患の理解やインスリン自己注射，自己血糖測定の自立が必要となる．多くの家族はお互いに協力しながら育児と疾患管理を行っているが，周囲に同様の小児糖尿病の子どもがほとんどいないため，具体的な情報を得ることは難しい．

　千葉県では，1989年と1990年に1型糖尿病の幼児とその家族を対象とした「小さな年齢の糖尿病の子どもたちの集い」が，休日の半日（10 : 00～15 : 00）を利用して開催された．この集いには，約10人の糖尿病幼児とその家族，看護師6～8名と医師3～4名が参加し，親からの疑問に答えたりレクリエーションを行った．2年間の活動のなかから，「もっとゆっくり話し合いたい」という家族の希望が生じ，1991年より“小児糖尿病親の会”の主催による，幼児期や発症後間もない1型糖尿病患児とその家族が参加できる2泊3日のファミリーキャンプが開始されている．キャンプ地は，1991年当初より，房総半島南部の富浦町にある千葉県立大房岬少年自然の家で行われている．看護師は医師，薬剤師，栄養士とともにファミリーキャンプを支援してきた．2001年で11回目を数えたファミリーキャンプの活動内容と，看護師の役割について報告する．

内科外来における糖尿病療養指導の実際―外来・病棟間の継続看護を目指して竹内　葉子 , 林　美津子 6巻2号 , 2002年9月 , pp.147-151

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はじめに

　糖尿病患者は年々増加傾向にある．当院内科外来では糖尿病患者への教育はインスリン注射の技術指導を主に行ってきた．しかし，教育入院を受けているが入退院を繰り返す患者も多く，退院後も継続して自己管理に向けた支援が必要ではないかと考えた．

　そのため平成9年度に，患者は看護師にどのような指導を望んでいるのかを知るため，当院内科外来通院中の糖尿病患者133名に質問形式で自己記述のアンケート調査を行った．その結果，「糖尿病に関して知りたいと思うこと」の質問には，約半数の者が自分の病気の程度や合併症であると答えた．「糖尿病になって困っていること」は，好きなものが食べられないと答え，「外来看護師による生活指導を希望するか」については，約半数の者が希望すると答えた．しかし，「同じ内容だから要らない」という意見もあった．これらの調査結果から，画一的な集団指導より，患者の生活背景や心理に視点をおいた個別的な生活指導のほうが有効ではないかと判断した．

　そこで外来で個別の糖尿病療養指導を行うために，指導のシステムを検討し，平成11年4月より糖尿病療養指導を開始した．その結果，病棟から外来への継続看護がよりスムーズに行えるようになった．

　本稿では，①当院内科外来における糖尿病患者専用の記録物について，②病棟と栄養部間の連携，③糖尿病指導の実際，④平成11年度の糖尿病患者の指導状況と今後の課題について述べる．

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第7回日本糖尿病教育・看護学会学術集会プログラム 6巻2号 , 2002年9月 , pp.152-165

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日本糖尿病教育・看護学会評議員名簿 6巻2号 , 2002年9月 , pp.166

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日本糖尿病教育・看護学会入会のご案内（正会員） 6巻2号 , 2002年9月 , pp.167

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日本糖尿病教育・看護学会入会申込書 6巻2号 , 2002年9月 , pp.168

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糖尿病教育事例記載用紙 6巻2号 , 2002年9月 , pp.169

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日本糖尿病教育・看護学会入会のご案内（準会員） 6巻2号 , 2002年9月 , pp.170

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日本糖尿病教育・看護学会会則 6巻2号 , 2002年9月 , pp.171-172

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日本糖尿病教育・看護学会誌投稿規定 6巻2号 , 2002年9月 , pp.173-174

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Vol.6 査読者名簿 6巻2号 , 2002年9月 , pp.175

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日本看護協会看護研修学校糖尿病看護学科のお知らせ 6巻2号 , 2002年9月 , pp.176

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「日本糖尿病療養指導士〈第1群〉認定更新のための看護研修会」認定基準変更のお知らせ 6巻2号 , 2002年9月 , pp.177

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「日本糖尿病療養指導士〈第2群〉認定更新のための研修会」認定基準変更のお知らせ 6巻2号 , 2002年9月 , pp.178

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編集委員（Editorial Board） 6巻2号 , 2002年9月 , pp.179

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編集後記 6巻2号 , 2002年9月 , pp.180

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基本情報

日本糖尿病教育・看護学会誌
6巻2号
(2002年9月発行)

電子版ISSN：2432-3713 印刷版ISSN：1342-8497 日本糖尿病教育・看護学会

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